航空業界はユーザー本位にどんどん進化していて、JRは追い付いていない。その端的な例を挙げると「指定席券の予約開始時期」だ。
日本航空が2月12日に発表した「国際線予約受付開始日の変更について」を読んで驚いた。4月1日から、国際線予約受付開始日を搭乗予定日の360日前にする。大胆な変更だと思ったら、従来は330日前だった。しかも360日前は「国際標準」だという。自分でチケットを手配して海外に出掛ける人たちには常識だろうけど、日本の鉄道ばかり乗って、10年以上パスポートを持っていない私には驚きだった。なんとも恥ずかしい。
驚きのあまり、JALに問い合わせた。そんなに前から予約しても、その便がダイヤ改正で消滅するかもしれない。どうするのか。答えは簡単だった。
「お客さまにご連絡して、代案を提供します。ご了承いただけずキャンセルとなる場合は、手数料なしで返金いたします」
航空券の予約は名前や連絡先も登録するから、こういう対応ができる。ちなみに、JALの国内線は、国際線に乗り継ぐ場合に限り、国際線ルールの360日前に予約できるという。
JRをはじめ、日本の鉄道事業者のほとんどは、予約開始日が「乗車日の1カ月前」だ。みどりの窓口で発券するJRの列車は1カ月前の午前10時から。これは10時直前にオンラインデータベースの更新が行われるからである。私鉄のうち、みどりの窓口で発券できる列車も同じタイミング。それ以外の私鉄では、黒部峡谷鉄道の「3カ月前から」などがある。インターネット予約が普及したおかげで、便利なサービスを提供する鉄道事業者が増えている。
指定席券の「1カ月前」というタイミングはいつから始まったかは定かではない。古い時刻表の営業案内を見ると、1961年は14日前だった。国鉄のオンライン予約システム「マルス」の運用開始1年後だ。当時のマルスの対応日数が15日間だった。それまでは台帳をもとにした電話のやりとりだったから、もっと短かったかもしれない。78年の時刻表では、駅の旅行センターや旅行会社では1カ月前、みどりの窓口は1週間前となっている。88年の時刻表では1カ月前に統一されている。つまり、少なくとも30年前から1カ月前のままだ。ちっとも進化していない。
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