【市貝】オオタカ保護基金(遠藤孝一(えんどうこういち)代表)が田野辺の耕作放棄地をビオトープ化した谷津田保全地の水辺で、絶滅危惧種のニホンアカガエルの卵塊が年々増えている。7日時点で400近くに達し、こぶし大を超える大きな透明な塊の中でオタマジャクシに育ちつつある。県立博物館は「水辺の生き物が生き残る貴重な拠点地」と評価。里山環境の保全に成果を上げつつある。
保全地は周囲をコナラやクヌギなど広葉樹林に囲まれ、土の水路から水が流れ込む水田だった。放棄され荒れていたが、草を刈り2010年に整備。現在はそのうち約20アールに2月から水を張り、里山の猛きん、サシバの餌にもなるカエルの繁殖環境を整えている。
11年には産卵期を通して50~60個の卵塊しか確認されなかったが、その後年々倍近く増えている。今年は例年より産卵が早く、7日現在既に399個の卵塊が確認された。卵塊が産み付けられて2週間ほどでオタマジャクシ、約2カ月で子ガエルなり、雌は2年後の春には産卵するという。
ニホンアカガエルはレッドデータブックとちぎで絶滅危惧?類(Bランク)に分類され、県内で生息地と個体数の減少が激しく、特に県南部で減少が著しい。
遠藤代表は「カエルはヘビやサシバなどいろいろな生き物の餌になる。生態系の基盤の部分になるので非常に大切」と話す。