過去のドバイシーマクラシックの結果から、レースの傾向を徹底分析
牝馬を要チェック!
メイダン競馬場で行われるようになった2010年以降、過去10年のドバイシーマクラシックの性別成績を見ると、牝馬の活躍が目立つ。牝馬は2010年のダーレミ、2014年のジェンティルドンナ、2015年のドルニヤと3頭が優勝。出走頭数が延べ16頭と少ないとはいえ、勝率18.8%、連対率37.5%、3着内率43.8%と、各数値においても牡馬・せん馬を大きく上回っている。今回も牝馬が出走してきたら、要チェックだ。〔表1〕
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性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
牡馬・せん馬 | 7 | 7 | 9 | 70 | 7.5% | 15.1% | 24.7% |
牝馬 | 3 | 3 | 1 | 9 | 18.8% | 37.5% | 43.8% |
イギリス、UAE、日本調教馬に注目
過去10年のドバイシーマクラシックにおいて3着以内に入った馬の調教国を調べると、地元アラブ首長国連邦(UAE)調教馬とイギリス調教馬が3勝で並んでいた。まずはこの2か国の調教馬に注目したい。なお、3着内率の比較では、日本調教馬が44.4%でトップ。これに42.9%のイギリス調教馬、41.7%のフランス調教馬が続き、UAE調教馬は18.2%と率のうえではやや見劣ることは補足しておきたい。〔表2〕
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年度 | 1着馬 | 2着馬 | 3着馬 |
---|---|---|---|
2010年 | イギリス | 日本 | イギリス |
2011年 | UAE | イギリス | UAE |
2012年 | フランス | アイルランド | イギリス |
2013年 | アイルランド | 日本 | カタール |
2014年 | 日本 | フランス | イギリス |
2015年 | フランス | フランス | 日本 |
2016年 | イギリス | 日本 | 日本 |
2017年 | イギリス | アイルランド | イギリス |
2018年 | UAE | イギリス | フランス |
2019年 | UAE | 日本 | 日本 |
- 注記:
- S.ビン・スルール調教師など、アラブ首長国連邦(UAE)とヨーロッパの両方に調教拠点がある調教師の管理馬については、UAE調教馬扱いとした
ドバイシティーオブゴールド組が4年連続で好走中
過去10年のドバイシーマクラシックで3着以内に入った馬の前走別成績をまとめたのが〔表3〕。その数は16レースと幅が広く、国や格付けを問わず多岐に渡っている。そのなかで欠かさずチェックしたいのが、本番と同距離・同コースで行われる現地の前哨戦ドバイシティーオブゴールド(G2・UAE)。2016年1着、2017年3着のポストポンド、2018年1着のホークビル、昨年1着のオールドペルシアンと、ここ4年続けて3着以内に入っている。また、〔表4〕のとおり、ドバイシーマクラシックが年明け初戦だった馬も、4頭の優勝馬を含む延べ13頭が3着以内に好走している。昨年2着のシュヴァルグランなどここ3年連続で連対馬が出ているだけに、年明け初戦の馬からも目が離せない。
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前走のレース | ドバイシーマクラシックにおける成績 | ||
---|---|---|---|
1着 | 2着 | 3着 | |
ドバイシティーオブゴールド(G2・UAE) | 3 | 0 | 2 |
ブリーダーズカップターフ(G1・アメリカ) | 2 | 1 | 0 |
ダルシャーン賞(一般・フランス) | 1 | 1 | 1 |
京都記念(GⅡ) | 1 | 1 | 0 |
メイダンホテル賞(一般・フランス) | 1 | 1 | 0 |
英チャンピオンS(G1・イギリス) | 1 | 0 | 0 |
英セントレジャー(G1・イギリス) | 1 | 0 | 0 |
中山記念(GⅡ) | 0 | 1 | 2 |
有馬記念(GⅠ) | 0 | 1 | 1 |
香港ヴァーズ(G1・香港) | 0 | 1 | 1 |
ジャパンカップ(GⅠ) | 0 | 1 | 0 |
ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1・アメリカ) | 0 | 1 | 0 |
香港カップ(G1・香港) | 0 | 1 | 0 |
ボスポラスカップ(G2・トルコ) | 0 | 0 | 1 |
ナドアルシバトロフィー(G3・UAE) | 0 | 0 | 1 |
エミールトロフィー(カタールLG1・カタール) | 0 | 0 | 1 |
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年度 | 着順 | 馬名 | 前走の年月日 | 前走のレース名 |
---|---|---|---|---|
2010年 | 1 | ダーレミ | 2009年11月7日 | ブリーダーズカップターフ(G1・アメリカ) |
3 | スパニッシュムーン | 2009年12月13日 | 香港ヴァーズ(G1・香港) | |
2011年 | 1 | リワイルディング | 2010年9月11日 | 英セントレジャー(G1・イギリス) |
2 | レッドウッド | 2010年12月12日 | 香港ヴァーズ(G1・香港) | |
2012年 | 2 | セントニコラスアビー | 2011年11月5日 | ブリーダーズカップターフ(G1・アメリカ) |
2013年 | 1 | セントニコラスアビー | 2012年11月3日 | ブリーダーズカップターフ(G1・アメリカ) |
2 | ジェンティルドンナ | 2012年11月25日 | ジャパンカップ(GⅠ) | |
2014年 | 3 | アンビヴァレント | 2013年9月8日 | ボスポラスカップ(G2・トルコ) |
2015年 | 3 | ワンアンドオンリー | 2014年12月28日 | 有馬記念(GⅠ) |
2017年 | 1 | ジャックホブス | 2016年10月15日 | 英チャンピオンS(G1・イギリス) |
2 | セブンスヘブン | 2016年11月5日 | ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1・アメリカ) | |
2018年 | 2 | ポエッツワード | 2017年12月10日 | 香港カップ(G1・香港) |
2019年 | 2 | シュヴァルグラン | 2018年12月23日 | 有馬記念(GⅠ) |
追い込み一手のタイプは割り引き
過去10年のドバイシーマクラシックにおける1600メートル通過地点での位置別成績をチェックすると、「先頭」もしくは「2番手から5番手」にいた馬が計7勝を挙げていた。さらに進んだ2000メートル地点で同ポジションを取っている馬は9勝と成績を上げており、先行力、もしくは早めにポジションを押し上げる機動力が求められていることが見て取れる。スタートから最初のコーナーまでが約250メートルと短めであることも影響していそうだ。一方、「6番手から9番手」は連対率、3着内率はこそ先行勢に引けをとらないものの、勝率を見るとなかなか勝ち切れていないことがわかる。「10番手以下」になると傾向はさらに高まっており、追い込み一手のタイプは評価を割り引きたい。〔表5〕
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位置 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
先頭 | 2 | 0 | 0 | 8 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
2~5番手 | 5 | 4 | 4 | 27 | 12.5% | 22.5% | 32.5% |
6~9番手 | 2 | 5 | 6 | 24 | 5.4% | 18.9% | 35.1% |
10番手以下 | 1 | 1 | 0 | 19 | 4.8% | 9.5% | 9.5% |
- 注記:
- 競走中止した馬は集計に含まない
ミスタープロスペクター系ドバウィに注目
過去10年のドバイシーマクラシックで上位3着以内に入った馬の父馬を調べると、ノーザンダンサー系が5勝を挙げてトップ。〔表6〕そのノーザンダンサー系の中でもサドラーズウェルズ系が安定した成績を残しており、3勝、2着3回、3着2回と3着以内の回数が最も多い。近年の傾向として注目したいのがミスタープロスペクター系。近4年は2勝、2着2回、3着1回と、好走馬が立て続けに出ている。そのミスタープロスペクター系の中でも特にドバウィの血脈を引く馬の活躍が顕著で、ドバウィ産駒のポストポンドが2016年1着、2017年3着、ポエッツヴォイス(父ドバウィ)産駒のポエッツワードが2018年2着、ドバウィ産駒のオールドペルシアンが昨年1着と、4年連続で3着以内に好走している。
文:秋山 響(TPC)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年 | 1着馬 | 2着馬 | 3着馬 |
---|---|---|---|
2010年 | Singspiel(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | スペシャルウィーク(ヘイルトゥリーズン系) | El Prado(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) |
2011年 | Tiger Hill(ノーザンダンサー・ダンジグ系) | High Chaparral(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | Lando(ヘロルド系) |
2012年 | Even Top(クラリオン系) | Montjeu(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | ストーミングホーム(ミスタープロスペクター系) |
2013年 | Montjeu(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | ディープインパクト(ヘイルトゥリーズン系) | Whipper(ミスタープロスペクター系) |
2014年 | ディープインパクト(ヘイルトゥリーズン系) | Even Top(クラリオン系) | Authorized(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) |
2015年 | Azamour(ノーザンダンサー・ナイトシフト系) | Dansili(ノーザンダンサー・ダンジグ系) | ハーツクライ(ヘイルトゥリーズン系) |
2016年 | Dubawi(ミスタープロスペクター系) | キングカメハメハ(ミスタープロスペクター系) | ディープインパクト(ヘイルトゥリーズン系) |
2017年 | Halling(エタン系) | Galileo(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | Dubawi(ミスタープロスペクター系) |
2018年 | Kitten's Joy(ノーザンダンサー・サドラーズウェルズ系) | Poet's Voice(ミスタープロスペクター系) | Sea The Stars(ノーザンダンサー・ダンジグ系) |
2019年 | Dubawi(ミスタープロスペクター系) | ハーツクライ(ヘイルトゥリーズン系) | ハーツクライ(ヘイルトゥリーズン系) |