■前口上。
音MAD作者に「音MADを作る際に嫌いな行程」というアンケートを取ると、どんな答えが返ってくるでしょう。
セリフの切り出しが面倒…なのはどうしようもないとして、音が出来た後の動画作りも上位に入るのではないでしょうか。
音が出来たのだからとっとと投稿してしまいたい。しかし静止画や単なる切り貼りでは、せっかく頑張って作った音声なのに味気ない。それでもやはり、動画作りは時間がかかるし面倒くさい。そういった苦悩を経験した方も多いと思います。少なくとも僕はそうです。いつもうんざりしながら動画を作っています。
そこで本記事は、「動画作りが面倒臭い!…でもそれなりの質は保ちたい。」という方をターゲットとして、大した労力を割かずに、かつ手抜きに見えない、そんな動画作りの一助になるべく執筆致しました。要するに、楽な作り方をテンプレ化しちゃおうというものです。題して、""病弱戦法のススメ""です。
■病弱戦法とは。具体的な作例。
私が強く推すこの「病弱戦法」。病弱戦法とはなんぞや?ということで早速作り方に入っていきましょう。
肝心なのは動画の構図です。
下図を御覧ください。
このように画面の中に更に小さな画面を固定させるのが""病弱戦法""の基本形です。
これの図式を作れば動画は半分完成したも同然です。余裕があればメインキャラの切り抜き素材を1,2枚用意すれば十分すぎるくらいでしょう。ここからは実例を踏まえて順を追って説明します。今回は適当にAviUtlでドキプリMADを作っているという設定で話を進めまして、まずはAから。
Aは見ての通り背景の役割を担います。アニメのワンシーンをキャプってくるなり市松模様にするなり何でもいいのですが、あくまでAは背景なのでBより目立ち過ぎないことを念頭に選んで下さい。ドキプリはオープニングのタイトルロゴ部分が使えそうだったのでそれをキャプって背景に設定してみます。ペタッと。
これでもう背景が出来上がりました。簡単ですね。では次にBへ。
Bはいわゆる小窓の役割ですが、中央固定です。好みのサイズに縮小し、背景の上のレイヤーにベタベタのせていきます。こんな感じです。如何でしょう。
さて、このままでも良いかもしれませんが、小窓に対していささか背景が主張しすぎていますね。先程と繰り返しになりますが、背景が目立ちすぎると動画全体のバランスが悪くなるので「派手だなぁ」と感じる場合は色調補正で彩度を落とす、明るさを上げる等といった工夫をしましょう。また、「縁取り」を用いてAとBの境目をわかりやすくするのも効果的です。以上の手順を踏まえたのが下記になります。
これで病弱戦法の基本形が完成しました。更にもう一手間加えて、静止画の切り抜きを用意すると更に画面が華やかになります。
いかがでしょうか。サムネにしても問題ないほど華やかになったと思います。
以上が病弱戦法の作例でした。
■病弱戦法の魅力、容易な応用。
病弱戦法の魅力はなんと言っても、基本形からの応用が非常に容易であることが挙げられます。少ない労力で効果的な演出が可能な、非常にお得な手法なのです。
例えば、シーンによってAの背景画像を差し替えるだけでも粋な演出に感じられるでしょう。青空、夕空、夜空と移し替えて行けば簡単にMAD内に時間の経過を生み出すことができますし、シーンごとに場所が異なるMADなら風景画像をその都度差し替えても面白いかもしれません。また、画面の外側と内側が呼応の関係にある演出も魅力的でしょう。このように、外側と内側で区分されている構図から、多様な発想を生み出すことが出来、それを比較的容易く実現することが出来ます。
■実例 ※
最もスタンダードな病弱戦法です。単なる切り貼りではなく、右側に腹ペコななおちゃんを添えることで可愛さがアップしています。なおちゃんのイメージカラーである緑色を背景にすることで、なおちゃんなおちゃんした動画になっています。
外枠をスペクトラムアナライザ風にすることでシンプルながらオシャレな映像になっています。また、内側の映像を音にあわせて振動させているのも効果的です。
■応用例 ※
静止画の切り抜きを小窓の外側で動かすことで、前と後ろで別々の演出が行われているという複雑な構図に見せています。紐解いてみれば、本編の切り貼りと静止画数枚だけで構成されているシンプルな動画であることがわかります。
両サイドに八九寺真宵と阿良々木暦の静止画を常時配置することで、中の映像内に話している本人らが登場していなくとも視聴者に違和感を感じさせていません。これにより、動画内で口パクを合わせることの脱却に成功しています(これが非常に大きい)。
※ 上記の実例は似たような構成の動画を筆者が後付で病弱戦法とほざいているに過ぎません。解説は全て筆者の偏見に依るものです。
■まとめ
・病弱戦法は「背景」と「中央の小窓」によって構成される動画作成法である。
・内側外側の構図上、労力をかけずに画面を華やかにすることが出来る。
・応用が容易なため発想を引き出しやすい。
以上です。良い音MADライフを。