会見回避の首相、「森友」追求逃れか

西日本新聞 総合面 湯之前 八州 川口 安子

 安倍晋三首相は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた一斉休校要請の延長を見送ったが、政府対策本部の会合で一方的に発言しただけで、記者会見は開かなかった。政府関係者によると、首相は当初、会見で直接国民に説明する方向だった。森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で自殺した財務省職員の手記が公表され、会見で関連質問が出るのを嫌ったのではないかとの見方が出ている。

 首相は2月27日に一斉休校を要請した際、唐突な発表が混乱を招いたと批判された。関係者によると、首相はこれを踏まえ、19日に専門家会議の見解が示されれば、それを受けた方針を記者会見で自ら説明する意向を示していたという。

 なぜ首相は会見しなかったのか。政府高官は取材に「コロナの会見で関係ないことを聞かれるのは良くない」と言い、森友学園問題が一因だったことを暗に認めた。

 財務省職員の手記は、佐川宣寿(のぶひさ)元国税庁長官が改ざんを指示したとする内容で、遺族が18日に公表。首相は19日の参院総務委員会で野党が求める再調査を拒否しつつ、改ざんに関し「行政府の長として責任を痛感している」と謝罪するなど対応に追われている。 (湯之前八州、川口安子)

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