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【社会】

不交付のトリエンナーレ補助金 文化庁、一転減額交付へ

 文化庁は二十三日、愛知県が昨年開いた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」に対していったん全額不交付と決めた補助金を、一部減額して交付すると発表した。同庁担当者は、県が減額を申し出た上で「遺憾の意を示した」などと理由を説明。県は訴訟も準備していたが見送る。文化庁の全額不交付は異例の対応だったが、さらにそれを覆す異例の経過をたどった。

 新たに決定された補助金額は、六千六百六十一万九千円。もともと内定し、全額不交付とされた補助金は七千八百万円だった。

 昨年八月一日に始まった同芸術祭では、慰安婦を象徴する少女像などを展示した企画展「表現の不自由展・その後」が、多数の抗議電話や脅迫を受けて三日で中止となった。

 文化庁は、「安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な懸念があったのに、県から事前に報告がなかった」として九月、全額不交付を決定。企画展は十月八日に再開され、県は芸術祭が閉会した後の同二十四日、文化庁の決定に対し不服申し出をした。

 文化庁地域文化創生本部の三木忠一事務局長は記者会見し、交付とした経緯について、二月に県から「一部交付を受けたいという意向が伝えられた」と説明。今月十九日、減額した金額で補助金を再申請することと、重大な懸念を申告しなかったことについて遺憾の意を示し、今後の改善を表明したことから、交付を決定。減額分は県が決め、展示会場の安全や事業の円滑な運営に関連する経費などとしている。

 大村秀章県知事も二十三日、記者会見を開き、「文化庁から、お互いに意思疎通できなかったことは遺憾で、今後は認識を共有して文化芸術の発展に資するようにしたい、と表明があった」と話した。大村氏は「話が折り合ったため、訴訟を見送る」と述べた。

 

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