撮影できるともできないともいえます。演劇部員の家族や関係者ならOK、一般人はNGといった風に、誰が撮影するかで撮影の可否が判断されるのではなく、事前に許可を得ているかがもっとも重要です。
とにもかくにもまず演劇部顧問に相談
演劇連盟が主催するイベントの場合、事前許可のない撮影行為は例外なく禁じられているはずです。では、その辺の学生スタッフを掴まえて「子供(孫)が役者として出演するので撮影したい」と頼めば許可が下りるのかというと正直よくわかりません。
おそらく、現場責任者であるどこかの演劇部の顧問に話が取り次がれると思いますが、その先生の考え方次第でしょうね。
じゃあ事前許可ってなんなんだという話ですが、もっと公的なものを想定しているのではないでしょうか。たとえば、学校関係者が「演劇部の活動を映像として残すため」みたいな理由で書類を提出した場合に限り、OK、みたいな。実際、後方の客席や通路などに三脚付きのビデオカメラが置かれていることが多いですが、設置しているのはほぼ顧問のはずです。
ちょっとずるく考えるのであれば、演劇連盟に直接お願いするのではなく、「学校が取る事前許可に乗っからせてもらえませんか?」と演劇部の顧問に頼んだ方がスムーズにいくかもしれません。
全国大会での撮影はおそらく至難の業
ただ、顧問に頼んでも全国大会やブロック大会だと難しいかも。大会のレベルが上がるにつれてあからさまに客が行う撮影に対しての取り締まりが厳しくなるからです。地区大会なら「顧問がOKしていれば」となりそうですが、ブロック大会、全国大会だと、客席でスマホを掲げてすぐ、スタッフがすっ飛んでくるでしょう。
中学演劇の全国大会での話ですが、身内がステージに出てきたタイミングでデジカメを使って撮り始めた人がいて、あわてて駆け寄ってきたスタッフにものすごい勢いで注意されていました。地区大会ではそういった光景(撮影を厳しくとがめられる)を見たことはないので、穏便に済ませたいなら地区大会が狙い目です。
とはいえ、「全国のステージに立った我が子を撮りたい!」という人も多いでしょうし、この辺は私にとって未知の領域なので、どうしても全国大会の舞台を撮りたいならとにかく顧問に相談してみてと返すしかありません。
撮影が許可された場合は
無事、撮影許可が下りた場合は写真ではなくビデオを選択してください。そして、最後方の客席から撮ることをお勧めします。
尿酸値を下げるためとはいえ飲食禁止の客席でアクエリアスを飲んでいる私がいうのもあれですが、写真を避けてほしい理由はシャッター音とフラッシュが気になるから、前方でのビデオ撮影を勧められないのは、モニター画面の明かりが後方にいる観客の視界に入るからです。
ステージ照明はとても細かな打ち合わせの末、色、光量、オンオフのタイミング等が決められており、まったく無関係の明かりを自分以外の観客に常時見せるのは、すべての観客に劇のよさが伝わるようにという演出や照明スタッフの努力に泥を塗ってしまうことになります。
残念ながら「撮影は駄目」といわれてしまった場合は、演劇部の顧問に撮影データをコピーしてもらえるか聞いてみましょう。
第三者の立場で舞台の撮影を希望した場合
許可を取りさえすれば誰でも撮影できるとはいえ、演劇部とは無関係の人が申請するとなると身内のケースよりも条件は厳しくなります。
昨今、正体不明の成人を無条件に信用して、未成年者を撮影させるのはいかがなものかという風潮があるのはご存じの通りで、顧問へのつてがない人が受付の学生スタッフに「舞台を撮影してもいいの?」と言い出した場合の結果はだいたい見えています。
多分、そのとき手が空いている顧問の一人が怪訝そうな顔つきで出てきて、
「出演者のご家族の方ですか?」
「いえ、違います」
「なにかの取材ですか?」
「いえ、それも違います。趣味です」
「あー、ちょっと撮影はお断りさせていただいているんですよねえ」
と、こんな流れで終わるでしょう。
そもそもホールに「撮影お断り」のお触れが出ている上、高校演劇は学校の課外活動であり、先生には生徒を守る務めがあるのでこうした塩対応も無理からぬこと。後述しますが、演劇部とは無関係の立場で彼らを撮影したいのであれば、比較的制約の少ない自主公演に行くのが一番いい方法です。
本来、撮影できないところで撮影をお願いすることは、「自分を特別扱いしろ」とイコールであり、関係者とまったく信頼関係がない状態でそれを求めるのはトラブルの元ですし、無理があります。
自主公演を通じて何度か顔を合わせ、言葉を交わすことで部関係者と信頼関係を築ければ、大会での舞台を公に撮影できる可能性も上がるのではないでしょうか。
文化祭公演などの自主公演は撮影しやすい
文化祭などで行われる自主公演は事前の許可がなくても自由に撮影できることが多いです。その場合、演劇部の部長による冒頭の挨拶で「撮影してもかまいません」との一言があるはず。ただ、一応、暗黙の了解として動画撮影のみでしょうね。教室のような狭いスペースでデジカメのシャッター音を鳴らしまくられたら役者も観客もたまりません。
撮影OKなら、演劇部員の家族や友人といった関係者だけではなく、私のような部外者でも許可されます。注意したいのは、「撮影してもいいけど、動画データをネットにアップするのはやめてください」といった条件がつくケースもあること。必ず従うようにしましょう。冒頭の挨拶で撮影の可否についてまったく言及がなかったときは案内係の部員に聞いてみてください。
ステージを撮影するなら写真よりもビデオを勧める、もう一つの理由
ここまで、周囲への配慮を挙げて撮影するならビデオで、と書いてきましたが、実は撮影する側にとってもビデオの方がいい理由があるのです。
ブロック大会あたりになってくると、パンフレットに各演劇部の舞台写真が載せられることがあります。
で、その写真というのが大抵、
上にあるような、学生が机か椅子を囲んで突っ立っている感じのものばかりなんですよね。
もうちょっとなんかあるだろといいたくなるんですが、高校演劇の多くはそういう絵面で話が進んでいくのも確かであり、写真だとすべてのシーンを事前に把握していない限りは撮影者がカメラマニアだろうがなんだろうが、いまいち冴えないものしか撮れないのです。
「我が子の晴れ姿を撮影したぞ!」となっても、ただ突っ立ってるだけの静止画だとあんまり感動がないのでは? そんなわけで、ビデオの方がいいよねという話になります。
上演終了後に部員との記念写真は撮れるか?
舞台衣装を着た身内と記念写真を撮りたいという場合ですが、自主公演であればまったく問題ありません。
演劇連盟主催の大会の場合は、あらかじめ部員に「終わったら舞台衣装のまま写真を撮ろう」と話を通しておいた方がいいでしょう。役者たちはロビー(ホワイエ)で待っていれば大抵出てくるので、写真を撮るのは難しくありませんが、"舞台衣装を着たまま"出てくるかは端から見ている限り学校によって異なるからです。
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