2020年3月19日版
文責:佐藤彰洋(ahsato@yokohama-cu.ac.jp)
都道府県ごとに遅れ付確率的SIRモデルを用いた感染率と回復率(除去率)の推計を行った結果を掲載する。
このページのまとめ
2020年3月18日現在感染者数が特に多い上位の都道府県に対して、以下のように感染率と回復率(または除去率)がそれぞれ求められた。また、感染者数を減少させ、感染拡大を終息させるために必要な、社会的距離戦略の目標減少値についても以下のとおり概算値が得らえた。
コード | 都道府県 | 減少目標値: | コメント | ||
01 | 北海道 | 0.050376 | 0.012 | 20% | 若干悪化 |
13 | 東京都 | 0.071769 | 0.0155 | 15% | 若干悪化 |
14 | 神奈川県 | 0.056124 | 0.013 | 20% | 現状維持 |
23 | 愛知県 | 5.222185 | 0.1015 | 1% | 対策必要 |
27 | 大阪府 | 4.234246 | 0.096 | 1% | 若干改善 |
28 | 兵庫県 | 9.462109 | 0.1175 | 1% | 若干改善 |
遅れ付確率的SIRモデル
確率微分方程式
(1)
変数
: 未罹患の状態の人数
: 感染した状態の人数
: 回復または死亡した状態の人数
: 死亡者数
: 回復者数
,
: ウィナー過程の増分
初期値
(2)
パラメータ
: 感染率
: 回復率 (または除去率)
: 死亡率
外生的パラメータ
- 基本再生産数 R0: 3.0 (仮定)
- 潜伏期間+症状が発見されるまでの時間差
: 14 日 (標準的な報告値)
- 都道府県別領域内人口 (総務省統計局公表都道府県別人口推計2019年10月概算値)
パラメータ推定方法
日次感染者数データとシミュレーション結果
との2乗誤差
が最小となるようにパラメータ
と
を選ぶ。
(3)
参考文献:Aki-Hiro Sato, Isao Ito, Hidefumi Sawai, Kentaro Iwata, “An epidemic simulation with a delayed stochastic SIR model based on international socioeconomic-technological databases”, https://ieeexplore.ieee.org/document/7364074
推計結果
都道府県間での移動がない条件のもとで、3月1日から3月18日までの日次感染者数との二乗誤差を最小とするパラメータを選択する。
さらに、各都道府県に対して社会的距離戦略(social distancing)の目標値を3月19日時点でのヒトの直接接触頻度のパーセント(
)とする。このとき、この社会的距離戦略を2週間以上件に所属する人々全てが実行できたとした場合に感染者数の減少を確認することができるかについて検討する。
北海道
- 人口 5,285千人 (2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率 (または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 20%
東京都
- 人口 13,823千人 (2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率(または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 15%
神奈川県
- 人口 9,177千人 (2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率(または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 20%
愛知県
- 人口 7,536千人(2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率(または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 1%
大阪府
- 人口 8,812千人 (2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率(または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 1%
兵庫県
- 人口 5,484千人 (2018年10月現在)
- 感染率
- 回復率(または除去率)
- 社会的距離戦略実施目標値(現在直接接触頻度比) 1%