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【今は昔】転生!かぐや姫【竹取の翁ありけり】 作者:七師

第1章「天照」

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伍拾参.お姉さまを探せ

 (なんかないかなんかないかなんかないか…)


 こういう時は得てして普段なら簡単にできることが焦りのためにできなくなってしまうのです。だから決して焦ってはいけません(キリッ。って、ドヤ顔で解説している場合かっ!!! そんなことをしている間に地面はどんどん近くなってきているじゃないか。


 ここで問題です。重力加速度を毎秒9.8メートル/秒としたとき、空気抵抗を考えないで100メートルの高さから自由落下すると、地面に激突するまでの時間とその時の速度はいくらになるでしょうか? 回答時間は0.5秒!


 …


 はい、そこまでっ! 答えは、激突まで約4.5秒で、激突時の速度は秒速約44メートルです。時速にすれば約160キロメートル。高速道路なら交通警察に逮捕されてしまう速度ですね!


 (知るかあああああああああああああっ)


 どれほど俺の身体能力が高くても、八咫烏の羽を取り出して発動失敗した後に激突までの残り時間がそれほど残っているはずもなく、一瞬で俺の身体は地上10メートルの高さまで接近していた。


 (オワタ)


 そう思った時のことだった。突然、片手がぐいっと引っ張られて、身体の落下が止まった。地面まで後1寸=3センチメートルのところでの奇跡だった。ぎりぎりの所で月☆読が俺の手を掴んだのだ。


 月☆読(ふむ。あなたがお姉さまではないというのは本当のようですね)

 俺『な…、あ…、ま…』


 間一髪で助かった俺は、このシスコンに一言言ってやりたいと思ったが、息も絶え絶えでそれどころではなかった。


 月☆読(だとするとあなたは誰なんですか? そうだ、そんなことよりお姉さま。お姉さまをどこに隠したんですか?)

 俺『ちょ…、まて…、休ませ…』


 お姉さま=天照のことを考えて興奮している月☆読は俺の肩を掴んでブンブンと振り回してきた。このシスコン、本当に容赦ないな…。


 月☆読(はっ。こんなことをしている場合ではっ…)


 ドサッ


 俺『痛っ』


 何を思ったのか月☆読は突然俺を掴む手を放したので、俺は尻餅をついてひっくり返ってしまった。


 月☆読(お姉さまー。どこですかー。お姉さまぁぁあぁぁぁぁああぁぁぁ)


 ところで、ここまでのところ月☆読の発言はすべて念話であって唇は1ミリも動いていない。取り乱して大声で叫んでいるのに唇が全く動かないというのは非常に違和感がある。その上、表情は全く美形でクールなのに、話すことは極度のシスコンというのはなんという残念なギャップだろうか。


 (あのやろ、一発返してやらないと気が済まねえ)


 俺はおもむろに手に持っていた八咫烏の羽を発動させて空に浮かび上がり、天照を探して右往左往している月読の後を追った。さすがに3度目の飛行なので随分慣れた。大体、さっきの地上100メートルからの自由落下からすればままごとみたいな高度と速度なのだ。はっきり言って余裕である。


 俺『おい、月☆読っ』

 月☆読(おねえぇぇぇさまぁぁぁぁぁ)

 俺「別雷の名により、我が敵を滅す」


 俺は印を結んで呪文を唱え、天にかざした右手を月☆読に向かて振り下ろした。


 俺『頭を冷やせぇぇぇぇぇぇぇ』

おかげ様で、総合評価が500ポイントを超えました。また、累計UUが2万を超えました。これからもよろしくお願いします。

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