沖縄県は21日、スペイン旅行から帰国した本島中部在住の学生で10代女性に新型コロナウイルスの感染が確認されたと発表した。女性を含む家族など6人は20日の帰国時に成田空港検疫所でウイルス検査を受け、結果が出るまで空港内での待機を要請されていたものの、結果を待たず同日中に飛行機を利用し県内の自宅に戻っていた。待機要請に強制力はない。同行した家族や親せき5人は陰性だった。
県によると女性は無症状で、21日に県内の感染症指定医療機関に入院した。
13日から家族や親せき6人でスペインの首都マドリードに旅行し、20日午前9時半に成田空港に帰国。マドリード滞在者は全員検査を受ける必要があるため、一行は検疫所で検査を受けたが、結果が出る前に羽田空港と那覇空港を経由して帰宅した。
成田羽田間はバスで移動したが一行以外に乗客はおらず、那覇空港から自宅へは自家用車で移動したという。女性は成田から那覇までの帰路の途中、マスクをしていなかった。20日午後11時ごろ陽性判明、県には厚労省から翌21日午前11時ごろ一報があったという。
県は女性と同行していた5人のほか、別の家族1人、航空会社の協力を得て羽田那覇間の航空便で女性の周囲に座った搭乗客3人の計9人を濃厚接触者として特定。不要不急の外出自粛を求め2週間の健康観察を行う方針。女性が乗った航空便名は非公表とした。
女性は、県内で自家用車の移動を除いては外出はしていないという。
県内はこれまでに3人の感染が確認されたが、21日までに全員の入院勧告が解除された。患者は2月20日を最後に確認されていなかった。女性の事例は国が管轄する空港で判明したため沖縄県の症例には含まれない。一方、女性が県内を移動していたことを踏まえ、玉城デニー知事は21日に県庁で危機管理対策本部を開き対応を協議した。
感染が拡大するスペインは、サンチェス首相が14日に緊急事態を宣言。仕事や生活必需品の買い物など一部の例外を除き全土で外出を制限すると発表した。政府は19日にマドリードを入国制限対象地域に指定、全員に検査を実施していた。