政治・社会

東大生集団わいせつ事件の犯人たち、執行猶予のその後

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未だに「女性をどれだけ落としたか、成果を報告しあう」

 『彼女は頭が悪いから』の主人公である男子東大生・つばさのモデルとなった男は、執行猶予判決を受けた3人のうちのひとりだ。現在は社会内で罪を償う日々を送っているはずなので、山田と仮名にする。

 山田は小説にあるように被害者を飲み会に誘い出し、過去に肉体関係があったという情報を仲間たちに共有した上、率先して胸を触る、背中を叩くなどして「彼女をいじめてもよい」という空気を作り上げた張本人であった。「女性観というのが、下心で近づいてきてるんじゃないか、とか、そういう女性観、反省しないといけない」……公判ではそんなふうに反省を述べていた彼だが、しかし「全く反省しているとは思えない」と、ある男性が訴える。

 執行猶予判決を受けたのち、世話になっていた先輩が経営する会社に入社し、コンサルとして出向していた山田。その男性・B氏は、山田とその出向先で出会い、同じプロジェクトで仕事を共にしてきた。

「プロジェクトでの関係が濃かったので関係が構築されて友人として付き合うようになりましたが、当時は下の名前に違う漢字があてられていたので、全く気づきませんでした。仕事における処理能力は高かったです。難しい問題を解決する術を彼は持っているし、生み出すことができます。
 ですが、彼はのちにその会社で女性と問題を起こし、会社を離れることになった。そのときに『いつか仕事でお世話になるかも』と前置きされ、事件のことを告白されました」

 仕事でもプライベートでも親密だった山田を助ける意味合いで、B氏は彼を自身の経営していた会社に引き入れた。

「友人としての付き合いも続いていましたが、引っかかることはいくつかありました。彼は女性だけでなく男性のことも、自分より頭が悪い人を見下していた。『XXさんって本当に頭が悪いよね』『XXさんは頭が悪いから』は口癖のように言っていましたね。
 女性にモテているという発言も多々ありました。『デートに行く金がキャッシュフローを上回った』と、給与を多く支払うように言ってきたりもしますし、仲の良い友人らと風俗の話になった時『こんなところにお金出さなくても普通に抱けるじゃん』と……。
 事件を起こした仲間とも、彼に紹介されて会ったことがありますが、会うなり『ナンパ行かない?』と言われて面食らいました。当時の5人でSlackのプライベートなプロジェクトを作っていて、女性をどれだけ落としたか、成果を報告しあっていましたよ」

 とはいえ、事件のことを打ち明けてくれた山田との友情を信じていたB氏は、こういった言動には目をつぶりながら、プライベートでも仕事でも、交流を続けていた。しかし今年に入り、山田がB氏の会社で重大なミスを犯す。

「実際、会社に大きな損害を与えるミスであり、いまもその余波が続いている状況です。彼個人に対して損害賠償をするというのは回収できないことはわかる。ただ謝罪があってしかるべきであろう、と。そう伝えたとこら、『あくまでそうかもしれないけど、俺は商流にいないから、お前が責任を負うべきだろう』、と開き直られ……。手続き上はもちろんそうです。ですが人として、ミスをしたら謝ることもできないのだろうか? と、とても残念に思います」

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