華々しい新駅開業の裏で
多くの廃駅も決まっている
このように新駅開業が予定されている一方、2020年中に姿を消す駅も多い。長らく経営が苦しい状況のJR北海道では、ダイヤ改正を機に南弟子屈駅と古瀬駅の2駅、さらに5月には札沼線・北海道医療大学駅~新十津川駅間の廃止とともに、この区間の駅も廃止される。代行バスは運行されるものの、鉄道駅としての役割を失うことは沿線地域にとって大きな影響を与える。
さらには、東日本大震災の被災規模が大きかったJR東日本の気仙沼線・大船渡線の一部区間についても、この4月1日に正式に鉄道事業を廃止することとなった。震災後は鉄道からBRTとして、専用道路でバスを運行する形に切り替わっていたが、ついに鉄道の復旧はかなわなかった。ダイヤ改正時に両線には「BRT」の駅が新設されるが、姿を変えてもぜひ、街の顔としての役割を果たしてほしい。
少子高齢化・人口減少時代と言われて久しいが、2020年代となり、地方部においてはいよいよその影響が生々しい形で押し寄せてきている。冒頭で述べた通り、駅は「街の顔」としての役割も大きく、さびれていく姿を見るのは物悲しいものだ。
しかし一方で、経済産業省および国土交通省が推進するMaaSの取り組みが各社で活発化し、パークアンドライドや公共施設、保育所など、さまざまな施設を併せ持つ駅が登場してくるだろう。駅が鉄道駅という単一の「手段」から、さまざまな機能を持つ「目的」としての存在となり、地域の拠点として、新たな価値を持つことも考えられるだろう。