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臨床心理学科 教員紹介 浅野 正
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浅野 正准教授臨床心理士

専門領域臨床心理学犯罪心理学

自己紹介

浅野 正先生
 岐阜県で生まれ育ち、大学から東京に出てきました。大学時代は様々な分野の本を乱読しましたが、その中で「無意識の発見―力動精神医学発達史―」という本に出会い、心理学の面白さを知りました。大学院時代は、複数の臨床現場にかかわり関心領域を広げましたが、卒業後環境が変わるとそのほとんどが途絶えました。やはり研究テーマは、5年先10年先まで続けられるものを選ぶべきだと思いました。 大学院後、少年鑑別所と刑務所で12年間勤務しました。非行少年や犯罪者の心理アセスメントが主たる業務です。一時期ロールシャッハテストに没頭しました。当時ある臨床心理士の先生から、「ロールシャッハテストを勉強していることは分かるが、それ以外に何ができるのか」と聞かれ、答えに窮したことを覚えています。折しも、アメリカの大学院に留学する機会に恵まれ、自らの専門領域を広げられました。留学中は主に、被害者支援について研究しました。海外で異文化に適応しようとする努力を通じて、自らも成長できたと思います。他人と異なっていることに不自然さを感じないアメリカ人の気質にも共感を覚えました。 公務員を辞め、大学教員になりました。これまでの経歴を生かし、社会的な視点を大切にした研究を心がけています。被害者支援を中心とした、社会的な実践活動にも力を入れています。

専門領域

専門分野は、心理検査・心理アセスメント領域と、非行・犯罪心理学です。包括システムや力動的解釈に基づくロールシャッハテスト研究や、描画法の一つであるS-HTP法に関心があります。また、加害者を対象とした心理教育の実施と、その効果測定、被害者に対しては、被害体験からの回復を意図した心理的援助の実践に関心があります。

過去の卒業論文

  • 青年期における親子の信頼関係と非行要因としてのセルフコントロールの関連
  • 親の養育態度が子どもの向社会的行動に及ぼす影響
  • 性犯罪者処遇プログラムと性犯罪者の社会復帰に向けての取り組み
  • 児童期の遊び体験・習い事経験が青年期の攻撃性・社会性に与える影響について

推薦図書

講談社現代新書
 発達障害の子どもが、周囲からの不適切な対応の結果、自尊心を低下させ、死んでしまいたいと言うことがあります。一方で、同じ障害を負いながら、生き生きとした生活を送っている子どももいます。発達障害の子どもをどう理解し、どのようにかかわっていけばよいのでしょうか?発達障害の子どものよりよい成長を考える人は、是非手元に持っておきたい一冊です。
悠書館
 インクのしみが何に見えるかを答えてもらう心理検査である、ロールシャッハテストの解説書です。複数のメンバーが集まってのロールシャッハ研究会の記録を基にしている本書には、人間を深く理解するための含蓄ある解釈方法が満載です。初版は30年以上も前に出版されたものですが、当時のロールシャッハ研究会の活気ある姿が目に浮かぶようであり、ロールシャッハテストの時を超えた重みを感じます。
森田ゆり訳
 犯罪者に対して、自らが犯した罪に見合った罰を与えるのが刑事司法の基本といえます。しかしその中で、被害者の役割は抜け落ちてしまいます。むしろ被害者のニーズを第一に考え、当事者の直接の対話により、犯罪による損害を回復することを目指すことが、修復的正義の基本的な理念です。本書により、被害者の応報感情を満たすこと以外で、被害者を支援する方法を考えることができます。
教員ポスター 浅野研究室