公文書改竄で自殺した近畿財務局職員の「手記」を手に、私は石破茂に会いに行った
佐藤章 ジャーナリスト、慶應義塾大学非常勤講師、五月書房新社編集委員会委員長
「それは普通なら怒るでしょう」
年が明けて2018年3月7日、赤木氏は自らの命を絶った。その少し前の同年2月に認めた「手記」の最後の方で赤木氏はこう記した。
「家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さ。こんな人生って何?」
この原稿の前半部分で、私は石破の怒りに触れた。石破は、公僕の使命に徹して苦しみ抜いた赤木氏の自殺と、公文書改竄にまつわる一連の問題について誰も責任を取ろうとしない安倍政権のあり方に対して、「それは普通なら怒るでしょう」と率直に感情を吐露した。
国会と行政の狭間にいて、毎日官僚たちと一緒に仕事をしていながら、安倍政権の面々は、赤木氏の手記を読んで何も感じないのだろうか。
最初に嘘をつかなければならなかったために、その後も嘘に嘘を重ね、公文書まで改竄してしまった。その犠牲となった官僚についてはあえて心の外に置いておく。
安倍政権の面々の心理的機制は、恐らくはそんなところだろう。