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♪~
(喜美子)お母ちゃんの心今 いっぱいや…。
幸せやなぁ。
武志にしか出来へん作品が 出来たな。
(武志)おう。 フフッ。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
(大崎)作品が完成したんだ。はい。 先生にも見てもらいたいです。
うん。 じゃあ いずれ休みの日にでも。是非。
山ノ根さんも よかったら。(山ノ根)そんな! 私は もう…。
(笑い声)
ふらつきや けん怠感は?あ… ありません。
食欲は?あります。
あ… 食欲はあるんですけど…。
うん?
失礼します。
あっ… すいません。
(理香子)葬儀の際は 遠くまで わざわざ。
いえ…。
あ…。
これ… 智也の遺品整理してたら…。
「川原たけしさんへ」いうて…。
よかったら 受け取ってもらえませんか?
はい…。
フハハハ…。(八郎)何が おもろいねん もう…。
味付け どうするんほんまに これでいいん?
そうやで。 それでええやんか。(戸が開く音)ほんまにええんやな。
(武志)ただいま。お帰り。
お帰り。病院どうやった?
変わりなしや。おう。
何してんの?おもろいでえ。
おもろいて 何や。卵焼き作ってくれるんやて。
卵焼き!?おう 得意やねん。
うそや 知らんかった…。
知らんよなぁ 作るん初めてやもん。
作ろ思たらな お義父さんに「男が台所に立つもんやない」言われたんや。
ほやけど そのあと作ろ思たらなんぼでも作れたやろ。
ハハッ。ほんまに得意なん?
うるさいなあ もう 黙っといてくれる?
人に作るん久しぶりや…。
もう これだけやと不安やからな晩ごはん うな重 頼んだで。
またぁ?またぁ!? ぜいたくな反応しよってからに。
どこぞのお坊ちゃん… もう。いや…。
特上やで。特上ぉ!
武志の作品が完成したお祝いや。
この卵焼きもな お祝いやでぇお父ちゃんから武志に。
えっ 見たん?おう。 見さしてもろた。
よう出来たな。おう。
℡あっ…。
あっ ええ ええ 出る出る。
℡
はい 川原です。
変わったことはないですか?
えっ… 何か…。
食欲はあるんだけど 料理の味が分からなくなってきたんですと話してくれたんです。
そうですか…。
味覚障害かもしれませんね。
でも お母さんは 今までどおりで。お母さんの味でかまいませんよ。
分かりました。わざわざ お電話ありがとうございます。
失礼します。
熱いで。ほい。 あちちち…。
ほい。
(八郎)よし!
あれ?きれいに出来てるやん 見た目はなあ。
おう 見た目はな。 よいしょ。
ほな 頂こか。(八郎)はい。うん。
(3人)頂きます。
お~。うわ~。
うん。 う~ん。
卵焼き いかんのんかい。
ほな 先 頂こう。(八郎)おう。
ちょちょちょ… 何も言わんといて。感想は まず武志からや。
(武志)あ… ああ…。 おう。
じゃあ…。おう。
うん?
フッ…。何や。
うまい。おっ!うまいで。
よかった~!(笑い声)
ほな… どれどれ…。
うん?
さっ うな重 頂こかぁ。
特上は 初めてやなぁどこが特上なんやろな。
ごめん。
ほんまは… 味がしいひん…よう分からん…。
うまいやなんて うそ言うて…。
気にせんとき 失敗してんねん。
うな重 食べぇ。いや ほやから 味が…。
食べな 力つかへん。
今日は もう 休んだら。
なっ。 根詰めすぎて 疲れたんやろ。
武志。
あの皿な 水だけやないで。太陽の光も感じるわ。
ほんまに ええ皿や。
お父ちゃんができへんかったことやり遂げたな。 うん?
大したもんや。僕を超えていったな。 フフフッ。
ちょっと 体 休めたら なっまた 味も分かるようになるんちゃうか?
そしたら また 次ほんまに おいしい卵焼き作ったるわ。
お父ちゃんの卵焼きこの先 何回 作ってもろても味は分からん。
こんなんなる前に作ってくれや。なあ 僕を超えてったって言うたな。
よう そんなこと言えるな。
超えられて悔しくないんか。負けんとやってやろうって思わへんのか。
そういう意地はないんか。なあ お父ちゃんに誇りはないんか!
情けない思わへんのか。俺は がっかりや。情けないで。
ハチさん。
(ノック)
・開けるで?
薬 のまんとな。
ここ置いとくで。
何?
智也が…。
何を書きたかったんのやろ…。
何を書こうとしてたんのやろな…。
勉強教える約束しててん。
俺の作品が出来たら…一番に見せたるいう話も…。
いつやったか…大阪に遊び行こういう話もしてた。
好きな子がおるいう話も…。
バイクの後ろに 好きな子 乗せて琵琶湖一周したる言うてた。
書きたいこといっぱいあったんのやろな…。
それが…お…「おれは」で終わってんねんで。
お母ちゃん。
うん。
俺は… 終わりたない。
生きていたい。
生きていたい。
(すすり泣き)
(すすり泣き)
・(武志のすすり泣き)
(すすり泣き)
(泣き声)
♪~
♪~