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【社会】

「テロ思いとどまってほしい」 中川元死刑囚 生前に英文メッセージ

中川智正元死刑囚が残した英文メッセージ。右下に本人の名前と、元オウム真理教メンバーで死刑囚との記載がある。日付はない

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 一九九五年三月の地下鉄サリン事件などに関与し、二〇一八年に死刑が執行されたオウム真理教元幹部の中川智正元死刑囚=写真、執行時(55)=が「未来のテロリスト」に向けて「自らの意思でテロを思いとどまってほしい」との願いを込めた英文のメッセージを残していたことが二十二日、分かった。生前、この英文を作成したことについて、中川元死刑囚の裁判を担当した弁護士を通じて共同通信に伝えていた。

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 英文に日付や題名はなく、この弁護士が文書を保管、今年三月初めに共同通信が提供を受けた。地下鉄サリン事件に触れ「犠牲者や遺族にとって極めて有害だったと次第に気付いた」「事件後に何も良いことはなかった」と自戒の念もつづっている。

 「『未来のテロリスト』が、本当のテロリストにならないよう自らの意思でテロを思いとどまってほしい」と呼び掛け「テロ前の世界と後の世界を思い浮かべてほしい。絶望感にさいなまれるはずだ」と強調。「ここで訴えたことは、私にとっては既に手遅れのことだが」と最後に複雑な心情も明かしている。

 中川元死刑囚は、教団がサリンなどの生物化学兵器を開発した経緯を研究する元米海軍長官リチャード・ダンジグ氏によるリポート作成を支えていた。弁護士によると、文書は同氏へ送るはずだったが、手違いで届かなかったという。

 中川元死刑囚は、教団代表だった麻原彰晃(あさはらしょうこう)元死刑囚=本名・松本智津夫=の主治医で、坂本堤弁護士一家殺害事件、松本サリン事件などに関与。地下鉄サリン事件ではサリン製造に関わった。海外の別の毒物学の専門家とも面会を重ね、テロ事件の再発防止に向けた対策に協力していた。

 

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