東京・六本木の超高層ビルの31階に、1年前まで米グーグルのヒト型ロボットの開発拠点があったと聞き、足を運んだ。
シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。そこから派生して、社会が加速度的な変化を遂げるときにもこの言葉が使われ始めている。
もともとは日本のベンチャーだった。その名は「SCHAFT(シャフト)」。2013年に買収され、グーグルの一部門になっていた。
グループの時価総額が今年初めに1兆ドル(約100兆円)を超えたグーグルの資金力と、ロボット研究で有名な東京大情報システム工学研究室(JSK)の出身者たちを集めた。機密を守るため借り切ったワンフロアに、約30人の技術者が働いていた。
開発チームは昨年3月末に解散した。高層ビルのフロアには今、求人情報会社の案内がかかる。
彼らの軌跡に、社会を変えるようなイノベーションが日本から起きにくい理由があるのではないか?
散り散りになった彼らを追った。
拡大するISSで作業するロボットを開発するベンチャー「ギタイ」の中西雄飛COO(左)は中ノ瀬翔CEO(右)が招き入れた=東京都目黒区、諫山卓弥撮影
3月初め、シャフトCEO(最高経営責任者)だった中西雄飛(ゆうと)(38)が東京都目黒区の雑居ビルで出迎えてくれた。パソコンが並ぶ机の下に寝袋がのぞく。職場に寝泊まりする習慣は今も変わらない。
グーグルを辞めた後、国際宇宙ステーション(ISS)で作業するロボットを開発するベンチャー「ギタイ」のCOO(最高執行責任者)に転じた。
「二足歩行ロボットをビジネスにするのは難しかった。グーグルの資金を使い、世界中の天才を集めても、人間の仕事を代わってやってくれるロボットをつくることはできなかった。5年余りの挑戦は途中で幕を閉じました」
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