明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年越し、音MAD10選生を見終わった後にyoutubeでラップバトル動画見ていたらいろいろ思ったことがあったので記事にしました。
見たのはこれ
大阪代表R指定 vs 東京代表DOTAMA(MCバトル大会UMB2013の決勝の試合)
https://www.youtube.com/watch?v=s62_JF3fnWE(1回戦目)
https://www.youtube.com/watch?v=R-J-j9vOliE(延長戦)
https://www.youtube.com/watch?v=WnSr64cZos8(再延長戦)
イケメンラッパーvsサラリーマンオタクラッパーという構図で、ちょう面白いです。
ラップバトルは基本8小節ごとで交代するので、その枠組みの中でどれだけ客を盛り上げられるかってとこで競い合います。国内最大級のラップバトルの決勝ともなるとそれがかなり洗練されていて音MADにも転用できる部分が多そうと思ったので、そのことについて書いてきます。
■8小節目の盛り上げ方がうまい
動画みてもらったらわかると思うんですけど、二人共言いたいこと好き放題言って、ハチャメチャな感じなのに最終小節でしっかりピリオド打って綺麗に終わらせているんです。でいながらかつ両者とも自バースのケツに何かしらアクセントとなる要素をぶっ込んでいてそれが面白いんです。
それはシャウトだったり、メッセージ性の高い言葉だったり、声質を変更だったり、色んな工夫が見られます。これ音MAD作成の際の参考になりそうですよね。
例えばシャウトは音MADでも使える素材として認識されてますし、最終小節のここぞってとこで叫ぶのはラップバトルも一緒です。やっぱりケツの部分で上手いこと締めると気持ちが良いです(意味深)。
声質の変更は上の動画だと2箇所ありました。
・DOTAMA 1戦目 3バース目「でもミュージシャンとしてはトーシロ」
・R指定 延長戦 3バース目「殺しのメロディ口ずさんでいる」
で見られました。これを音MAD的に考えると
「有沢さんとデート」
これの1:00~の有沢さんのゴミ箱声が面白く感じるのと同じなんじゃないかと思ってます。オハヨーキョーモイイテンキダネーって声色になっている部分です。「ここいい」「ここすき」ってコメントが付いてるので多分皆さんも気に入ってますよねここ。普段のフローを切り替えて別のフローでラップしてる点が効果的であるように思えます。
これをさらに一般化して考えると、「モノマネ声」「棒読み」なんかのキーワードで括れそうですね。ほたるんのれんちょんモノマネは良素材だった……?
・R指定 延長戦 2バース目「UMBって最高やな」
・R指定 延長戦 4バース目「それだけのためにここに来たんじゃ」
で、全体を通して最終小節の部分で意外だったのは思ったより押韻をしていない事なんですよね。一番の落とし所なので5文字くらいバンバン踏んで〆るものかと思いきやあんまり踏んでない。えっ、ラッパーなのに韻踏めないの?と思うかもしれませんが、彼ら(UMB本戦に上がってくる人たち)は当然踏めます。特にR指定の方は、2010年頃は毎小節5文字くらい脚韻を踏んでいて、進行に「もう踏むのが当たり前みたいになってますけど大丈夫ですか(※1)」と突っ込まれるくらいでした。ですが今となっては最終小節で踏むことにあまり執着していないようです。なぜか。恐らくR指定は無理して踏むよりもインパクトのある言葉やメッセージ性の強い言葉を放ったほうが観客が付いてきてくれることに気付いたんじゃないかと思います。もしくはその時々の観客のトレンドに合わせてスタイルを変化させてるのかもしれないです。どちらにしても、押韻なしのスタイルであっても、キッチリ踏んだ時と同等またはそれ以上の盛り上がりを生むことができるようです。(こういうのをパンチライン型と言うのでしょうか)
これを音MAD的に考えると、例えばミルキィホームズの「トイズそれは(中略)その名を探偵と怪盗と言った!」なんかがそれに当たるのではないかと思ってます。ギャグとしても、名言(「hyper なんちゃって ミルキィ ちゃんねる」のラスト)としても、どちらにしてもパンチのある言葉で締まってて魅力的です。これみたいにタイムラインに並べるだけでグッと来る言葉は変に弄らないでそのままにしてほうが却って良いんじゃないかと思います。使い古されているセリフでもない限り。余計な味付けのいらないイワナみたいなものですね。
他思ったこと
・R指定 1戦目 3バース目「Mr.UMB教えてくれ」の繰り返し
・R指定 延長戦 2バース目「不良でもハスラーでもギャングスタでもヘタレでもお前みたいな真面目な奴でも」 ”でも”の繰り返し
ここらへんは最終小節盛り上げへの布石として機能していますね。単純な並列関係になっているのでこれは音MADでも真似出来そうです。
■ワンパターンじゃない
両者とも凄いと思うのは引き出しが多いところなんですよね。怒鳴ってばっかりの押せ押せだったら、まぁ8小節2本勝負くらいだったら持つと思いますけど、何度も続けば当然飽きて白けてしまいます。所々おちょくるスタイルで引きながら、時には相手を褒めながら、要所要所でシャウトすることで観客を引き込んでます。引き出しの多さスキルの多さが観客を飽きさせず、かつ更なる盛り上がりを生む要因になってます。ワンパターンにならないようにあの手この手で観客の心を掴むことが大切みたいです。
「私的音MADマッシュアップメドレー」
「飽き」ってのは当然再生時間が長くなれば長くなるほど生まれるものですけど、これは音声は音MAD的要素・マッシュアップ要素、映像は凝った部分と手抜き部分とで緩急が付いていて、それによって上手いこと視聴者の心を掴んでいるように思えます。ストレートにジャブを織り交ぜることで戦略性が増すような感じです。これ長い割に飽きずにずっと聞けるのはそういった理由なんじゃないかなと。
■舞台が整いすぎ
あのバトルは実は因縁の対決でして、それが観客の盛り上がりを促進する要因にもなっているんです。2011年のUMB本戦で、優勝候補筆頭だったR指定が1回戦で色物ラッパーDOTAMAにあっさり負けてしまって、あれはなんていうか衝撃的な1シーンとして観客に記憶されていたわけです。そして今回そのリベンジとして同じUMB本戦で、お互い東京代表vs大阪代表というデカイ街を背負って、さらにそいつらが決勝で対立したということで、観客のテンションがMAXになっているわけです。これは試合を楽しむ上で滅茶苦茶デカイ要因ですよね。
これ動画で再現できたら凄いことになるだろうなーと思うのですけど、どうすりゃそうなるのか、ちょっと思いつかないです。敢えて言うなら同一作者によるリメイクMADを見た時に生じる感情がそれに近いと思ってます。エア本グルメレースを作った自販機さんが合作でリメイクされたときの感情の昂ぶりといったらモウモモウ。でもこれラップ調音MADには関係ないですね……
ラップ調の音MADは実際のラップからまだたくさん学べることがありそうです。
今更ながらこのタイトルなんかトートロジーみたいだな……
(※1)UMB2010 FINALより
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