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(武志)ふう…。
ただいま。(喜美子)あっ お帰り。
何してんの。これ ゲームやろ。
お母ちゃん 知ってんで最近な 陶芸教室始めて知ってること増えてきたんや。
これな いっぺんやってみたかったんや。テレビないとできひんよ。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
武志は どうなん。何が。
次世代展。 亜鉛結晶 うまくいったんやろ。
大皿にな 雪を降らせてん。あの瞬間がゴールやった。出来上がった瞬間が?
まあ 入選するしないはおまけみたいなもんやな。
武志は 賞 取って世の中に出たいとかそういう気持ちはないの?
いや まだ早いやろ。
お父ちゃんが新人賞取ったんは武志が生まれる前やで。
ああ あの この前割った赤い皿やろ?うん。
知ってる。 今の俺の年や言うてたな。
新人賞取って 結婚許してもろたんや。
お母ちゃんも手伝ったんのやろ。ううん 隣におっただけや。
おらんかったら 出来ひんかった。ちゃう?
お父ちゃんの作品はお母ちゃんがおったから出来たんや。
ハハ… よう そんなこと言えるな。
言えるようになったんや。まあ 大人になったいうことやな。
お母ちゃんは お父ちゃんと違て1人で穴窯をやり遂げた。
お父ちゃんおらんでも 作品は出来たんや。
お母ちゃんも聞いたことあるやろ。
お母ちゃんが陶芸家になって…お父ちゃんは負けて信楽から去ってった…。
逃げた言う人もおるわ。
ひょっとしたら俺かて竜也みたいにグレてたかも分からん。
信楽から京都の大学行ったんはちょうど よかったんや。
いろんな人に会うた。似たような境遇の人もおったで。
有名な抽象画家の息子さんや服のデザインしてる有名な女性の娘さん。
ほかにも親が離婚したいう人も何人もおったな。
世界が広がった。
信楽を離れて4年間…お父ちゃんとお母ちゃんのことよう考えた よう思た。
戻ってきてからも考えた。
今な 2人が普通に会えるようになってよかった思てんねん。
新しい関係 万々歳や。
武志のおかげや。
ううん。 時間のおかげや。
お父ちゃんとお母ちゃんは離れて お互いを見つめる距離と時間が必要やったんや。
どうしても 別々に生きていかなあかん時間が必要やった。
うわっ! 大人んなったなあ ハハハッ。ちゃう。
もの作りの道を歩き始めたからや。
えっ?
武志は歩いてるんやな もの作りの道を。
なあ たこ焼き食べる?うん 食べようかな。
♪~
俺な 別に焦ってないねん。
陶芸家として認められて食べていけるようになるんは5年… いや 10年…30なってからでもええ思てる。
フカ先生の教えや。 近道はせえへん。
あっ 今年の目標 2個目 出来たやん。ゆっくり生きていく。
どや?
ええよぉ言うてくれへんの。
はよ 作って。おう…。
意外と きれいにしてるんやな。うん。
お茶でええ?あ~ お茶ないわ。
あっ ほな コーヒーにしよか。ああ ええよ 俺やったる。
座ってて 俺の部屋やし。ありがとう。
なあ。うん?何で来たん。
何かあったから来たんのやろ。
言いたいことあったんちゃうん。
病院行ったらしいな。
名前呼ぼう思うたら帰ってしもうた言うてた。
大崎先生な 心配してわざわざ うちに来てくれたんよ。
ほっとけへんいうてな。
担当の先生が ええ先生でよかった。
長いつきあいになるやろうしな。
長いつきあいになるって… どういうこと。
お母ちゃんに聞いてええ?
お母ちゃんに聞かんで 誰に聞くんや。
もっかい病院に行って 大崎先生に…。
ここ座り。
うん。
武志。
お母ちゃんが武志のことどう思てるか知ってる?
回想 (武志)知ってる。 好きや。好きちゃうわ 大好きや。おう!
お母ちゃんはな武志のこと大好きやで。
そのことを ここに置いて よう聞きぃ?おう!
武志の病名はな… 白血病や。
(やかんのお湯が沸く音)
あ…。
(火を止める音)
♪~
そうかぁ…。
そうやないかなぁ思てたんや。
ちょっとな 調べてん 新聞とか見て。
やっぱり そやったか。 ほい。
♪~
あと どんだけ…あと何年… 生きられるん。
俺の場合 どうなっていくん?
いつまで元気でいられるん。
先生 何て言うてた?
3年から5年や言うてた。
それが… 俺の余命か…。
そや。
♪~
あ… お母ちゃん ほんまに免許取るん?
今年の目標 100個言うてたな。俺 まだ2個しかないわ。
大変な道を行く。あと ゆっくり生きてく。
あ… ゆっくりしてられへんやん。
3年から5年いうんやったらゆっくりしてる間に終わってしまうわ。
今年の目標 100個 もっかい考え直さなな。ヘヘッ。
なにが 3年から5年や。
生きるで。
もっともっと生かしたる。
それを言いに来たんや。
死なさへん。
絶対 死なさへんからな。
お母ちゃんが生かしたる。
なっ。
♪~
(武志)これからは 俺にも言うて下さい。
(大崎)じゃあ改めて よろしくお願いしますかな。
はい!
よろしくお願いします。はい。
今の飲み薬の量では効果が不十分なので少し入院して 抗がん剤の量を増やしたいんだけど どうかな。
はい。
1週間後に入院することが決まりました。
悪いな お父ちゃん。(八郎)うん? 何や いきなり。
何か あったんか?何もないで。
思い立っただけやなあ。もう 電話で いきなり葉書持ってきてぇ言われてみぃ。
また 何かあったんかなと思うやんかそれ。
何かあると思うん。そら 思うよ 葉書やで?
何で?何でて…。葉書やん。 ただの…。
ほやから…。なあなあ 見せて見せて…。
おっほほっ これや これ。 ええなあ。
亜鉛結晶の次はな これにしよう思うねん。
えっ。
この色 このイメージに俺は挑戦すんねん。
ほんま どないしたん。
無性にやりたいんや。一生懸命 挑戦したい。
お父ちゃんができへんかったもんを武志にできるんやろか。
いや~ 難しいでえ。弱音 吐くんちゃうか?
そんな根性なしちゃうわ!やると決めたら やる。
次の夢や。 これが 俺の夢や。
(八郎)あっ…?
やったるでえ~!
♪~