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【社説】

新型コロナ検査 態勢拡充へ連携急げ

 新型コロナウイルス感染症の検査に公的医療保険が適用されて二週間がたつ。適用は検査態勢の強化に役立つが、まだ適用例は少ない。患者増に備え民間検査機関との連携をさらに進めてほしい。

 感染状況を正確に知るにはより多くのPCR検査ができる態勢が必要だ。その努力はすべきだが、整備には時間がかかる。

 だから、今ある検査機関を効率的に動かすしかない。だが、保険が適用された検査は三月六~十六日までで四百十三件、検査全体の約3%だ。一層の拡大を求める。

 感染が疑われる人は保険適用前は各地の相談センターに電話し、専門外来の紹介を受けて受診、専門外来からの要請で保健所などが検査するか否かを判断してきた。

 ところが専門外来が検査が必要と判断しても、保健所が断るケースが問題となっていた。民間検査機関も含めた検査能力より少ない件数しか実施されていなかった実態も判明した。

 そこで政府は、保険適用とすることで専門外来の医師が必要と判断したら保健所を通さず直接、民間検査機関に検査を依頼できるようにした。かかりつけ医も専門外来に依頼ができるようになった。医師の判断が尊重される点は前進だ。患者の安心にもつながる。

 医療保険から費用を給付されることで参入する民間検査機関が増えれば検査件数も増えるだろう。政府は三月末までに一日七千件の検査を可能にする方針だ。まだ必要な検査が実施できず検査態勢の運用に問題があるのなら、早急に改善してほしい。

 ただ、患者が相談センターに連絡し、専門外来の医師が検査の必要性を判断するルールは変わらない。患者の希望で自由に検査を受けられるわけではない。政府はこの点を繰り返し説明すべきだ。

 PCR検査は精度に限界がある。感染していないのに一定の割合で陽性と出たり、その逆もあるといわれる。感染の可能性が低い人まで対象を広げると間違って判定される人が増え、かえって混乱を招きかねない。誤解を招かないよう政府は検査の実態も分かりやすく説明する責任がある。

 軽症でも感染への不安は同じだ。身近で相談できるかかりつけ医の役割は大きい。相談センターも丁寧に相談に乗ってほしい。

 医療の役割は重症化する人や亡くなる人を増やさないことだ。その観点から検査も感染疑いのある人を優先して対応すべきだろう。

 

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