過去のドバイターフの結果から、レースの傾向を徹底分析
牝馬の活躍が目立つ
過去10年のドバイターフの性別成績をまとめたのが〔表1〕。牝馬の活躍が顕著で、勝率、連対率、3着内率の各数値で牡馬・せん馬を大きく上回っている。その中でも近年は日本調教牝馬が強く、昨年はアーモンドアイが1着、ヴィブロス(2017年1着、2018年2着)が2着となってワンツーフィニッシュ。2018年3着(同着)のディアドラも含めて、日本調教牝馬がここ3年連続で好走している。
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| 性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 牡馬・せん馬 | 7 | 6 | 8 | 93 | 6.1% | 11.4% | 18.4% |
| 牝馬 | 3 | 4 | 3 | 16 | 11.5% | 26.9% | 38.5% |
- 注記:
- 2018年は3着同着
日本調教馬に注目!
過去10年のドバイターフで3着以内に入った馬の調教国を調べると、日本調教馬が4勝(2014年ジャスタウェイ、2016年リアルスティール、2017年ヴィブロス、昨年アーモンドアイ)を挙げており、その活躍が目立つ。〔表2〕また、〔4・2・2・6〕(勝率28.6%、連対率42.9%、3着内率57.1%)と各数値も優秀で、日本調教馬の安定感が光っている。そのほか、3勝で追う地元アラブ首長国連邦(UAE)調教馬や、2勝、2着2回、3着4回のイギリス調教馬にも注意が必要だろう。一方、2010年から2014年まで5年連続2着の実績がある南アフリカ調教馬だが、2015年以降は7頭が出走して、2016年エルティジャールの4着が最高着順とここ最近は苦戦を強いられている。
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| 年度 | 1着馬 | 2着馬 | 3着馬 |
|---|---|---|---|
| 2010年 | UAE | 南アフリカ | 南アフリカ |
| 2011年 | イギリス | 南アフリカ | イギリス |
| 2012年 | イギリス | 南アフリカ | UAE |
| 2013年 | UAE | 南アフリカ | フランス |
| 2014年 | 日本 | 南アフリカ | イギリス |
| 2015年 | フランス | イギリス | アメリカ |
| 2016年 | 日本 | イギリス | UAE |
| 2017年 | 日本 | フランス | イギリス |
| 2018年 | UAE | 日本 | 日本
日本 |
| 2019年 | 日本 | 日本 | イギリス |
- 注記:
- S.ビン・スルール調教師など、アラブ首長国連邦(UAE)とヨーロッパの両方に調教拠点がある調教師の管理馬については、UAE調教馬扱いとした
- 注記:
- 2018年は3着同着
年明け初戦の馬にも注意
過去10年のドバイターフで3着以内に入った馬の前走をまとめたのが〔表3〕。ドバイターフと同距離・同コースで行われる地元の前哨戦ジェベルハッタ(G1・UAE)組と日本の中山記念(GⅡ)組が3勝で並んでおり、本番につながる重要なステップレースとなっている。また、少し見方を変えて注目したいのが、ドバイターフが年明け初戦だった馬。〔表4〕のとおり、2頭の優勝馬を含む9頭が3着以内に好走している。特に昨年は1着アーモンドアイ、2着ヴィブロス、3着ロードグリッターズと、いずれも3か月以上の休み明けで臨んだ馬が1着から3着までを占めた。年明け初戦だからといって、評価を下げる必要はなさそうだ。
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| 前走 | ドバイターフにおける成績 | ||
|---|---|---|---|
| 1着 | 2着 | 3着 | |
| ジェベルハッタ(G1・UAE) | 3 | 3 | 3 |
| 中山記念(GⅡ) | 3 | 1 | 0 |
| 香港マイル(G1・香港) | 1 | 1 | 0 |
| ジャパンカップ(GⅠ) | 1 | 0 | 0 |
| アル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3(G1・UAE) | 1 | 0 | 0 |
| モンジュー賞(一般・フランス) | 1 | 0 | 0 |
| バランシーン(G2・UAE) | 0 | 2 | 0 |
| 愛チャンピオンS(G1・アイルランド) | 0 | 1 | 0 |
| アルファヒディフォート(G2・UAE) | 0 | 1 | 0 |
| ダルシャーン賞(一般・フランス) | 0 | 1 | 0 |
| クイーンエリザベスⅡ世S(G1・イギリス) | 0 | 0 | 2 |
| 天皇賞(秋)(GⅠ) | 0 | 0 | 1 |
| 京都記念(GⅡ) | 0 | 0 | 1 |
| ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1・アメリカ) | 0 | 0 | 1 |
| ガルフストリームパークターフハンデ(G1・アメリカ) | 0 | 0 | 1 |
| 香港カップ(G1・香港) | 0 | 0 | 1 |
| ザビールマイル(G2・UAE) | 0 | 0 | 1 |
- 注記:
- ジェベルハッタ、アル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3はG2時の成績を含む
- 注記:
- 2018年は3着同着
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| 年度 | 着順 | 馬名 | 前走の年月日 | 前走のレース名 |
|---|---|---|---|---|
| 2012年 | 1 | シティスケープ | 2011年 12月11日 |
香港マイル(G1・香港) |
| 2013年 | 3 | ジオフラ | 2012年 12月9日 |
香港カップ(G1・香港) |
| 2014年 | 3 | ダンク | 2013年 11月2日 |
ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1・アメリカ) |
| 2015年 | 2 | ザグレーギャツビー | 2014年 9月13日 |
愛チャンピオンS(G1・アイルランド) |
| 2017年 | 3 | リブチェスター | 2016年 10月15日 |
クイーンエリザベスⅡ世S(G1・イギリス) |
| 2018年 | 3 | リアルスティール | 2017年 10月29日 |
天皇賞(秋)(GⅠ) |
| 2019年 | 1 | アーモンドアイ | 2018年 11月25日 |
ジャパンカップ(GⅠ) |
| 2 | ヴィブロス | 2018年 12月9日 |
香港マイル(G1・香港) | |
| 3 | ロードグリッターズ | 2018年 10月20日 |
クイーンエリザベスⅡ世S(G1・イギリス) |
- 注記:
- 2018年は3着同着
ゲート番の有利不利は少ない
過去10年のドバイターフのゲート番別成績(出走可能頭数は最大16頭)を振り返ると、ゲート番が「1から8番」だった馬が6勝、「9から16番」だった馬が4勝。勝率、連対率、3着内率の数値を比較しても大きな差は見られない。過去10年で優勝した日本調教馬4頭のゲート番を見ても、2014年ジャスタウェイが2番、2016年リアルスティールが14番、2017年ヴィブロスが9番、昨年のアーモンドアイが7番と、内・中・外のゲートにまんべんなく分かれている。ゲート番の有利不利は少なく、フェアな舞台と言えそうだ。〔表5〕〔表6〕
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| ゲート番 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 0 | 2 | 8 | 0% | 0% | 20.0% |
| 2 | 1 | 0 | 1 | 8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
| 3 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0% | 20.0% | 30.0% |
| 4 | 0 | 1 | 0 | 9 | 0% | 10.0% | 10.0% |
| 5 | 2 | 0 | 1 | 7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
| 6 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
| 7 | 2 | 1 | 0 | 7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
| 8 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0% | 10.0% | 20.0% |
| 9 | 1 | 0 | 1 | 8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
| 10 | 1 | 3 | 1 | 5 | 10.0% | 40.0% | 50.0% |
| 11 | 1 | 1 | 0 | 7 | 11.1% | 22.2% | 22.2% |
| 12 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0% | 0% | 0% |
| 13 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0% | 0% | 22.2% |
| 14 | 1 | 0 | 0 | 5 | 16.7% | 16.7% | 16.7% |
| 15 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0% | 0% | 0% |
| 16 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0% | 0% | 0% |
- 注記:
- 2018年は3着同着
- 注記:
- 実際に発馬となったゲート番で集計した
注記:表は横にスクロールすることができます。
| ゲート番 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 内枠(1~8番) | 6 | 6 | 7 | 61 | 7.5% | 15.0% | 23.8% |
| 外枠(9~16番) | 4 | 4 | 4 | 48 | 6.7% | 13.3% | 20.0% |
| 大外 | 1 | 0 | 0 | 9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
- 注記:
- 2018年は3着同着
- 注記:
- 実際に発馬となったゲート番で集計した
G1未勝利の馬にもチャンスあり
過去10年のドバイターフで3着以内に入った馬のG1実績をチェックすると、2015年のソロウ、2016年のリアルスティール、2018年のベンバトルなど5頭がこのレースでG1初制覇を果たしていた。またここ5年は3着以内に必ずG1未勝利馬が入っており、G1実績にとらわれる必要はあまりなさそうだ。2007年に日本調教馬としてドバイターフ初勝利(当時のレース名はドバイデューティフリー、芝1777メートル)を挙げたアドマイヤムーンも、このレースがG1初制覇だった。〔表7〕
文:秋山 響(TPC)
注記:表は横にスクロールすることができます。
| 年度 | 着順 | 馬名 | 同年のドバイターフ出走までのG1勝ち鞍 |
|---|---|---|---|
| 2010年 | 1 | アルシェマーリ | なし |
| 2 | バンカブル | なし | |
| 3 | インボンギ | なし | |
| 2011年 | 1 | プレスヴィス | クイーンエリザベスⅡ世カップ |
| 2 | リヴァージェテス | J&Bメット | |
| 3 | ウィグモアホール | なし | |
| 2012年 | 1 | シティスケープ | なし |
| 2 | ムタハディー | なし | |
| 3 | シティスタイル | なし | |
| 2013年 | 1 | サッジャー | ジェベルハッタ |
| 2 | ジアパッチ | 南アフリカチャンピオンズC、デイリーニュース2000 | |
| 3 | ジオフラ | ファルマスS | |
| 2014年 | 1 | ジャスタウェイ | 天皇賞(秋) |
| 2 | ウェルキンゲトリクス | ジェベルハッタ、デイリーニュース2000 | |
| 3 | ダンク | ブリーダーズカップフィリー&メアターフ、ビヴァリーD.S | |
| 2015年 | 1 | ソロウ | なし |
| 2 | ザグレーギャツビー | 愛チャンピオンS、仏ダービー | |
| 3 | ムシャウィッシュ | ガルフストリームパークターフハンデ | |
| 2016年 | 1 | リアルスティール | なし |
| 2 | ユーロシャーリーン | ビヴァリーD.S | |
| 3 | トリスター | ジェベルハッタ | |
| 2017年 | 1 | ヴィブロス | 秋華賞 |
| 2 | エシェム | なし | |
| 3 | リブチェスター | ジャックルマロワ賞 | |
| 2018年 | 1 | ベンバトル | なし |
| 2 | ヴィブロス | ドバイターフ、秋華賞 | |
| 3 | ディアドラ | 秋華賞 | |
| 3 | リアルスティール | ドバイターフ | |
| 2019年 | 1 | アーモンドアイ | ジャパンカップ、桜花賞、オークス、秋華賞 |
| 2 | ヴィブロス | ドバイターフ、秋華賞 | |
| 3 | ロードグリッターズ | なし |
- 注記:
- 2018年は3着同着