cakes読者のみなさま、こんにちは。
見えないウイルスに振り回され、仕事は自宅、なんなら子どもも自宅のマイルド缶詰状態な毎日。朝昼晩、家でご飯を作るというじんわりした苦行に、涙目の方も多いと思います。ほんとうにお疲れ様です。我が家もこのところ、元気満タン、行くとこナッシングな小学生が常に話しかけてくる状況で、家で書いてる原稿の調子が上がってくると、まるで図ったかのように「昼ご飯なに?」「夕ご飯なに?」とその都度中断を余儀なくされ、1日3回、キッチンで濃いめのため息交じりです。ああ、飲みに行きたい。4月の始業式には、学校はちゃんと始まってくれるのだろうか。最近は、そんな不安がもやもやと。
こんな感じの日々だと、1品で肉も野菜もたくさん食べられる、子どもも大人も喜べるレシピが欲しい。飲めるおかずだとなお良し。ということで、3月はポルトガル食堂特別編、子どもも喜ぶシリーズを3週連続でお届けです。旬を感じる春キャベツや新じゃがなどを使って、1皿おかずで簡便に決着をつけたい。乗り越えるぞ、オー!
まずは最も簡単なレシピから。うちでは3月に入ってすでに何度か作っている、子どもウケの良かったおかず。器1枚、電子レンジ5分で勝負の「新キャベツと豚バラ肉の梅蒸し」です。
旬を迎えた柔らかい春キャベツは、ほのかな甘みがあってジューシー。たっぷりわしわし食べさせたいし、私も食べたい。豚の脂のうまみと組み合わせれば、ボリューム感が出てごはんがすすみます。梅は細かくちぎってちらし、塩味と酸味を料理のアクセントにします。使う道具は皿とラップだけ。手抜きじゃないです、賢いだけです。
そして、こんな簡単なレシピだからこそ、気にして欲しいポイントがあります。この料理の場合、春キャベツはできるだけ外側の緑濃い葉を使って欲しい。外側は固いイメージがあるかもしれませんが、旬の春キャベツは別。加熱するとしっとり柔らかく、甘さもたっぷり、うま味も強い。さらに外葉は光に当たるぶん、ビタミンCが豊富です。残留農薬が心配という人もいるようですが、実際は収穫の際に、土に触れている一番外側の葉はしっかり切り取られています。ですから、春こそ緑濃い外葉を味わうチャンスです。
では、パパッと作っていきましょう。
Menu do dia 本日のメニュー
材料(2人前)
豚バラ薄切り肉 150g
春キャベツ(できるだけ外側の葉を使う) 3枚
梅干し 1個
日本酒 大さじ1
ごま油 大さじ2 塩 少々
つくり方
春キャベツは、ほおばって噛むと出てくる甘みやジューシーさを楽しみたいので、やや大きめのざく切りに。芯は薄切りにする。並べるとかさがあって不安になるかもしれませんが、蒸すと半分ぐらいに減ります。たっぷりあったほうがおいしいので3枚は使いたい。豚バラ肉は5センチ幅に切る。洗って、水滴の残っている状態のキャベツを切り、皿に平たく並べ、塩を軽く振り、その上に豚肉をなるべく重ならないように広げる。上から日本酒を回しかけ、ちぎった梅干を散らす。
料理に使う日本酒は、質の高いものだとそれだけ料理の味が上がります。毎日作る家庭料理なら、高価なブランド食材を買うよりも、調味料にこだわったほうが少しの投資で味に大きな差が出ます。
私の好きな料理酒は、福島県郡山市で300年超の仁井田本家が造る、自家田んぼで育てた自然米100%で作られたもの。醸造発酵により天然アミノ酸を増やしているので、肉料理がふっくら仕上がります。お吸い物や米を炊くとき、鍋や煮物に加えても、味に膨らみが出ます。急いでいるときほど、発酵調味料って頼りになるなと日々実感。ほんと神です。購入は酒販店やウェブサイトで。私は近所の酒店で購入しています。
皿にふんわりラップをかけたら、
電子レンジ(600W)で2分30秒から3分ぐらい。様子を見て、時間を増減する。取り出したらすぐにはラップを外さず、そのまま1分ほどおいて蒸らす。
ラップを外したら熱いうちにごま油を回しかけ、全体をよく混ぜる。
皿の底には肉とキャベツの汁がたまります。これが素晴らしくいい味の調味料。肉や野菜にしっかり絡ませて完成。急げば全部で5分です。
これを機に、緑の外葉のおいしさに目覚めてもらえると嬉しいなあ。
さて、何飲みましょう。ビールはもちろん、梅の酸と合わせてきりりと酸を感じる白ワインや、うまみ優しい自然派白、春を盛り上げるピンクが綺麗な辛口ロゼ、そして、酸のある日本酒もいけます。仁井田本家の日本酒と合わせてもいい。それなら、自然派白糀酒母仕込み純米吟醸の「穏」と合わせたい。やー、やっぱり飲めるおかずって最高ですね。
それでは、ジューシー新キャベツと酸味がきいてるふっくら豚バラ蒸しで、良い週末を!