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新型コロナで最もパニックになっているのは安倍総理だ/倉山満

陰キャ中の陰キャ内閣法制局のトップ・近藤正春長官の神業的責任逃れには舌を巻くしかない

 河井前法相は、菅義偉官房長官の側近として知られるが、もともとは安倍首相の側近でもある。仮に河井夫妻の逮捕許諾請求が検察からなされた場合、安倍首相はどうするか。実は「指揮権発動」という伝家の宝刀があって、首相には国会議員の逮捕を止める権限がある。だが、世論の反発は必至だ。一度だけ吉田茂内閣が発動したことがあったが、ほどなくして政権交代に追いやられた。かと言って、逮捕をみすみす許せば政権に大きく傷がつく。だからこそ、強引に人事介入をしているのだ。しかも安倍内閣は、3月で定年になる広島高検の検事長の後任にも意中の人物を送り込もうとしているとか。  稲田伸夫検事総長は、もはや安倍内閣と刺し違える覚悟で戦っている。激戦だ。  その検察の走狗となっているのが、野党とリベラルマスコミだ。法務省は検察庁法で禁止されているはずの検察官の定年延長を、国家公務員法の解釈変更という荒業で行った。当然、矛盾を突かれ続ける。森まさこ法務大臣の答弁は成立しておらず、毎日のように立ち往生している。一方、日本国の法令解釈に責任を持っているはずの内閣法制局は、近藤正春長官が「ウチは意見を聞かれたときに意見を言うだけ。責任は現用官庁にある」と涼しい顔だ。  あらゆる官庁は、法制局に「その法令解釈には疑義がある」と一言クレームをつけられただけで震え上がる。財務省主計局とて例外ではない。日頃の法制局を知る人間は、近藤長官の神業的責任逃れに舌を巻くしかない。おそらく自民党の政治家など、近藤長官の答弁の意味を理解できていないし、しようともしないだろう。  内閣法制局とは何か。陰気なキャラクター、陰キャである。陰キャで有名な東大法学部から国家公務員に進む人々の中で陰キャとされるのが、内閣法制局である。この官庁は、独自採用を行っていない。各省庁から、選りすぐりの法律オタクをスカウトする。官僚は法律を作成するときに隔離される。普通の官僚は嫌がるのだが、法制局に行くような連中は、そのような環境に恍惚感すら抱く。内閣法制局とは、陰キャ中の陰キャなのだ。そして、その法制局が我々の生活を最終的に決めているのだ。今回のコロナ騒動も例外ではない。  野党は民主党政権時代に作った、新型インフルエンザ「等」特別措置法を今回の新型コロナに適用すれば迅速に対応できると主張している。対して与党は、それを無理として新規立法を求めている。確かに厳密な解釈をすれば、その通りだ。  だが、やってはいけない検察官の定年延長は解釈変更で押し通し、やるべきはずのコロナ対策は解釈変更ができないことになっている。誰が決めているのか?  内閣法制局に「どうぞ、おやりになれば? 責任もどうぞ」と言われた時、自信を持って「やる!」と言い切れる自民党政治家など聞いたことが無い。  長年、自民党が官僚機構をシンクタンクとして活用してきたツケだ。これでは官僚が間違えた時、日本は滅びる。官僚機構に騙されない、民間シンクタンクを作るしかない。 ※週刊SPA!3月10日発売号より憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『13歳からの「くにまもり」

13歳からの「くにまもり」

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