東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

<証言 相模原殺傷事件> (4)事件前 交際相手に「変化」語る

植松被告が勾留されている横浜拘置支所=横浜市港南区で

写真

 「もっとしゃきっとした写真を載せてくださいよ」

 公判中の一月二十九日、横浜拘置支所で本紙の接見に応じた植松聖(さとし)被告(30)は苦笑いを浮かべて記者に言った。事件後に本紙に載った帽子をかぶった写真と思われた。

 第五回公判。事件当時、植松被告と交際していた女性が証言した。二〇一四年に交際していったん別れたが、一五年十一月ごろから再び付き合うようになった。

 検事「障害者についての彼の発言に変化は」

 女性「生産性がないとか、いても意味がないとか、否定的な言葉が聞かれるようになった」

 検事「大きく変わった点は」

 女性「特に自分の見た目を気にするようになった」

 一五年秋ごろ、植松被告はまず鼻を整形した。一六年二月の入院後は数回の全身脱毛や二度目の鼻の整形を行い、七月の事件の前には二重まぶたにした。女性に「見た目のいい方がトクだ」と話した植松被告。整形後は「自分のレベルが上がった。発言力が増し、俺の言うことをちゃんと聞いてもらえる」と得意げだったという。

 整形に約八十万円かかり、借金は女性が知るだけで百万円ほどあったが、気にしている様子はなかった。すでに両親や友人に「障害者を殺す」と話すようになっていた。

 「障害者はそれぞれの特性があって生活している。家族の思いを考えなくちゃいけないんじゃないの」。女性が植松被告を問い詰めても、「おまえマジで言ってんの」と取りつく島もなかった。

 女性は法廷で、植松被告の性格をこう証言した。「楽観的で、自分の意見を曲げたくないという自己中心的なところや、目立ちたがりなところがありました」。実際、植松被告は友人に犯行計画を伝えた際、「テレビによく映るため整形した」と話していた。

 第十回公判。姉=当時(60)=を殺害された弟(61)が植松被告に「コンプレックスが事件を引き起こしたのでは」と質問した。

 「確かに。こんなことしないで、歌手や野球選手になれるならなっているが、(殺傷事件は)自分ができる中で一番有意義かなと感じます」

 第十一回公判でも、別の被害者の代理人が関連質問した。

 弁護士「歌手とか野球選手だったら事件は起こしていないのか」

 植松被告「そうだと思う」

 弁護士「思想は変わるのか」

 植松被告「そんな事件は考えもしなかったと思います」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報