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【今は昔】転生!かぐや姫【竹取の翁ありけり】 作者:七師

第1章「天照」

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卅参.空耳アワー

 始めから結局そうなるのではないかと思ってはいたので、予定通りではあるのだが、できれば避けたかった展開だった。つまり、変態式神に助手をしてもらうのだ。


 俺は木箱を持ってきて、式神の人型を取り出した。以前と同じように光の中から裸の少女が現れる。


 式神『やほー』


 この状態の変態式神に下手に声をかけると何をされるか分かったものではないので、すぐに服を出した。平安装束は袖が邪魔なので、昨日天照が着ていたワンピースを着させることにして、まずワンピースの形の紙片を取り出した。先程と同じように光と共に元のワンピースに戻る。


 素肌にワンピースを直接着るのも変だと思ってキャミソールを復元し、胸はまだ全く発達していないのでブラは省略して、ショーツを復元しようとしたところで今朝の葛藤を思い出した。


 (しまった。ショーツは俺が穿いてた)


 式神『これを着ればいいのか?』

 俺『ああ。こっちを先に着ろよ』


 さて困った。ここで俺がショーツを脱いでこいつに穿かせようと思っても、多分間違いなく一筋縄ではいかない。しかし、ショーツを穿かなければワンピースにノーパンで床に座らせるというかなり危険な状況になってしまう。裾が長いから実質的にはそんなに危険はないかもしれないけれど。


 式神『着たぞ。パンツは穿かなくていいのか?』

 俺『な、何を言っている…?』

 式神『…、変態』


 グサッ


 変態に変態と言われてしまった。ちょっとショックで立ち直れないかもしれない。変態式神はいいネタが見つかったという様子でニヤニヤしている。


 式神『変態』

 三羽烏(変態)


 グサグサッ


 (あれ? なんか変な声が混じってなかったか?)


 俺は変な声の持ち主である三羽烏の方を振り向いた。三羽烏はカラスなのに真っ白になって硬直している。


 俺『今、なんか変な声が聞こえたと思ったが、気のせいか?』


 三羽烏の足元には変な汗がぼたぼたと落ちて水たまりを作っている。湯煎の上にこいつらを吊るしておけば、落ちた汗で湯煎の湯の補給になるんじゃないか、とちょっと考えた。その考えが伝わったのかどうかは分からないが、三羽烏のうちの1匹が白目を向いて失神してしまった。


 俺『空耳か』


 空耳でないことは分かっているが、この辺で許しておくことにした。


 ところで、この変態式神は洋服ならショーツが必要だということを知っていたことになるけれどどうしてなのか、とふと疑問に思った。


 俺『なあ、式神。お前はどの辺まで知ってるんだ?』

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