年代記。5巻6冊。大野広城編。1841年(天保12)刊。徳川家康から家斉まで,1542年(天文11)より1837年(天保8)まで300年間の年代記で,幕府の行事,事変,事件,奇談など詳細な説明を施してあり,《徳川実紀》を補うべき文献であるが,出版元とも幕府の処罰を受け,著者は丹波綾部藩に預けられ,没した。しかし,絶版後もひそかに写され,続編(1838年より52年(嘉永5))さえ編集された。大野広城は国学者,幕府小十人組に属し,著書《青標紙》《殿居袋》は有名である。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報