高火力で素早く食材を加熱できるうえ、温度コントロールが容易で、お手入れもしやすいことから、近年人気を高めているIHクッキングヒーター。その利便性をさらにワンランク高めたモデルが、パナソニックの 「Yシリーズ」(ビルトインタイプ)だ。最大の特徴となる独自のグリル機能「ラクッキングリル」を中心に、その使い勝手のよさを、調理して、お手入れしてじっくりとチェックしていこう。
高火力で素早く食材を加熱できるうえ、温度コントロールが容易で、お手入れもしやすいことから、近年人気を高めているIHクッキングヒーター。その利便性をさらにワンランク高めたモデルが、パナソニックの 「Yシリーズ」(ビルトインタイプ)だ。最大の特徴となる独自のグリル機能「ラクッキングリル」を中心に、その使い勝手のよさを、調理して、お手入れしてじっくりとチェックしていこう。
毎日使うコンロには、安全性や清潔性、使いやすさなどを求めたいもの。料理好きの人、また、家族の「おいしい」のために毎日キッチンに立つ人は、とりわけコンロへのこだわりが強いのではないだろうか。
こうしたこだわりを満たしてくれる製品として、今人気を高めているのがIHクッキングヒーターだ。ご存じの人もいるかもしれないが、火を使わず、電磁誘導で鍋底を発熱させて調理するIHクッキングヒーターは、(1)火加減上手、(2)高火力、(3)クリーン、(4)快適が主なメリット。キッチンのリフォームなどを機に、従来のガスコンロをIHクッキングヒーターに替えるべき理由はさまざまにあるのだ。
※1 鉄・ステンレス対応IH
※2 10℃の水1Lを90℃にする時間。IH3kWで直径21cm・定格4Lのステンレス多層鍋を使用。日本電機工業会自主基準に基づく測定方法による。パナソニック実測。(パナソニック標準鍋を使用)
とはいえ、市場に並ぶIHクッキングヒーターは、どれも同じというわけではない。せっかく購入するなら、より使いやすく、毎日の調理を時短できるワンランク上の製品を選んだほうがいいだろう。そこで注目したのが、「IH&遠赤 Wフラット ラクッキングリル」(以下、ラクッキングリル)を搭載した、パナソニックの「Yシリーズ」(ビルトインタイプ)。早速、その使い勝手のよさをチェックしていこう。
「Yシリーズ」の最大の特徴は、パナソニック独自のグリル機能「ラクッキングリル」にある。IHクッキングヒーターのグリルにはシーズヒーター(発熱体であるニクロム線を金属パイプで覆ったもの)が用いられ、ヒーターが露出していることが多いが、「ラクッキングリル」は庫内の底面に角形IHコイルを搭載し、フラットな庫内と、スピーディーな加熱、80~280℃のきめ細かい温度調節を実現している。
最近は、仕事や育児などに忙しい共働き世帯が増えていることから、調理に対する時短ニーズが高まっているが、「ラクッキングリル」なら、忙しい平日は週末にまとめ買いして冷凍保存しておいた魚や肉を、解凍せずにそのまま焼き上げたり、時間に余裕のある休日はオーブン機能を使って、少し手の込んだ料理にチャレンジしたりできるというわけ。今どきのライフスタイルにぴったりと寄り添った、最新のIHクッキングヒーターとなっているのだ。
「Yシリーズ」最大の特徴である「ラクッキングリル」は、庫内の底面に、電磁誘導でグリル皿などを発熱させる角形IHコイルを、天井面に平面ヒーターを採用することで、調理性を高めたグリル。有効庫内高さ※3は業界最高※4の101mmあり、背の高い食材※5や鍋※6を投入しやすいうえ、底面と天井面はフラットでお手入れもしやすい
※3 グリルで使える鍋を使う場合。底面から天井面までの高さ
※4 国内市場200V家庭用IHクッキングヒーターにおいて(2020年3月時点)。パナソニック調べ
※5 調理物の厚み・高さは6cm以下、グリル皿に載せる容器の高さは9cm以下
※6 グリルに使える鍋は制約があります。詳しくはカタログをご覧ください。
では、そんな「ラクッキングリル」の便利さを、実際に食材を調理しながら確認していこう。今回力を貸してくれた女性スタッフは「料理はそれほど得意ではない」と話すが、最新のIHクッキングヒーターに興味津々で、エプロンのひもをギュッとしばり、やる気十分。実際に使ってみて、どんな感想が聞けるのだろうか?
まず挑戦してくれたのは、子どもに人気で夕食のおかずにぴったりな、鶏のつけ焼き。「Yシリーズ」の「ラクッキングリル」は「凍ったままIHグリル」※7に対応しているので、週末に下ごしらえして冷凍保存しておいた鶏のもも肉を解凍することなく、グリルに投入するだけで作れた。
「凍ったままIHグリル」※7の対応メニューだが、魚は「切身」「干物」「つけ焼き」、鶏肉は「とり塩焼き」「とりつけ焼き」の計5メニュー。調理した女性スタッフは「解凍の手間や時間を省けるし、焼き上がるまでの時間に副菜を作ったり、食器を準備したりなど、手早く食事の準備ができました」と、「ラクッキングリル」を使うことによる時短効果を実感したようだ。
凍ったまま魚や鶏肉を焼き上げられる「凍ったままIHグリル」※7は、忙しい共働き世帯の味方。初めて「Yシリーズ」を使う女性スタッフでも使いこなせた簡単操作も魅力だろう。「IHクッキングヒーターひとつで解凍から焼き上げまでこなしてくれるんですから、急いで夕食を作らなければならないときなどに大助かりですね」
「凍ったままIHグリル」※7に加え、焼き魚はもちろん、トーストや焼きなすなど、よく調理される12のメニューについては「自動調理」が活用できるのもうれしいポイントだ。そこで、この機能に対応した焼き鮏を作ってもらった。忙しい朝でもしっかりとタンパク質が摂れる朝食にぴったりのメニューだ。
こちらも作り方は簡単で、鮏の切り身をグリル皿に並べ、グリル用の操作パネルで「自動」メニュー内の「切身」を選んで加熱するだけ。天井面に備わった平面ヒーターとの組み合わせによる両面焼きが可能なので、途中で鮏をひっくり返す必要もなく、「ピピピ」と調理完了を知らせる音が鳴った。
ちなみに、グリル庫内の状態は庫内温度の上がり方によって把握されており、1切れでも4 切れでもちょうどよい加減で焼けるよう、自動で火力や時間を調節する仕組みになっているとのこと。さすがは「自動調理」を名乗るだけある、賢いグリル機能だ。
「自動調理」を使えば、鮏などの焼き魚も手間なく簡単。グリルに投入して自動調理をスタートすれば、焼き上がりを教えてくれるまですることはない。女性スタッフも「扉を開けて、いちいち焼き加減をチェックする必要がないのが便利ですね」と感心しきり
※7 取扱説明書・レシピ集(もっとIH!おうちメニューが増える本)に従って下ごしらえしたもの。市販の冷凍食品は対応していません。●調理物の厚みは、2.5cm以下にしてください。とり塩焼き・とりつけ焼きの鶏肉の厚みは2cm程度。
忙しい平日は「凍ったままIHグリル」や「自動調理」を使って時短で料理を作ったとしても、休日は少し手の込んだ料理を作りたい――。そんなニーズにも「Yシリーズ」の「ラクッキングリル」なら対応できる。庫内が広いうえ、80~280℃の幅広い温度帯でのオーブン調理が可能なので、低温でじっくりと焼き上げるローストビーフや、高温で一気に熱してうまみを引き出すアヒージョなども、オーブンレンジを使うかのごとく手軽に作れるのだ。
そこで、女性スタッフが「作りたくても普段作ることはない」と口にしたローストビーフに挑戦してもらったが、これが実に簡単だった。油で熱したフライパンで肉の表面をサッと焼いてから、グリルに投入。 80℃のオーブン調理で約50分じっくりと焼き上げ、粗熱を取ってスライスすると、内側に現れたやわらかいピンクの断面に、女性スタッフは「やった! うまく焼けました」との声。
もう1品、エビとタコのアヒージョも作ってもらったが、ヒーターがIHの「ラクッキングリル」なら、スキレットのまま庫内に投入できるうえ、加熱もスピーディーで予熱の必要がない。あらかじめセットしておいた操作パネルのタイマーが出来上がりを告げ、加熱を止めたので、スキレットを取り出してみると、海鮮のうまみがたっぷりと抽出されたグツグツのアヒージョが完成。10分ほどでもう1品作れてしまった。
グリルの底面にIHヒーターを採用した「Yシリーズ」の「ラクッキングリル」は、付属のグリル皿だけでなく、スキレットなど鉄やステンレス製の鍋※6の加熱も可能。こうした汎用性の高さも魅力だ
※6 グリルに使える鍋は制約があります。詳しくはカタログをご覧ください。
「Yシリーズ」の「ラクッキングリル」を使ってみた女性スタッフが感心していたのは、グリル庫内の高さ。有効庫内高さ※3は業界最高※4の101mmのため、背の高い食材や鍋などを投入しやすいのだ。そのうえ、庫内の左右側面にLEDライトが備わっているため、調理中の様子を前面の窓から確認することもできる。中の食材の状態を見て、加熱時間を少し長くしたり、短くしたり、好みに応じた微調節もやりやすい。
101mmの有効庫内高さ※3が確保されているので、背の高い鍋や食材も投入しやすい。また、庫内のLEDライトを点灯させれば調理中の食材の状態を目でしっかりと確認できる。オーブンレンジなどに比べて、前面の窓がクリアで見やすいのもうれしいポイント
調理が終わったらお手入れが必要だが、「ラクッキングリル」はこれがラク。底面と天井面がフラットなので、庫内はサッと拭くだけだし、グリル皿とグリル扉は取り外して中性の台所用洗剤で丸洗いできる。また、グリル皿には汚れがこびりつきにくいフッ素加工が施されているのもありがたい
※3 グリルで使える鍋を使う場合。底面から天井面までの高さ
※4 国内市場200V家庭用IHクッキングヒーターにおいて(2020年3月時点)。パナソニック調べ
レビューに使用したYシリーズ「KZ-CY77PS」は、トッププレートの左右に3.2kWの大火力IHヒーターを2口、後ろに2.0kWのIHヒーターを1口備えた3口IHモデル。ガラス面に覆われたフラットなトッププレートが美しくキッチンになじむ
「Yシリーズ」は、天面のトッププレートにも「なるほど」と膝を打ちたくなるような作り込みがなされていた。
今回レビューに使用した3口IHモデルの「KZ-CY77PS」は、左右IHヒーターの最大火力が3.2kWと高火力なうえ、とろ火から強火まで10段階での火力調節が行える。「そのくらいは当たり前のことでは?」と思った人がいるかもしれないが、パナソニックのIHクッキングヒーターの便利さはこれだけにとどまらない。
ヒーターの下に、鍋底が発する赤外線をキャッチして温度を測る独自の「光火力センサー」を搭載しているため、プレート越しに伝わってくる温度を測る一般的なセンサーよりも、鍋底の温度を正確にとらえることが可能。鍋の温度をしっかりと見張ることで、火加減調節にコツがいる焼き物や、油の温度を一定に保つのが難しい揚げ物も、IHクッキングヒーターのサポートで簡単においしく作れるのである。
左右2口のIHヒーターの火力は「光るリング」の赤色の濃淡によってわかる仕組み。このリングがあることで、鍋を置く位置がわかりやすいというメリットもある。「光るリング」の内側に見える黒い丸の部分が「光火力センサー」だ
トッププレート手前にIHヒーターの操作部となる「ガラスタッチ」が3口分備わる。ここでは、とろ火から強火まで10段階で火加減調節が行えるだけでなく、この後に紹介する「焼き物アシスト」や「光・揚げ物温度調節」などのメニュー選択が可能。「Yシリーズ」の操作パネルは、メニューを読み上げる音声ガイドにも対応している
「Yシリーズ」上位モデルのトッププレートは、鉄やステンレス、ホーローに加え、アルミや銅の鍋など※8が使えるオールメタル対応。今回使用した「KZ-CY77PS」は、左右IHヒーター2口ともにオールメタル対応だ
※8 底が反っている鍋や底が小さい鍋など、鍋の形や大きさによっては、使えないものがあります。詳しくはカタログをご覧ください。
では、トッププレートの使い勝手についても、実際に調理しながら確かめていこう。せっかくなら、パナソニックのIHクッキングヒーターの特徴である「光火力センサー」を生かしたメニューを作ってみようということで、ホットケーキと天ぷらを作ってもらった。
まず試してもらったのは、温度を一定に保たないとすぐに焼き色が変わってしまう、ホットケーキ。天面操作部の「アシスト」メニューから「ホットケーキ」を選択し、スタートボタンをタッチ。すると「焼き物アシスト」が作動し、フライパンをホットケーキに適した温度まで熱し、生地を流し込むタイミングを液晶表示と音声で知らせてくれた。さらに、裏返すタイミングも教えてくれるなど、手取り足取りIHクッキングヒーターが調理をアシストしてくれる。
1枚、2枚、3枚と連続して焼いても、指示通りにすれば、同じ焼き色で面白いようにふんわりと仕上がり、女性スタッフは何だか調理が楽しくなってきた様子。「腕が上がった気がしますね(笑)。焼き時間は調節できるので、好みの焼き加減にすることもできますよ」(女性スタッフ)。
女性スタッフが試したホットケーキから、子どもが大好きなハンバーグや餃子、ちょっとおしゃれなスパニッシュオムレツやフレンチトーストまで、「焼き物アシスト」を使えば、IHクッキングヒーターが焼き加減をしっかりとアシストしてくれるので、失敗知らず
続いては、天ぷらに挑戦。「光・揚げ物温度調節」に対応した「揚げ物」メニューを選択して、温度を180℃に設定。熱効率が高いIHの高火力で一気に設定温度まで油を熱し、予熱完了を知らせてくれた。食材を投入すると油温が下がってしまうものだが、「光火力センサー」が高精度に温度を見張っているので、温度低下を検知したら、素早く設定温度に復帰させてくれる。次から次へと食材を投入して、手早く揚げられるのがうれしい。
揚がり具合はどうだろう? エビの天ぷらをひと口、食べてみたところ、衣はサクッとした食感で、エビは中までしっかりと火が通ってぷりっとしていた。「天ぷらも家では作ることがない」という女性スタッフだったが、「Yシリーズ」でなら手早く簡単に天ぷらを揚げられた。
「Yシリーズ」は、トッププレートのお手入れももちろんラク。IHクッキングヒーターは、ゴトクなどのパーツがないため、汚れは絞ったふきんなどで拭き取るだけ。トッププレート奥側にある排気パネルや排気口カバーなども取り外して丸洗いできる。簡単にキレイな状態を保っておけるので、いつも気持ちよく料理が作れるのもメリットだ
「Yシリーズ」のような、システムキッチンに組み込むビルトインタイプだけではなく、流し台をお使いの方に、コンロだけを置き換えられる据置タイプのIHクッキングヒーターもある。パナソニックでは、この据置タイプの製品として2口IHの「KMタイプ」「KGタイプ」「KBタイプ」を用意している。
3タイプともに、パナソニック独自の「光火力センサー」を採用しており、正確なセンシングに基づいたきめ細かな火力調節が可能。「ラクッキングリル」などは搭載しないものの、お手入れしやすいグリル皿を搭載(KBタイプ除く)している。また、トッププレートでは、自動で一定の温度を保ってくれる「焼き物温度調節」(KBタイプ除く)や「光・揚げ物温度調節」といった便利な機能が使えるので、据置タイプでも簡単においしい料理を作ることが可能だ。
KMタイプ | KGタイプ | KBタイプ | |
---|---|---|---|
トッププレート | オールメタル対応 (右IHヒーター) |
オールメタル非対応 | オールメタル非対応 |
グリル | 両面焼き (上下シーズヒーター/グリル皿) |
両面焼き (上下シーズヒーター/グリル皿) |
片面焼き (上シーズヒーター/焼き網) |
火加減上手、高火力、クリーン、快適という特徴を持ち、近年人気を高めているIHクッキングヒーター。その中でも、パナソニックの「Yシリーズ」は独自のグリル機能「ラクッキングリル」を搭載し、忙しい平日は時短で、時間に余裕のある休日はオーブン機能で少し手の込んだ料理も作れる、今どきのライフスタイルに寄り添ったIHクッキングヒーターとなっていた。
搭載する多彩な機能は簡単に使いこなすことができ、調理後のお手入れはラク。使い勝手がよいので、「Yシリーズ」を使えば使うほど料理が楽しくなっていく。このようなちょっといいIHクッキングヒーターをキッチンに設置すれば、より便利に楽しく料理ができ、家族の食生活がより豊かになっていくだろう。