「関西電力はモンスターと言われるような人物を生み出した」-。関電の金品受領問題を調査した第三者委員会は、そう結論づけた。「怪物」の温床になった原発の深い闇。これで解消できるのか。
関西電力高浜原発が立地する福井県高浜町で、関電のトップや原発立地関係者らが、町の実力者であった元助役(故人)側から長年にわたり、金の小判や現金入りの菓子袋など、多額の金品を受け取っていた。
元助役と関連の深い地元建設会社には、関電から原発関連工事が次々発注されており、建設会社からは、元助役に多額の資金が渡っていた。つまり、関電から出た「原発マネー」が、関電トップに還流していた疑いが強い。原資は、利用者が支払う電気料金だ。
関電はおととしすでに、金沢国税局の指摘を受けて社内調査を実施、金品問題を把握していたが、取締役会に諮らず、公表もしなかった。
第三者委員会による今回の調査では、元助役側からの受領者は、七十五人、総額三億六千万円と社内調査の結果より多くなり、それらの金品が原発関連工事発注の「見返り」であると明確に結論づけた。
調査報告書によると、関電と元助役とのいびつな関係は、高浜原発3、4号機の誘致に当たり、推進役として元助役の力を借りたことから始まった。3・11後、原発の安全対策工事の増加が見込まれる中で、受領者数や金額が大きく膨らんでいったという。
第三者委の但木敬一委員長は「地元対策に透明性がないことが、今回の原因だ」と指摘した。
立地にしろ、増設にしろ、不透明な原発マネーの力を背景に地元の同意を取り付けてきたと思われる関電のやり方に、根本的な疑問を投げたということだ。
3・11後の対策工事に不正が絡むとすれば、原発の安全性への不安は増す。
不透明な金の流れは、原発立地や3・11後の対策工事にどのような影響を与えたか。本当に安全なのか。そもそも金でしか解決しようのないものを、地方に無理やり押しつけようとしたことが、闇を生んだのではないか-。
「立地の闇」にさらなる光を当てない限り、闇に巣くう「怪物」たちは、よみがえる。
そして何より、無理強いは、もうやめにすることだ。そうすれば新たな闇は生まれない。
この記事を印刷する