3月のダイヤ改正での注目は
東武アーバンパークライン

 そして年度の最後を締めくくるのが、JRグループのダイヤ改正だ(日付は未定)。国鉄時代の大規模なダイヤ改正は10月に行うことが多かったが、民営化後は3月に行われるのが恒例となっている。

 JRは新幹線や特急列車など会社をまたぐ長距離列車が多く、普通列車との接続なども考慮しなければならないため、ダイヤ改正も鉄道会社間の調整が欠かせない。また首都圏ではJRと地下鉄、私鉄が直通運転を行っていたり、近年はICカードのシステム改修のタイミングを合わせる必要もあることから、JR・私鉄・地下鉄のダイヤ改正が3月に集中する傾向が強まっている。

 では、今年度末に実施が予定されている項目を見ていこう。大規模なダイヤ改正が予定されているのが東武鉄道のアーバンパークライン(野田線)だ。六実~逆井駅間の複線化工事が完了し、現在、大宮~春日部駅間で運行している急行運転を、運河~船橋駅間にも拡大する。また、朝夕ラッシュ時間帯の急行運転開始や、他社線と接続するターミナル駅の終電を最大30分程度繰り下げるなど、成長の柱と位置付けるアーバンパークラインの輸送強化を推し進める。

 話題になりそうなのは、世間を騒がせた「高輪ゲートウェイ」駅の開業か。ただし駅周辺の街開きは2024年の予定で、オリンピック期間中はパブリックビューイングなどイベント会場になるようだが、しばらくは工事現場の中にぽつんと佇む不思議な駅になりそうだ。(「『高輪ゲートウェイ』に批判、『虎ノ門ヒルズ』に納得の声が多い理由」参照)

 駅名といえば、ダイヤ改正と同時にさまざまな駅で駅名の変更が行われる予定だ。京急は産業道路駅を「大師橋駅」、花月園前駅を「花月総持寺駅」、仲木戸駅を「京急東神奈川駅」、新逗子駅を「逗子・葉山駅」に改称する。JR常磐線の佐貫駅も、地元の要望により「龍ケ崎市駅」に改称される。

 さらに、羽田空港第2ターミナルで国際線の運用が開始されるため、国際線ターミナルを第3ターミナルに改称する。これに伴い、京急と東京モノレールの空港内各駅の名称が変更されることになる。(「『駅名』の謎、改称の意外な高額費用や新駅名には“流行”も」)参照)

 このほかにも、首都圏の鉄道各社の駅では、来年のオリンピック・パラリンピックに向けたホームの増設・移設工事や、ホームドア、エレベーター、エスカレーターの設置、駅のリニューアルなどが形になっていくだろう。

 2013年の招致決定以来、準備に追われてきた鉄道事業者にとっては、オリンピック・パラリンピックが終わるまでのあと1年は、ランナーズハイのような高揚感に包まれた日々が続くことになるだろう。筆者としては夢からさめた後のことが一番気になるのだが、これについては稿を改めて考えたい。