第58回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

令和2年1月15日(水曜日)14時00分~16時05分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神作座長
 皆様、本日は、年始のご多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 
 ただいまから、第58回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたします。
 
 まず事務局より、人事異動等に伴う委員の交代に関しまして、ご紹介をお願いいたします。

〇今西室長
 事務局を務めます金融庁金融トラブル解決制度推進室の今西でございます。よろしくお願いいたします。
 
 委員就任の皆様をご紹介いたします。
 
 消費者庁の太田様です。
 日本司法支援センターの谷口様です。
 信託協会の横山様、本日は代理で藤田様が出席されておられます。
 農林中央金庫の権藤様です。
 国土交通省の浪越様です。
 農林水産省の長谷川様は、後ほど来られます。
 総務省の高田様、本日は代理で板村様が出席されておられます。
 金融庁ですが、総合政策局金融サービス利用者相談室の伊佐です。
 監督局総務課の尾﨑です。
 また、唯根委員、田中委員、森下委員は、ご都合により欠席されておられます。
 
 ご紹介は以上でございます。

〇神作座長
 ありがとうございました。では、議事を進めます。

 本日は、まず、令和元年度上半期における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。また、本日の議題でございます「ADR機関へのアクセス・利活用の機会向上に向けた取組み」につきまして、指定8機関よりご説明をお願いしたいと存じます。これらの説明が終わったところで一度、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。次に、毎回報告を受けております「『金融サービス利用者相談室』における相談等の受付状況等」、「『金融ADR連絡協議会』の概要」につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局からご説明をいただき、ご質問、ご意見を頂戴したいと存じます。
 
 それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。

〇今西室長
 指定紛争解決機関の令和元年度上半期業務実施状況につきまして、各機関からの報告に基づき作成した資料を使いましてご説明いたします。資料は、お手元1-1、1-2、それぞれの1枚紙、及びホチキスどめの1-3となります。
 
 まず資料1-1「苦情処理手続実施状況」の表をご覧ください。表の左手(1)「苦情処理手続件数」の左から2番目の項目に、「当期の受付件数」及び「前年同期比」がございます。その一番下の青色の欄で8機関合計をご覧いただきますと、3,578件を受け付けておりまして、前年同期でございます平成30年度上半期と比べて13%の減少となっております。上場投資証券の早期償還により損失が発生した事案に係る苦情、FINMAC、証券・金融商品あっせん相談センターでその対応を担われているものございますが、30年度上半期との比較においては、そうしたところでの件数減少などが認められるところでございます。このほか、損害保険協会におかれましては、交通事故が減っていることに伴い自動車保険関連の申出が減少していると聞いております。

 1枚おめくりいただきまして1-2「紛争解決手続実施状況」の表をご覧ください。先ほどと同じく左手(1)「紛争解決手続件数」の一番下、青色の欄で左から2番目のところをご覧いただきますと、8機関合計で728件を受け付けておりまして、同じく30年度上半期との比較におきましては、こちらは14%の増加となっております。先ほどのFINMACでの事案、ADR機関の役割のもとで紛争解決手続の局面にあることがうかがえるところでございます。このほか全銀協におかれましては、外国為替業務関連での増加が見られたと聞いております。

 続きまして、資料1-3の束に移っていただきまして、表紙をめくって右下、1ページの表示があると思いますけれども、こちらをご覧いただきますと、苦情処理受付件数の年度別推移を、指定機関ごとに色分けいたしております。また、紛争解決の受付件数につきましては、4ページに同じくグラフがございます。あわせまして、先ほど申し上げたような足元での状況が概観いただけるところかと思います。この資料の最後、7ページでございますけれども、7ページでは、和解に至った件数の割合を指定機関別にお示ししております。また、別の紙、資料2がございます。こちらは業界団体における件数の年度推移をご報告に基づき取りまとめたものでございますので、ご参照いただければと思います。
 
 事務局からは以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。
 
 続きまして、「ADR機関へのアクセス・利活用の機会向上に向けた取組み」につきまして、各指定機関よりご説明をお願いしたいと存じます。まず冒頭で、議題の趣旨等につきまして、事務局よりご説明をお願いいたしたく存じます。よろしくお願いいたします。

〇今西室長
 今回の議題の趣旨について、事務局より口頭にて説明させていただきます。
 
 金融ADR指定機関が、金融機関利用者より申出のあった苦情・紛争事案に対して、個々の事情も酌み取りながら、高齢者をはじめとした利用者の適合性の観点も踏まえた解決に努めていらっしゃることは、これまでの当協議会におきましても各機関から報告いただいているところでございます。そうした報告内容は各委員に共有されるとともに、あわせて各機関における一層の対応が慫慂されたところであったかと思います。このようにADR機関の機能を利活用するに至った金融機関利用者がいる一方で、金融機関への不満足を抱えつつもADR機関へのアクセスが難しい、利活用するに至っていない人々がいるのではないか、もしそうであるならば、そうした人々に対してはどのような工夫、取組みを行っていくことが有効なのだろうかというところが、今回の議題の背景にございます。先ほど資料1-3でご覧いただきました苦情処理・紛争解決手続の受付状況でございますが、もちろん、個々の申出案件に対するADR機関側の対応が、ご努力の中、充実していっているということは前提としつつ、件数推移について見ると、一部の時期を除いて大きな変化は認められていないといった見方もあるかもしれません。利活用の層の裾野を十分広げ切っているのだろうかといったところでしょうか。
 
 つきましては、この際、今までアクセス等が難しかった可能性のある層を少し具体的にイメージしながら、ADR機関へのアクセス・利活用をより向上させる方策・工夫について、あるいは留意すべき点も含めて検討、議論してみましょうという次第でございます。具体的にイメージする対象は様々あろうかと思われますが、今回は、例えばサラリーマン等時間的に限定のある層、電話・対面よりもSNSなど多様な通信手段を志向する若年層、あるいは地方に在住されている層も念頭にしつつ、指定機関にご報告内容をまとめていただいているところでございます。あわせて、指定機関からのご報告の後、定例の意見交換の際には、消費者の声に接しておられる他の機関の皆様からもお考えや取組状況のご紹介などいただければ、ベストプラクティス、あるいは留意すべき点の共有、アクセス・利活用の向上につなげていくことができるのではないかと考えております。

 続きまして、指定機関からのご報告に関する資料についてご紹介をいたします。

 お手元の資料をごらんください。4種類ございます。まず、右肩に3-1-1及び3-1-2とある青入りまじりのものでございます。指定8機関を4機関ずつ、2冊に編綴させていただいております。ご議論に資するよう、左側の問いかけに答える形をとりつつ、各指定機関に記述いただいているものでございます。
 
 次に資料3-2、表紙中ほどの青色のところに「資料編」と書かれているものでございます。表紙、目次をめくっていただきますと、上のところに、赤字で資料1ですとか資料2と書かれております。
各機関が説明される際に、この赤字番号に言及される場合がございます。
 
 続いての束ですが、資料3-3、表紙のところに「事案例」と書かれているものでございます。各指定機関で紛争解決等に当たられてきた具体的事案の中から、今回の参考となるものとして、例えばサラリーマン層や若年層などに着眼して、それぞれセレクトいただいたものでございます。各機関におかれましては、金融機関・業界へのフィードバック、顧客への周知等の観点から、紛争解決等に当たった事案の概要をそれぞれのホームページ等を通じ公表されてきており、今回の事案例はそうしたものもベースにされておられるところでございます。
 
 資料の最後でございますが、資料3-4でございます。オレンジ色ベースのものです。金融機関利用者からのアクセス手段等につきましては、最初に申し上げた資料3-1-1と3-1-2、青入りまじりのものでございますけれども、こちらにおきましては文章でも示されているところでございますが、これを踏まえつつ、皆様の参考に資するよう、各指定機関が表形式で整理してくださったものでございます。この資料3-4につきましては、苦情申出とその後の対応、それから紛争解決の申出とその後の対応に分けて整理されておられまして、さらに、地方拠点がある場合にはその状況も示していただけているところでございます。
 
 資料のご紹介につきましては以上でございます。
 
 最後に、前半で申し上げましたアクセス・利活用の機会向上、層の裾野の広がりといったところに関連し得るワード、紛争解決制度をめぐるトピックとして、ODRがございます。参考までに、口頭になりますが共有させていただきます。ODRといいますのは、ADRのA、alternativeがonlineに置き換わったOnline Dispute Resolutionでございますが、国のほうでもODRに関する検討会が内閣官房を事務局として設けられております。座長には、金トラ協の委員でもあられます山田文先生が就いていらっしゃるところでございます。

 なお、紛争解決におけるオンライン等利用に関しましては、まず民事裁判手続での活用について司法府等で検討が進められているところと承知しております。民事裁判手続に続き、裁判外紛争手続につきましても、先ほど申し上げたような検討が行われつつあるところでございます。
 
 事務局からは以上でございます。

〇神作座長
 詳細な議題のご説明ありがとうございました。
 
 それでは、各指定機関よりご説明をお願いしたいと存じます。なお、恐縮に存じますけれども、8機関合わせて35分ほどでお願いいたしたく存じますので、ポイントと思われるところに焦点を当てつつ、事案も踏まえてご説明をいただければ幸いでございます。
 
 初めに、全国銀行協会の西村委員からお願いいたします。

〇西村委員
 全国銀行協会の西村でございます。どうぞよろしくお願いします。

 資料3-1-1に沿いまして説明をさせていただきたいと思います。
 
 まず、1番のアクセス手段についてでございます。相談・苦情につきましては電話のアクセスが96%程度を占めているほか、来所や郵送での受付も行ってございます。電話による申出が大宗を占める中、口頭によるコミュニケーションが難しい方のために、平成28年3月にウェブサイトに専用の入力フォームを開設いたしまして、相談の内容や希望するコミュニケーションの手段、銀行への取次希望等を入力いただき、その希望に応じてメールやファクシミリ等で対応する取組みを開始いたしました。この対象者は聴覚障がい者だけではなくて、発達障がいでコミュニケーションが苦手といった方のほか、電話では緊張して思ったことがしゃべれないというような方からの申出も広く受け付けているところでございます。

 2番で、紛争に当たっては書面のあっせん申出の提出が必要でございますが、こちらのほうは郵送のほか、来所での受付を行ってございます。事情聴取につきましては、東京、名古屋、大阪のほか、札幌、仙台、新潟、高松、広島、福岡、こういった9カ所におきまして、委員が面談の上、テレビ会議システムを併用して対応してございます。この「併用」の趣旨でございますけれども、合議体を組成する3名のあっせん委員のうち、弁護士委員と消費者問題専門家委員は地方の会場で申立人と面談し、金融問題有識者委員と事務局は東京から合議に参加するといった形で対応しているということでございます。この9カ所以外でも、申立人の希望等に応じまして、居住地近くの銀行協会ですとか公民館等でも事情聴取を行っておりますが、この場合につきましては、原則として、あっせん委員は対面ではなく、タブレット端末を通して事情聴取を行うという形で行っております。

 1つ飛んで3番をご覧いただけますでしょうか。3番のところは、導入していないアクセス手段についての考え方ということでございますけれども、全銀協ADRにおける苦情対応では、会話を通じて情報格差を埋めつつ問題点を整理することが重要だと考えておりまして、このために、電話等、直接のやりとりによる対応が最も迅速で効果的だと考えております。eメール等につきましては、質問と回答がかみ合わず、問題点の整理に時間がかかることや、金融資産など重要な情報に触れることが多い中、銀行にメールアドレスを登録されているケースというのがそれほど多くはなく、またフリーアドレス等も容易に取得できるという中、成りすましですとかセキュリティーの観点、こういったことを配慮いたしまして、現在は受付を行っていないということでございます。
 また、あっせんにつきましては、先ほど事情聴取の際にはテレビ会議システム等を導入しているということを申し上げましたが、あっせん申立のeメール受付につきましては、(2)にございますとおり、多くの書類を電子化することは利用者の負担になることや、年200件に満たない申立に対してシステム投資をすることについて費用対効果ですとかセキュリティーの問題等がある一方で、事情聴取を行った方々にはアンケートを行っておりますけれども、それらを利用されるニーズも高くないということから、導入をしていないという状況でございます。

 戻っていただいて、2番でございます。年齢層や地域分布についてでございますけれども、こちらは資料3-2にも詳細なデータを入れてございますが、相談・苦情については20代から50代の現役世代の割合が半数近くを占めております一方、紛争事案につきましてはリスク性商品に関する事案が7割程度ということから、20代から50代の現役世代層、こちらのところは資産形成層でありますので、27%程度となってございます。地域的な偏りにつきましては、苦情、あっせんとも見られない状況です。
 
 続きまして、4番でございます。利用向上の観点から今後目を向けていくべき層ということでございますけれども、1つには、全銀協ADRを認知していない顧客について、ADRを知らなかった、もっと早く知りたかったというような声が利用者アンケートでも寄せられておりまして、引き続き周知活動に努めていく必要があると考えております。
 
 また、(2)のとおり、紛争解決手続におけるアクセスに支障がある顧客につきましては、事情聴取への出席が負担となるところが大きいかと思っておりますので、事情聴取会場の柔軟化ですとか、事情聴取回数を極力少なくすることで、利活用の向上を図ることを考えてございます。あと外国人につきましては、私ども今、相談・苦情につきましては、外国語、英語、中国語、韓国語の通訳を介した電話相談を昨年1月から開始しておりまして、こちらについても今後周知を進めていきたいと思っております。
 
 次に、属性別の状況でございますが、5番のところで、平日日中の対応が難しいサラリーマン層への配慮についてでございますが、相談・苦情については昼休み中でも電話受付をしておりまして、極力、話中にならないよう、かつ数コールで受電するよう配意してございます。ちなみに、ナビダイヤルのデータでございますが、話中となるのは月1件程度という状況で体制を組んでございます。また現役世代の利用が多いカウンセリングサービスについては、週2回、午後7時まで対応しております。

 次に、紛争解決手続についてでございますが、事情聴取は、先ほど申し上げたように、テレビ会議システムの導入によって往訪負担を減らしているほか、事情聴取前に照会事項を事前に送付して回答してもらって、極力1回の事情聴取で結論が出るよう、効率的な運営を心がけてございます。

 次に、6番をご覧いただけますでしょうか。電話通話を選好しない層ということでございますけれども、若年層からの電話につきましても一定程度いただいておりますほか、書面ですとか、先ほど申し上げたウェブサイトの申出フォーム等も利用できるようにしまして、配意しております。

 あと7番につきましては、地方への配慮ということでございますけれども、先ほど申し上げたように電話がほとんどという中、ナビダイヤルを導入いたしまして、全国一律の通話料金でアクセスが可能なような形にしてございますし、事情聴取等につきましては全国あまねく会場を設置するような配慮を行ってございます。

 次に、8番、9番におきまして、潜在的なニーズを拾うことについての問いでございますけれども、アクセス手段の多様化については、ハードルを下げるという点で意義のあることだと考えておりますが、金融ADRにおきましては、金融資産の状況など顧客の重要な情報について言及する必要がある点に留意が必要だと考えております。本人と間違って金融資産の状況ですとかトラブルの内容等を回答してしまうと、深刻な個人情報の漏えいとして問題になりかねないということ、また、eコマース事案と異なりまして、金融商品につきましては、適合性の問題や相続預金の権限外払出しなど、顧客の事案ごとに事情が異なるということ、また権利関係が複雑なものもあるといった点を考慮する必要があるのではないかと考えてございます。

 次に、10番、11番をご覧ください。こちらは内部データ管理関係の問いと認識してございますが、受け付けた苦情等につきましては、速やかにデータベースシステムに入力をして記録化して、後日、他の相談員が参照可能にする体制を整えているところでございます。

 最後に12番でございますけれども、具体的な事案については資料3-3に幾つかまとめさせていただいてございます。若年層やサラリーマン層につきましては資産運用というよりは、むしろデビットカードですとか貸出し関係とか、こういったものに関する相談、苦情が多いというところが資料の1、2、3と挙げている中でも事例を掲げさせていただいてございます。

 また、あっせん事例につきまして、証券業務ほか3事例、貸出しも含めて挙げてございますけれども、いずれも1回で事情聴取を終了させるよう努力しておりまして、かつ地方の利用者のためにテレビ会議を使った事例も、事例3としてご紹介させていただいているところでございます。様々な利用者がいる中、各層の利便性につきましては、今後必要に応じて検討してまいりたいと、このように考えております。
 
 全銀協からは以上です。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。
 
 続きまして、信託協会の藤田委員、よろしくお願いいたします。

〇藤田委員
 信託協会の藤田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私ども信託相談所の取組状況につきまして、ご報告をさせていただきます。
 
 まず、着眼点の1番でございます。相談、苦情、紛争のアクセス手段ということでございますけれども、相談・苦情につきましては、電話、それから書面による受付と、この2パターンに現状は限らせていただいております。中でも電話がほぼ、9割以上は電話ということでございまして、書面による受付は年2件程度であるということでございます。紛争のほうにつきましては、書面により申出を受け付けるということを原則にしておりまして、来所によってあっせん委員会を開催するという扱いにしておるところでございます。

 次に2番でございますけれども、申出者の年齢層及び地域分布ということでございますが、まず苦情のほうでございますけれども、年齢層は、そこに書いてありますが、60代、70代、80代ということで、高齢者の層が大部分を占めているということであります。地域別に見ますと東京、埼玉、神奈川、千葉、この辺が中心ということでございますが、最近では地方の案件も若干増えてきているということでございます。
 
 次に3番でございますけれども、アクセス手段導入に至らなかった場合における考え方ということでございますが、申立人から来所が難しい旨の申出があった場合には、紛争におきましてはテレビ会議によるあっせん委員会を開催するということで、こちらにつきましては、これまでそれほどニーズがなかったのですけれども、最近では地方の案件もちょくちょく出てきておりますことから、こちらは今年度、予算を立てまして、導入する方向で検討しているということでございます。
 
 それから、4番です。次のページですが、利活用向上の観点から今後目を向けていくべき層としてということで、どういうところが考えられますかということでございますけれども、まず、そもそも信託相談所の存在を認知していないという層がまだかなり、一定程度存在するというふうに分析しておりまして、こうした層にアプローチしていくことがまずは重要であるというふうに考えておるところでございます。

 次に5番でございますけれども、平日日中の対応が難しい層からの相談、こちらのピックアップでございますが、基本的には平日日中以外に受付を希望するという声はほとんど聞かれないということから、今のところ特段何も対応していないという状況でございますけれども、ただ、今後そういうような例が出てきたということであれば、皆様の状況も踏まえまして対応していきたいというふうに考えております。

 それから6番でございますけれども、ネットですとかSNSへの対応ということでございます。こちらも現状、電話で受け付けているのがほぼ100%近いということでございまして、そういった声も聞こえてこないということでございますので、基本的には、今のところネット等対応する予定はないということでございます。
 
 次に7番のところですけれども、来所が難しい地域からの相談、苦情等の取組みということでございます。まず相談・苦情につきましては、基本的には電話による受付ということで、基本的には対応できているということで分析しております。それから紛争につきましては、現在は信託協会のほうにいらっしゃって、あっせん委員会の開催を前提としております。信託協会は東京にしか拠点がないものでございますから、地方における開催の希望というものも最近ぽつぽつ出てきておるという中で、現状では体制は十分ではないというふうに認識をしております。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、テレビ会議等の導入についても検討させていただくということでございます。

 それから8番でございますけれども、潜在的な申出ニーズを拾っていく上での対策ということでございますが、一般的なやり方としては、SNSですとかLINEとかメッセージとか、こういったものを活用していくのが有効かなというふうに考えておりますけれども、信託に関しましては相談者の大部分を高齢者が占めているということ、それからLINEとかメッセージでありますと、先ほど全銀協さんがご報告のとおり、なかなか議論がかみ合わないということが考えられますので、現状ではそこはハードルが高いというふうに考えております。

 それから9番でございますけれども、留意点ということでございます。こちらにつきましては金融機関全社共通の話でありますが、氏名ですとか年齢等の個人情報のほか、金融資産の状況ですとか、それから家族構成、病歴、こういったものを詳細にお伺いするということになろうかと思いますので、情報セキュリティー面では十分に留意する必要があるということであります。

 それから、10番です。電子化の状況ということでございますけれども、こちらにつきましても、苦情・相談のデータベース化というふうに書いてありますが、基本的にはエクセルファイルに入力いたしまして、検索可能な状態で保管しているということを行ってございます。

 最後の11番でございますけれども、申出の解決に当たりまして類似事例を参照することが有用であるか、あるいは類型化した上で参照するということは有用であるかというご質問でございますけれども、こちらにつきましては、同じ信託の商品でありましても、かなり個別性の高い商品を扱っておりますので、同じ商品に係る苦情の申出が複数あったとしても、それぞれ固有の背景、事情があるというふうに考えておりますので、現状はこの辺、分類分けですとかいったことはやっていないということでございます。

 信託協会からは以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。
 
 続きまして、生命保険協会の高橋委員、よろしくお願いいたします。

〇高橋委員
 生命保険協会の高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 
 まず、1番のアクセス手段についてでございますが、相談・苦情につきましては、電話、来所及び書面による受付を行ってございます。当会では全国に50カ所、地方連絡所を設置してございますので、そちらでも同様に受付を行ってございます。また、障がいをお持ちの方につきましては、当会のウェブサイト上の専用フォーマットからのお申出も受け付けているという状況でございます。

 次に、紛争につきましては、申立は書面によることとしてございますが、書面の作成に不慣れなお申立人に対しましては、適宜、電話、来所による相談にも応じてございます。また、原則として全ての事案につきまして事情聴取を行うこととしてございますが、その際には東京に来ていただくほか、地方連絡所を活用したテレビ会議での実施といったことも行ってございます。以上が当会に対するアクセス方法の概要となってございます。2番にそれぞれの利用状況を記載してございます。

 次に、3番、アクセス手段の考え方ですが、相談・苦情につきましては、申出人から苦情に至った経緯を丁寧に聞き、個別の事情を十分に把握し、申出人の主張あるいは意向を踏まえた対応を行うこととしてございますことから、やはりリアルタイムに双方向で対話ができる電話、あるいは面談が望ましいと考えてございます。一方、電磁的方法についても方法の1つとして考えられますが、本人確認ですとか、個別事情を把握するために相応のやりとりを行う必要が生じることなどにより時間を要すること、さらには申出内容の把握が限定的となってしまって、場合によっては的確なアドバイスができない可能性があるということから、現在では導入をしていないという状況でございます。また、紛争につきましては、請求内容あるいは理由などの正確な把握、実際に募集時に使われた書面の書証を見たほうが記憶を喚起しやすいということも考えまして、現時点では書面での受付が最も望ましいということで対応してございます。

 次に4番の、今後目を向けていくべき層でございますが、やはり当相談所を認知していない層が考えられますので、引き続き周知を行ってまいりたいと考えてございます。

 次に5番の、特に平日日中の対応が難しい層への対応についてでございますが、書面による苦情申出を受け付けていますほか、昼休みの時間帯も電話の受付を行うことによりまして、サラリーマンなど平日日中の対応が難しい層へ一定程度対応ができているものと考えてございます。また紛争解決手続につきましては、仕事の都合などで書面作成に時間が確保できない等、書面提出期限の延長の申出があった場合には、その申出人の意向を踏まえまして柔軟に対応を行うということをしてございます。

 今後の対応ということで記載をさせていただいてございますが、現時点におきましては現在の対応を継続するものの、利用者アンケート、あるいは個別事案対応の過程におきまして利用者からの要望等がございました場合には、個別対応も含め、対応の可否、方法等については検討していきたいと考えてございます。また、利用者利便性ですとかセキュリティー確保、あるいは本人確認方法などの業務適切性を含む実務対応の観点も踏まえまして、アクセス方法の多様化の可能性についても検討したいと考えてございます。

 次に、6番の電話を選好しない層への対応でございますが、現時点では書面による申出を受け付けていますが、これにつきましてもアクセスの多様化については今後の検討課題と考えてございます。

 7番の来所が難しい層への対応につきましては、電話、文書による受付を行っているほか、先ほど申し上げましたとおり、全国50カ所の連絡所でも、来所を含め、電話、文書による受付を行うことで対応してございます。また、紛争解決手続におきましては、地方連絡所を利用したテレビ会議による事情聴取のほか、申出人が高齢者あるいは障がいをお持ちの方などの場合には、意向を確認の上、必要があれば自宅ですとか、その他の施設でのタブレット端末を利用したテレビ会議による事情聴取も行っております。

 8番の潜在的な申出ニーズを拾うためのアクセス方法といたしましては、やはりその1つはウェブページですとかSNSなどのインターネットを活用することが考えられます。また、金融に関わる機関であることを踏まえた場合には、9番に記載してございますとおり、十分なセキュリティーと個別事情の確認を十分に行えることを確保することが必要であると考えてございます。

 最後に12番になりますが、各層からの申出事例の特徴、対応の工夫でございますが、生命保険といいますのは非常にライフイベントとも密接に関係することから、年齢層に応じて、結婚などに関連しまして、保険契約の見直しや保険金・給付金の請求に起因した申出が多く見られます。対応におきましては、相談・苦情対応ではサラリーマン層も電話しやすい体制を整えているほか、紛争解決手続におきましては、申立人と連絡する手段、時間等につきまして、できる限り申立人の都合に合わせるようにしてございます。

 本日お手元にお配りしています資料3-3の10ページ、11ページに、紛争事例として2つ、ご紹介をしてございます。こちらは、1つは30代のサラリーマンの方、もう一つは30代の主婦の方のお申出でございます。通常、手続で苦労いたしますのは、やはり事情聴取の調整でございまして、当方より候補日を数日お示しし、日程を調整してございます。本件両事案につきましては、お申出人のご協力をいただきまして、比較的スムーズに日程調整ができましたが、たとえテレビ会議システムを使う場合であっても、特にサラリーマンの方の場合には日程調整に非常に苦労することがございまして、日程調整の電話を指定の時間帯に差し上げるとか、あるいは実際の事情聴取を行う場合でも、申立人の方の、例えば休憩時間にお電話を差し上げる、あるいは勤務時間を踏まえ、朝一番での事情聴取の実施等、時間帯の調整がどうしても必要になってきてございまして、そのあたりが非常に苦労しているものでございます。

 説明は以上でございます。

〇神作座長  
 どうもありがとうございました。

 続きまして、日本損害保険協会の森脇委員からご説明をお願いいたします。

〇森脇委員
 日本損害保険協会の森脇でございます。よろしくお願いいたします。

 ご説明をさせていただきます。
 
 まず1ページの1番のところ、アクセス手段についてでございますが、相談・苦情におきましては電話による対応が99%というふうになってございまして、その他、来訪、郵送、出張相談という手段で受付を行っております。また、紛争につきましては郵送での受付を行っておりまして、ただ、面談によります意見聴取につきましては、来訪またはテレビ会議によりまして実施をしているところでございます。

 続きまして2番のところ、年齢層及び地域分布ですけれども、相談・苦情につきましては地域性に特徴は特段見られないということでございますが、紛争につきましては40代から60代の利用が多くなっているというところでございます。また地域別ということでは、首都圏、大都市の利用が多くなっているというところでございます。

 めくっていただきまして2ページでございますが、3番、アクセス手段の考え方についてでございますけれども、相談・苦情につきましては、文書やメール等のテキストベースということになりますと、申立人側にも多大な負担をかけてしまうという可能性もございまして、現状、申出内容やその背景といった全体像の把握・整理という観点を踏まえまして、電話や対面による受付をメーンとしているところでございます。また紛争につきましては、関係書類が大部にわたる場合もございますので、郵送での受付という手段をとっているところでございます。

 ページをめくっていただきまして、続きまして、1つ飛んで5番のところでございますが、平日日中の対応が難しい層への対応というところでございます。まず相談・苦情につきましては、昼休みの時間帯も電話を受け付けておりまして、サラリーマンと思われる層からの入電も一定程度ございますので、一定の対応はできているのではないかというふうに考えております。紛争につきましては書面ということでございますので、基本的には時間的な制約は発生しないというふうに考えております。

 ページをめくっていただきまして、4ページの6番、電話通話を選好しない層への対応というところでございます。こちらにつきましては、電話通話を前提とした受付体制となっているというところが相談・苦情の部分でございますが、電話以外の受付手段といったことにつきましても実現可能な方法を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、ページをめくっていただきまして5ページの7番、来所が難しい地域での対応というところでございます。相談・苦情におきましては電話で受付が可能でございますので、来訪が難しい方でも対応が可能というふうになってございます。また、面談によるご相談をご希望の場合には、出張相談という形で、こちらから出向いて対応しているところでございます。紛争につきましては、申立につきましては特段制約はございません。郵送での申立ということでございますので制約はございませんが、面談によります意見聴取を実施する場合には拠点に出向いていく必要が現状ございます。こちらの点につきましては、利用者における利便性向上についての検討の余地があるというふうに考えているところでございます。

 1つ飛びまして9番、利用者アクセス・対応に関して留意している点というところでございますが、インターネット等のシステムを利用した受付体制をつくっていくということになりますと、情報セキュリティーに十分な配慮が必要であろうというふうに考えてございます。
 また、申出人の申出内容に対しまして的確かつ適切に回答、対応できる方法であることということが留意すべき事項というふうに考えてございます。

 ページをめくっていただきまして、10番の電子化を行っている事例と、11番の類似事例の参照という部分でございますけれども、まず10番のところにつきましては、データベースの活用を行っております。こちらはデータベースに入力をして対応を行っているわけでございますが、それぞれの申立の背景ですとか状況等が異なってまいりますので、個々の事案への対応に関しましては背景や状況等を十分に勘案しつつ、互譲による解決を目指して柔軟な対応を行っているというところでございます。

 私からのご説明は以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、保険オンブズマンの小野委員、どうかよろしくお願いいたします。

〇小野委員
一般社団法人保険オンブズマンの小野でございます。

 今お手元にございます2つの資料、1つは現況につきまして、資料3-4と付されております資料を適宜ご覧いただきながら、ただメーンは資料3-1-2、私ども保険オンブズマンは一番左の着眼点から2番目のところに記載がございますけれども、このペーパーをご覧いただきながらご説明、もしくはご報告いたしたいと思います。

 その前に、より私の申しますご説明をご理解いただけるために、私ども一般社団法人保険オンブズマンが対象としています事業者でございますけれども、この事業者は大きく2つのグループに分かれております。1つは、保険業法に基づきまして損害保険事業免許を得た、主に外資系の損害保険会社。加えまして、これも保険業法によりまして登録を得ていますいわゆる保険仲立人。前者は30社弱、後者は50社弱ございますけれども、これらの事業者を対象とする紛争解決機関です。それら事業者のお客様を申立人なり対象とする紛争解決機関でございます。

 今日のご説明なのですけれども、3-1-2を使いながらご説明申し上げます。大きく分けまして、私どもの場合、アクセス手段は、苦情の場合と、紛争解決、調停の場合とで多少違いはございますが、おおむね基本は電話、加えましてウェブサイト、もしくはeメールによる最初のご相談なり申立なりを受け付けております。その後、例えば補助資料としましてこういうものが欲しい、こういうのを見てほしいというのがございましたら、ファクシミリなり郵送なり、あるいはほかの手段等でのコミュニケーションを図っております。これは各事業者とも同じでございます。申立人にとりましては、私どもの場合は基本的に、いわゆる苦情前置主義というのを採用していまして、これは経験値的に、まずおっしゃっている方の事情なり事実なりを、あるいはお申出の内容を私どもから丁寧にお聞きいたしまして、その方が持っておられる苦情なり悩みなり考えを整理させていただいた上で、そこで和解なり解決できればいいのですけれども、その後どうしても紛争なり調停ということでございましたら、またその手続に移行いたしますけれども、その限りで言いますと、経験的にはやはり電話でというご相談が一番、おっしゃる申立人の方にもご理解なり、話の整理がつきやすいものではないかと思っております。

 ほかの機関さんとの違いだけで申し上げていきますと、いわゆるウェブでもそうですし、ウェブを通じたeメールのお申出なり、私どもへのコンタクトというのも認めております。数は少ないのでございますけれども、きちんとそういった形で私どものところにご相談なり苦情ということでご連絡いただけるケースは確かにございます。

 今度は4番について申しますと、今後についてなのですけれども、成年年齢の引下げ等がございますので、年齢層ということでいいますと、私ども幅広い年齢層の方からご相談なり苦情なり申立を受けていることでございますけれども、若年層、とりわけ成年年齢の引下げに伴う若年層に対しての取組み方というのを、今後はやはり考え方を深めておこうかなというふうには現在思っております。あと、そのタイミングなのですけれども、申し上げましたようにウェブもしくはeメールによるアクセスも私ども従前よりお受けしておりますものですから、その形でのアクセスというのはあるのではないかと思っております。ただ、ほかの紛争解決機関さんの事例なり、あるいはIT技術等の発達を見ながら、よりよくアクセス手段が拡大できるものがあれば、それは前広に、あるいは積極的に考えていこうという姿勢は持っております。あと、各事業者のお客様への、あるいは私ども自身の、当法人、本ADR機関についてのご説明、周知の徹底なのですけれども、これは私どもでするのも当然でございますが、各事業者にも積極的に、それぞれのお客様宛てに、こういった制度なり機関があるのだということはいろいろな形で周知をお願いしておりますので、こういうのも徐々に、その程度あるいは効果があらわれているのではないかと思っております。

 以上、時間の制約がございますので、ほかの機関さんとちょっと違う点等を踏まえて簡潔に申し上げました。

 以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、日本少額短期保険協会の小泉委員、よろしくお願いいたします。

〇小泉委員
 日本少額短期保険協会の小泉と申します。私は、資料3-1-2をメーンにしてお話をさせていただきたいと思います。

 私どものいろいろな相談、苦情、紛争申出等についての最初のお客様とのコンタクトというところはほとんどが電話であることは、ほかの紛争解決機関と全く同じでございます。それで、途中から、もう時間がないのでメールでというお客様が一定数おられることも、これは事実でございます。その場合は当然にメールアドレスを確認して、そちらのほうに移行するわけでございますが、やはりメールというのは、どうしても詳細な点までの確認がなかなか行き届かない。それから、申出人の指摘というのが、全て論理的な方ばかりとは限らずに、どうしても断片的な事象を取り上げての説明に偏ったり、結局主張点がどれであったのか、その論拠はどうであるのか、この辺のところがなかなか整理されていないケースも多いのが実情でございます。やはりその辺をまとめるためには、どうしても電話での補足というものが必要になってくると考えておりまして、その辺についてはお申出いただく皆様にご了解をいただいて、そうしているわけですが、特段それを不快に思われるという方はいないように考えてございます。それをメーンに申し上げておきます。

 2番のところの、そのアクセス手段での申出人の年齢層及び地域分布というのは、ここにありますように、年齢層は50代が約半分という状況になっておりますが、大体こういった分布でございます。それから地域におきましても、関東が4割、関西が2割、中国・四国・九州が2割ということで、ちょっと北海道、東北が少ないのですが、これは今年の分がそうなっているということで、それほど地域的な較差があるようには思ってはございません。
 
 それから、次の2ページ目に入りまして、3番のアクセス手段非導入に当たっての考え方ということでございますけれども、先ほど申しましたように、やはりどうしても電話での確認というのは、この苦情解決、早期の解決には重要であるという考え方のもとでやる上においては、できるだけ相手の方の対応できる時間とか、そういうものも柔軟に対応していこうというぐあいに思ってございます。その辺が5番目のところにも書いてございますが、特に地方の方などはそうなのですが、どうしても電話するときに、先方、向こうからかかってきたときには電話料金も気にされることになるわけですが、私どもは先方様からのお電話、架電されて、0120ということで料金の負担がない形でしておりますので、その辺は満足いくまでお話がしていただけるというような対応を心がけているというところでございます。

 それから、1つ戻りまして4番目の、潜在的に利用ニーズがありながらアクセスに至らない可能性のある層は何があるかという問いでございますが、やはりそういった意味では若年層というものもあるだろうと思います。スマホを好み、電話をあまりしたがらないという層に対してどのようなアクセスをするのかということは、やはり重要なことかなと思います。ただ、私の子供とのやりとりもスマホで、メールとかLINEとかあるのですが、どうしても子供からのは一、二行でしか書かれていないものですから、やはり全体像を把握するというのはなかなか難しいなと思っていますので、メールだとか、そういったアクセス、若者が望む手段を大事にしながらも、その間はメールだけに固執しないような形での誘導も必要かなと思っています。

 それから、4番目でいろいろと実情を社内で確認しましたら、やはり利用申出をすること自体を若者の方が結構嫌う傾向があるということがございまして、いろいろなところで人と絡んでいくことがあまり好きではないという、そういう年代の方がおられるようで、その代わりとしての親からの電話というのが一定ありますという話も聞いてございますので、付言しておきます。

 それから、時間の関係で最終的なところで申し上げますと、4ページ目の問11番です。新たな申出の解決に向けた対応に当たりどのようなのものを参考にしますか、例えば貴機関に蓄積された類似事例を参照することは有用ですかと。それで、あらかじめ類型化した上で参照することは有用ですかということでありますが、類似事例を参照するということは有用であると思います。大体当たりをつけるということは実際、電話でもやっているわけですから、そういったことは解決に向けた1つの重要な参考事項であると考えます。

 ただ、これらを類型化することで、それがそのまま申出の解決に適用できるかというと、なかなかそれは難しいなと思っております。というのは、事案内容自体は類型化できるでしょうけれども、当事者である個々人の背景が全て同じということはまずあり得ないということがございまして、我々ADRというのが互譲の精神に基づく和解ということにあるのであれば、やはりお互いの当事者の事情というものをいろいろと勘案していくことが一番重要な解決の方策なのではないかなと思ってございます。

 私からのご説明は以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森委員、お願いいたします。

〇三森委員
 証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森と申します。よろしくお願いいたします。要点に絞ってご説明をさせていただきます。資料は、資料3-1-2、着眼点の資料でございます。
 
 まず着眼点の1番のアクセス手段についてでございますけれども、ほとんどの利用者が電話で相談や苦情の申出をしてまいります。これは、金融商品取引業者各社が顧客に交付します書類やパンフレット、あるいはそれら各社のホームページに当FINMACの名称と電話番号が記載されているということもあって、また電話がフリーダイヤルでかけられるので、電話代を気にせずに、利用しやすいといった点であるのではないかと思っています。一方で、紛争解決、あっせんのほうの申出につきましては、書面での申出のみとしているというのが現状でございます。

 次に、着眼点の2番でございます。申出者の年齢と地域分布についてでございますけれども、こちらは資料編の資料で見ていただこうと思います。資料3-2、A4縦の資料でございますが、右下にページがありまして、6ページ、7ページが年齢層や地域分布を示したものでございます。申出者の年齢でございますけれども、ご覧のとおりでございますが、紛争の多くは証券取引ということになりますので、やはり証券取引については高齢者層が多くを占めております。さらに、その下の地域分布でございますが、件数は、ご覧のとおり、やはり東京地区と大阪地区が総じて多いわけですけれども、その他の地区からも申出がございます。したがって、申出自体は全国ベースということで、各地方からも申出があるという状況でございます。

 次に、また戻っていただきたいと思いますが、着眼点の3番と4番についてでございます。2ページをご覧いただきたいと思います。アクセス手段に当たっての考え方ということで、一般論的に書いておりますが、やはりアクセス手段というのは、できるだけ多くの手段を用意したほうが申出者にとっては利便性が高まるということだとは思っております。FINMACにはやはり高齢者層の申出者が多く、多分この状況というのは今後もそうは変わらないのではないかなと思います。決して高齢者層のみに目を向けるということではないのですけれども、やはり中心となるのがそうだということであります。一方で、若い年齢層の方々を意識した対応としまして、まさに今検討中なのですが、スマートフォンの利用が世の中全体広がっていますので、ホームページのスマホ版を導入する方向で今検討しているところでございます。

 続きまして、着眼点の5番と6番について、ちょっとページがまたがりますけれども、お話をさせていただきたいと思います。平日の日中忙しいサラリーマン層の方々など、あるいは電話を好まない若い年齢層の方々に対してのアクセス手段でございますけれども、これにつきましては、私どものホームページに相談・苦情の申出フォームを設置して、ご利用いただいております。

 ご参考までに、そちらの升の中に2019年10月と11月の件数を、全体の相談・苦情合計とあわせて、この内書きでフォームを利用した件数を記載しております。この申出フォームの利用者の中には、非常に少ないのですけれども20歳代の方も散見されます。また、私どもFINMACの業務時間外の深夜ですとか、まだ業務が始まる前の早朝の時間帯の利用ですとか、土曜日、日曜日にこのフォームから申し出てくるという、そういった利用も散見されますので、特に平日日中忙しくて電話もかけられないといった方々にとっては有用なツールではないかなと思っております。

 それから、3ページ目から4ページ目にかけて、7番と8番についてでございます。先ほどの地域分布でも見ていただきましたけれども、FINMACの事務所があります東京と大阪以外からも多くの申出があるわけであります。苦情や相談は電話がほとんどということで、フリーダイヤルで遠方の方からもかけやすいのではないかなと思っております。それから、私ども唯一ではないと思うのですけれども、特徴的なところは、FINMACでは、紛争解決、あっせんのための事情聴取を申出者の住居地に近い場所で行うようにしておりまして、具体的には各都道府県、全国で50カ所で実際に紛争解決委員と私どもの相談員が赴いて、顧客の住居地に近いところであっせん、事情聴取を開催できる制度になっています。これによって、申出者の方がわざわざ東京あるいは大阪に出向かなくても紛争解決手続に参加できるという制度になっているわけでございます。

 そして、こうした制度を利用いただくためには、まずFINMACにアクセスしていただく必要がありますが、その前に私どもFINMACの存在を知っていただく必要があると思っています。さらに言えば金融ADR機関というもの、あるいは金融ADR制度といったものがあるということも知っていただく必要があるのではないかなというふうに思っています。そのため、私どもとしましても引き続き、さまざまな媒体、あるいは様々な機会を捉えまして周知をしていくことが大事ではないかなというふうに考えております。

 最後に事案の例をご覧いただきたいと思います。資料は3-3でございます。ページは、右下のページで19ページから4事例、掲載をさせていただいております。FINMACの場合、先ほど年齢層、年齢分布では高齢者層が多いということは見ていただきましたが、これらの4つの事案のように、比較的若い年齢層の方からも、若干ではありますが申出がありまして、今回それをピックアップしてまいりました。また、21ページと22ページの申出者の属性のところをご覧いただきますと、21ページですと40歳代後半の女性で自営業の方で、住居地が神奈川県というところ、それから22ページの事案ですと、同じく申出者の属性のところをご覧いただきますと、50歳代前半男性、会社役員の方ということで、こちらは石川県の方、それぞれが地方にお住まいの方でございます。したがって、これらの紛争解決手続は、それぞれ神奈川県、それから石川県の県庁所在地で事情聴取を行ったというわけでございます。紛争解決手続におきまして、FINMACにおきましては、申出者が高齢であるといったことだとか、お体がご不自由だという、そういった条件はつけずに、全ての申出者の住居地に近いところで事情聴取を行っているということが、1つ特徴的なことかなというふうに思っております。

 私からは以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。
 
 それでは最後に、日本貸金業協会の遠藤委員、よろしくお願いいたします。

〇遠藤委員
 日本貸金業協会の遠藤でございます。よろしくお願いいたします。

 資料は3-1-2の1番目から説明をさせていただきます。資料3-2の8ページ、資料ナンバー6も一緒にご覧いただければと思います。まず受付の状況でございますが、こちらにあるとおり、資料にもございますが、電話、文書、それから来協、各都道府県にあります私どもの事務所、それとメール、その他というのは手紙ということも含んで受付をしているというところでございます。ただし、障がいをお持ちの方で聴覚障がいの方に対してはメールで受付をしてということも行っているところでございます。ただし、紛争については、苦情から引き継いだものについても、ファクシミリで送られてきたものについても、紛争申立書というものに記載いただきまして、もう一度ファクシミリなり郵送で送っていただくという手段をとっているところでございます。
 
 次に、2番目の年齢等の分布でございますが、同じように資料3-2の資料ナンバー7と8、それから9は私どもの支部の分布でございますが、7と8につきましては年齢と、各地域別の受付、それと電話、来所、文書、メール等での受付の件数をまとめたものでございますので、こちらを見ていただければと思いますが、電話によるアクセスが99%ということで、電話が圧倒的に多いということと、年齢については40歳以上50歳、65歳以上というのが割と多いようでございますが、平均して、年齢に関係なく来ているというところを見ていただけるかと思います。地域については、東京、大阪、愛知、埼玉、神奈川の5都府県について、このような形で35%を占めておりますので、ほかについては、ばらつきはございますが、平均して申立があるというところでございます。

 次のページの3番で、アクセス手段の導入でございますが、障がいをお持ちの方に対してのみメールで行っておりますが、これにつきましては、ほかの団体の方も言っておりましたが、メールの文章での判断というのはなかなか難しい、主訴がわかりにくいということがございますので、申出のフォームにのっとりまして、こちらフォーマットをしっかりとしながら、聞き取りというところを中心に行っているところでございます。やはり主訴のわからないところについては、ニュアンス等もございますので、そういったところを考慮しながら行っておりますが、やはり、ただいま皆さんのところでもございましたが、メール等での申出、文書等の申出というものも考慮しつつ、フォーマットを考えながら今後は行っていくということも検討しているところでございます。

 そのほか、4番目でございますが、年齢引下げをやはり、今後考えられるということがございますので、若い方々への利用の周知ということも含めまして、消費者センターその他関係する団体の方々、それから協会員を含めまして、定期的に意見交換を行い、この訴求の方法、どういう形で今後知っていただくかというようなところを今検討しているところでございます。

 5番目でございますが、こちらはほかの団体さんと一緒でございますが、交代制をとっておりますので、現在、昼の時間も電話を受け付けておりますので、現状問題はないというふうに考えております。ただ夜間につきましては、やはり受付ができないという状況がございますので、先ほど申し上げたとおり、メールその他での受付なども検討に入れているところでございます。

 次のページの6番目でございます。こちらについては資料の8番も参考にしていただいて、先ほども見ていただいておりますが、20代、30代という年齢層については、やはりSNS、メール等の考慮をし、先ほども申し上げましたとおり、いろいろな個人情報その他の取扱いも考えながら、トラブルにならないような形での対応を今後新たに考えるということで検討を進めているところでございます。ほかの団体様と同じようなところについて、注意点を含め考えさせているところでございます。

 7番目でございますが、来所が難しいという方につきましては、ほかの団体さんもそうですが、私どもはナビダイヤルで行っております。一律で、料金が一定でできるということもございますので、それを行っているところでございますが、各都道府県の県庁所在地には支部が置いてございます。そちらに行っていただくということと、電話での対応、それとメール、手紙、申出書などで対応を行っておりますので、今のところ問題はないとは考えておりますが、先ほどから申し上げていますとおり、SNS等の関係がありますので、これも検討に入れながら今後進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 そのほか、8番目、9番目等につきましても、現状、相談機関として、アクセス状況については、先ほど申し上げたとおり、来所、電話、メール、ファクシミリなどを行っておりますが、手段の増加を検討し、今後につきましても、消費者センターなどの皆様と活動を共有しながら意見交換をし、有効な手段があるかどうかということも検討を進めているということをこちらに記載させていただいております。

 8番目を踏まえて9番目でございますが、やはり金融に関わる機関といたしましては、細かいところとして、ほとんどが匿名のご相談が多うございますが、紛争と苦情となりますと、やはり名前をお聞きしないと、契約内容、個人的な内容の相談を受け付けることができませんので、ここにつきましては、細かく丁寧に相談内容を聞き取りながら、慎重に確認をし、行っているというところで、トラブルのないように留意をしているところでございます。

 その他、10番、11番につきましては、こちらに書かせていただいたとおり、データベース化をさせていただくとともに、過去の類似事案につきましては、ほかの団体さんも言っておりましたが、先入観を持たないように、やはり一つ一つの事案を大切にしながら、最終的にはこういう事案もあるという形でまとめることはございますが、対応するに当たっては、持たないで、丁寧に一つ一つを解決しているというところを申し上げたいと思っております。

 最後に、事案につきましては資料3-3に2つございます。1つは、業者のほうが丁寧な説明をしなかったために、相手の方との誤解を生んで、こちらに苦情として上がってきたものでございます。もう一つにつきましては、外国でのクレジットカードの不正使用でございますが、本人が日本に帰ってからしっかりと考えたところ、最初の申出内容と少し変わってまいりまして、業者との話、自分の行動を踏まえた上で、丁寧に説明を両方で行ったところ相談者の方が納得されたという事案で、2つ、苦情でございますが入れてありますので、見ていただければと思います。以上でございます。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。

 それでは、ここまでのご説明につきまして、ご質問、ご意見等をお願いしたいと思います。また、消費者機関・団体あるいは自主規制機関、業界団体の皆様を含め、あわせてアクセス・利活用の向上に参考となる取組みなど言及いただいても結構と存じます。それでは、ご発言がございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 それでは、山田委員、よろしくお願いいたします。

〇山田委員
 山田でございます。

 本日も大変充実したご報告をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、事務局からご紹介がありましたように、ODR活性化検討会というところに関与しておりまして、まさに本日の話題がテーマですので、少しご紹介と、それからコメントをさせていただければと思います。

 ご案内のように、2019年の成長戦略フォローアップにおきまして、IT・AIを活用したADRの利用拡充・機能強化に関する検討を行うと、それで本年度中に結論を得るというスピードで検討会が開始しております。その背景の問題意識ですけれども、現在、民事訴訟、ADR、及び民事調停事件、いずれも横ばいないし減少傾向にあるというのが司法系の危機感であり、司法アクセスの環境がまだ整っていないのではないかという問題意識を持っています。紛争がないのかと言えばそういうわけではなくて、消費者問題をはじめとして、例えば相談件数については、消費者庁だけで100万件以上、本日お話のような金融機関への相談件数を含めればさらに増えるのですが、これらのうちの相当数がいわば暗数になっている可能性があるのではないかと思っております。

 そこで、検討会としましては、ODR、すなわちデジタル化による司法アクセス拡大を、4つのフェーズに分けて検討しております。第1には、自分が持っている不満が意味があることなのかを検討するための情報検索の段階。第2に相談の段階、第3に交渉ないし苦情処理の段階、そして第4としてADRというふうに、4つに分けております。例えば情報検索や相談についてはチャット方式で自動化して行う、あるいは相談や苦情処理については、本日もご紹介がありましたが、相談等の端緒はウェブサイト上で、紛争類型に応じたフォーマットへの書き込みで行うこと、ADRにおいても、当事者間・調停人とのやりとりや手続記録をデータで行う可能性等が紹介されております。

 こういったシステムをつくっている方々というのは比較的若い層で、日本の紛争解決システムのスピードの遅さやアナログさに対して強い違和感を持っておられまして、つくづくと世代ギャップを感じるところではございます。ただ、海外では既に、裁判所の事件や保険関係の紛争、あるいは離婚紛争等についてODRが実現しておりまして、日本もそのようなニーズが潜在しているのではないかと思われます。また、ODRのメリットとしては、紛争当事者の司法へのアクセス拡大を中心に述べましたけれども、ADRの供給側としても、例えば相談記録を個別に作成する手間が省ける、相談者とのやりとりをデジタル化により正確に記録することができる、データ分析によるアシストを得ることで相談対応者のばらつきを防ぐことができるといったメリットも期待されます。本日の金融機関のお話との関係で若干コメントいたしますと、まず1点は、金融ADRの事案の中には非常に複雑な事案があるというのはおっしゃるとおりだろうと思います。

 デジタル化が進んでも、そのような事案が一定数あることは変わりがないところで、人が担当する重要性は残るべきであると思います。将来の話としてAIが調停人になるのではないかとの予測もありますが、これは大分先の話であります。ただ、注意すべきことは、現状では、デジタル化されていないことによるさまざまな障害、時間的な障害等があるにもかかわらず、それを乗り越えてADRにアクセスしている層や、あるいは事案把握が難しい極端な事例がADRに出てきているという可能性があります。すなわち、それほど「強くない」普通の相談者、平日は仕事や学校がある方、比較的若くて電話等でのアクセスを忌避する層の相談者がADRを利用せずに潜在している可能性もあろうかというふうに思います。

 そういう意味では、デジタル化により「普通の」事案に普通に対応しつつ、人的な財源は少数の難しい事案に特化させていくことも考えられるように思います。また、いきなり調停のやりとりをデジタルでやるというのは難しいにしても、例えばFINMACさんがおっしゃったように、申出だけでもIT化するという試みは非常に貴重なものではないかと思います。また、コミュニケーションがとりにくい事案に関しても、フォーマットのつくり方次第で、必要事項をきちんと提示することで漏れなく情報を把握する可能性もありますし、それで一旦整理された事案であれば、そのご相談あるいはADRにおいても非常に便利ではないかというふうに思いました。

 それから、ADR自体を知らないというお話がありましたけれども、例えば情報検索や相談の段階をチャット方式で行うことができれば、検索システムで金融関係の紛争と入力するとチャット方式であればすぐつながっていけるし、困難な事例はチャネリングして人が対応することで、ADRの認識も増加するのではないかと思われます。それから、セキュリティーについても幾つかお話があったかと思います。ただ、金融サービスの提供側についてはIT化が既に進んでいて、そこではセキュリティーの議論というのは十分になされているかと思いますけれども、紛争解決についてもその延長線上にあるというふうに考えれば、一定のセキュリティーということは可能になるのかなという感じがいたしました。

 本日、若い世代はSNSしか使わなくてなかなか大変だというお話もありましたけれども、他方で、ITでうまく対応すれば、彼らはSNSで非常に広い範囲に情報拡散をしてくださるという方々でもありまして、味方に引き入れておくとADRの利用拡大にも非常に力強いのではないかなと思いますので、ぜひ、潜在しているニーズを把握することを含めて、IT化をお考えいただければ大変ありがたく思います。

 長くなりましたが、私からは以上です。

〇神作座長
 ODRのご説明含めて、非常に詳細なコメント、どうもありがとうございました。

 それでは、どうかご自由にご発言いただきたいと思います。
 
 はじめに大出委員から、お願いします。

〇大出委員
 全国消団連の大出と申します。消費者の視点で発言をさせていただきます。
 
 相談しやすさというところでは、窓口のハードルを低くしてほしいなと思います。もちろん電話の相談というのがほぼ多いということなのですけれども、行っているのが平日というところで、なかなかお昼に電話をかけようと思っていても、忘れてしまった、家に帰って、ああと。落ち着いたときに相談をしようというときもあるかと思うのですけれども。やはりもう少し、電話以外に、メールやいろいろな方法というのを広げていただけると助かるなと思います。

 メールなのですけれども、幾つかフォーマットで対応しているところもあるかと思うのですけれども、ある程度、フォーマットを見て、こちら側も書きやすいということと、協会さん側も見やすい、そのフォーマットを見たことでわかりやすい。ただいっぱい項目があって、書きにくくなっていると、見て、こんな書けないわと思うようなことになるとやはり負担になると思うので、ある程度区分けができるような、それでいながら、当事者としてそれが整理できる、書きながら整理ができるようなフォーマットでメールにできるといいなと思います。ただ、メールだけでも対応できないのは皆さんの報告からもわかりましたので、メールの下に、電話で対応させていただきたいのですけれども、いつお電話したらいいですか、みたいなものがあって、電話でなおかつ聞いていただいてというところも必要かなと思います。

 それから、周知というところなのですけれども、周知のためには、SNSで相談まではできないかもしれないですけれども、SNSで周知を発信していくということは可能ではないかなと思います。やはり成年年齢引下げの対応もありますので、若い人に知ってもらうということが大変重要なので、SNSにそういう情報が発信されれば、それを知るという機会が多くなるかなというふうに思っております。消費者にとって問合せをするということは、解決してほしいので問合せをしているわけなので、なるべく簡潔に事情聴取とかはしてほしいですけれども、最終的に解決することで満足というのは高まると思いますので、丁寧に対応していただいているのですけれども、そういうところに留意していただきたいなというふうに思いました。

 それから、ちょっと質問なのですけど、事情聴取とかそういうものは、平日ではなく、ほかの土日とかでも対応しているのかどうかというのをお聞きしたいと思いました。以上です。

〇神作座長
 今ご質問が出ました事情聴取については、平日に限られるのか、事情聴取の日時等についてご説明いただける機関、ございますでしょうか。
 
 それでは、全銀協の西村委員、お願いいたします。

〇西村委員
 全銀協の西村でございます。事情聴取でございますけれども、基本的に平日の営業時間中という形にはさせていただいてございます。日程の調整につきましては申出人のご希望等をできるだけお伺いするような形で調整をさせていただきたいと思っておるのですけれども、残念ながら休日等の対応はしていないというのが現状でございます。以上です。

〇神作座長
 異なる取扱いをされているような機関がございましたら、ぜひご紹介いただければと思いますが。大体同じでございましょうか。大出委員、追加のご質問等ございますか。あるいはさらなるコメントございますでしょうか。

〇大出委員
 すみません、もう1回お聞きして。先ほどお家の近くまで行って対応しているという、あっせん相談センターでしたか。そこもやはり平日だけということなのでしょうか。申し訳ないです。

〇三森委員
 銀行協会さんと同じで、平日のみでございます。

〇大出委員
 そうなのですね、わかりました。ありがとうございます。

〇神作座長  
 それでは、先ほど樋山委員、挙手いただいたと思います。お願いいたします。

〇樋山委員
 全相協の樋山でございます。まずは全ての層の利便性を考えた上で対応していく必要があると思います。その全ての層というのは、今中心となっている高齢者、それから若年層、サラリーマン、それから、外国人が増えてきておりますので外国人、それから障がい者、そういった方々全ての層についての利活用について利便性が高まることが一番望ましいことだと考えております。そうすると、今の状況からすると、昼間在宅している高齢者にとっては非常に利便性が高いのですが、昼間働いている、例えば私などは、お昼休みもとても忙しいのですね。それで幾つかの機関でお昼休みが架電できるようになっているというようなご報告をいただきましたが、お昼休みも実際はとても難しい状況にあるのではないかというふうに考えております。

 そういった点から考えますと、銀行協会さんのほうでカウンセリングサービスを、週に2回程度ですが7時までやっているということについては非常に利便性が高いのではないかなというふうに考えられるところから、全ての機関さんにおいて9時~5時というのはいかなるものかなというふうに考えまして、少なくとも銀行協会さんのように週に2回とか週に1回、少し夕方、夜遅くまでご相談を受けてくださる、紛争の手続をしてくださるというような方法。もしくは、東京都のセンターなどについては土曜日も開庁しておりまして、実は土曜日のサラリーマンの来所の相談が多くなってきております。土曜日の相談はウィークデーとほぼ変わりなくご相談が入っている状況がございまして、サラリーマンの方にとっては土曜日、例えば月に2回とか、そのような形でも実験的にぜひやってごらんになるといいのではないかなという気がしております。
 
 また、戸澤委員、東京都のセンターの所長がお見えなのですけれども、外国人の方については英語・中国語・韓国語の通訳を入れて、3者間で通話をしながら相談を受けていくというような方法もしておりますし、ご希望があれば通訳の方に来ていただいて、3者で面談をしながら、そこでフェイス・トゥ・フェイスで解決していくというような方法をとっております。金融機関におかれましては、いろいろな人たちの身の回りでとても必要な、公益性の高いお仕事をされていらっしゃるわけなので、さまざまな人の利便性を積極的に検討していく必要があるのかなというふうに考えられますので、ぜひ夕方遅くとか土曜日に開くことを考えるとか、そういった潜在的な需要の掘り起こしをお願いしたいなということが1点でございます。

 それから、アンケートの中で、アクセスの方法として若年層にSNSとかLINEなどでいろいろアクセスをしていきたいというようなご報告はあるにもかかわらず、書面の受付とか電話の受付で今のところ特段の問題はないのではないかというようなご回答が多いのですが、やはりデジタル化、IT化の波というのは抑えることができません。それから、電話通話を選好しない層というのは、もちろん書面も選好しない層ということになりますので、その層をそのまま放っておいていいのかということにもつながりかねませんので、そのような人々が確実に増えている中で、そういった層をどうするか、主に若年層だと思うのですけれども。例えばきのう私がたまたま受けた相談で、東京都のセンターでは、私どもは代理人になれないので、書面による意思表示をしていただいて、事業者とあっせんをするのですけれども、書面なんか書く紙がないよと。要はパソコンとスマホで全てのことを処理しているので、切手を買ってきて、便箋を買ってきて、ペンを買ってくるのかいというふうに言われまして。それは極端な話かもしれませんけれども、そういった層が確実に増えているということも念頭に置いて、いろいろなアクセスの方法についての対応を考えていただけたらありがたいのではないかなと思います。

 山田先生のほうからODRについて詳細なご説明がありましたけれども、もう今、この時代になってADRの解決、それから紛争の解決などについて、ネットを利用した解決のシステムが、もう海外では当たり前になってきているので、ぜひ関係諸機関におきましても積極的にご検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

〇神作座長  
 どうもありがとうございました。ほかに、ご発言はございませんか。
 
 斎藤委員、お願いいたします。

〇斎藤委員
 先ほど神作座長から、指定紛争解決機関以外の機関の遠隔地の例があればというお話があったので、指定紛争解決機関がない金融機関の受け皿の1つである弁護士会の金融ADRの遠隔地あっせんの方法をご紹介したいと思います。弁護士会では、東京の弁護士会あっせんにおける申立でも、地方在住の申立人が多い。その場合、現地調停という制度をとっておりまして、地方の弁護士会と協定を結んで、例えば福岡在住の方から申立があれば福岡弁護士会の弁護士を推薦してもらって、東京弁護士会のあっせん委員として選任します。それで東京と福岡をスカイプで結んで、東京のあっせん人と福岡のあっせん人の双方でやるということでやっています。
 
 約10年近く運営しておりますが、意外と大事だなと思ったのが、あっせん人が東京と、申立人のそばの福岡、両方にいるということが結構重要だと感じております。東京だけにあっせん人が金融機関と一緒にいて、申立人が地方で1人でいるとすると、例えば電話とかテレビ会議で、向こう側にはあっせん人と金融機関がいて、自分は1人だということになると、どうしても疑心暗鬼になってしまうといいますか、休憩中やあっせんの前後にあっせん人と相手方が何をしゃべっているのだろうと考えてしまう。公正性を疑いかねない心情になってしまう。それをやはり避けるためにも、両方にあっせん人がいるというのは、和解成立に導く上では非常に重要だなと。また、実際に和解案を説明し、説得する場面でも、フェイス・トゥ・フェイスでやるということは非常に効果がありますので、どちらか片方にしかあっせん人がいないというのは、特に金融機関側にしかあっせん人がいないというのは和解を詰める場面でもなかなか難しい面があると思います。

 と言っても、いろいろな事情で、双方にあっせん人を揃えることはなかなか難しいと思います。今のお話だと全銀協さんは2名が地方に行って、1名と職員が東京にいらっしゃるということだと思うのですけれども、あと生命保険協会さんも職員が地方に行くとおっしゃっていましたが、一般的には両方にあっせん人を置くというのは難しいとは思いますけれども、もし片方だけの場合には、そうした申立人側の気持ちを十分考慮して、公正性に疑いがないようなあっせんの運営の仕方をするというのが非常に大事なのではないかなというふうに感じた次第です。
 
〇神作座長
 どうもありがとうございました。ほかに、ご発言はございませんか。

 坂委員、お願いします。

〇坂委員
 ありがとうございました。3点ほど、感想的な意見を述べさせていただければと思います。

 まず1つは、アクセス、入り口問題ですけれども、相談・苦情の場面でもご報告がありましたとおり、相談内容に関しては、金融分野では多くのやりとりを必要とするというふうに思います。相談対応本体について電話ないし面談による対応が最も迅速で効果的というのは、多分そうだろうというふうに共感いたします。もっとも、その相談に到達するまでの接点は、メール等も含めて多様であったほうがアクセスはしやすいということもまた事実であろうと思いますので、デジタル的なアクセスを広げるということも大事かと思います。また、デジタルのアクセスがあったものに対して、きちんと、こぼれ落ちるものがないように、場合によっては電話等につなげていくだとか、そういったことも非常に重要な視点かと思います。デジタル化しますと、おそらく効果測定がしやすいという面があると思いますので、そういった点も含めて検討いただけるとありがたいと思います。

 それから2点目ですけれども、紛争解決手続の中の事情聴取等についてです。これも案件にもよりますけれども、金融サービスに関する審理は、やりとりをすべき情報量も多く、個別性が高い面もあります。また各機関でご尽力いただいておりますとおり、個別事情を把握して、それに基づいた審理を行うという観点からしますと、やはりデジタルのやりとりだけではなかなか難しいでしょうし、最終的には面談等のやりとりをしていく必要があるのではないかと思います。金融サービスについて、商品やサービスが比較的高額な場合には、顧客の側でも面談による手続が望ましいと考える場合も多いのではないかというふうにも思います。もっとも、平日で仕事をしている方ですとか、あるいは地方で拠点がない場合等については電話会議やテレビ電話等デジタル技術を用いた対応も必要かというふうに思います。ただ、こういった場合もデジタル技術を用いる場合には少し留意すべき点があるのではないかと感じております。

 1つは、こういったデジタル機器を使う場合に、性能にもよるかとは思いますけれども、それによる対応が向いている手続、局面と、それからやや不向きな手続、局面というのがあるのではないかと感じております。これまで電話会議方式による事情聴取やタブレット端末を利用した画面表示による事情聴取等も経験したことがありますけれども、概してお互いのやりとりが同じ方向に向かっている場合は、これらによる対応がやりやすいと思います。他方、お互いのやりとりが対立的な場面ではなかなか難しい傾向があるのではないかというふうに感じております。例えば、比較的単純な事情聴取や、相手方の意向に添う方向での和解提案には用いやすいですけれども、事情聴取において反対尋問的な質問を行う場合や、あるいは相手方の意向にあまり添わない和解提案を説得しなければならないような場合は、なかなか電話等を通じたやりとりでは意思疎通に限界を感じることがあるというのが率直な感想です。このあたりについて、もし何かお知恵等ございましたら、お聞かせいただけるとありがたいと思います。

 3点目ですけれども、類似事例の活用等についてです。類似事例の活用は、合理的な審理を行うという観点から有用性はあり得ると思います。けれども、金融サービスについては新規の商品が投入されたり、あるいは販売勧誘や技術のあり方も時代によって変わってくる、あるいは事件が個別性を有するという点がありますことから、類似事例の参照の仕方には留意すべき点があるように思います。過去の事案としては、全銀協さんの為替デリバティブの事件ですとか、あるいは最近のFINMACさんのVIXインバースなど、多数の同種事案がADRに持ち込まれたものについては、類似事例が参考になる、あるいはその類似事例を集めて合理的な審理や解決のあり方を考えることが有用と思われます。もっともこのような事案も、個別の事件では、類似事案を参考にしつつも、個々の事案の個別性に鑑みた検討も必要かと思います。また、事件類型として個別性が薄いような事案、例えば保険の約款などももしかしたらこの類型に入るのかもしれませんけれども、そういった類型については類似事例を参考にしやすいのではないかと思います。これに対して、個別性が強い事件類型や個別の検討の必要性が高い事件類型については、類似事例と思われるものが果たして類似しているのかどうなのか、あるいはどの程度類似しているのかということを慎重に見極める必要がありますし、その比較をするよりも、個別の案件として検討したほうが早い事案もあるように思われます。

 いずれにしろ、いろいろな観点から、入り口もそうですし、審理の局面もそうですし、事件の内容もそうかと思いますけれども、おそらくデジタル化に適した傾向のものと、それから、それを導入するには課題のあるようなものもあると思いますので、そういったものを見極めながら課題の克服に努めていくことも必要かというふうに思います。以上です。

〇神作座長
 貴重なご指摘どうもありがとうございました。ただいま坂委員から、特に事情聴取や、あるいは相手方の意向に必ずしも添わないような和解の説得等、やや複雑なコミュニケーションについて何か工夫がなされていますでしょうかと、もしそのような工夫や取組みがありましたらお尋ねしたいというご趣旨のご質問であったと思いますけれども、ご経験等を踏まえて、あるいはこういうことがあるということを教えていただければと思いますが、何かございますでしょうか。あるいは、デジタル化に適したコミュニケーションと、それがなかなか困難なコミュニケーションの区分に関わる切り口からのご発言でも結構ですけれども、もし各機関からご発言、コメントいただきましたら大変幸いでございますが、何かございますでしょうか。

 それでは、西村委員、お願いいたします。

〇西村委員
 貴重なご意見ありがとうございます。おっしゃるとおりでありまして、やはり対面していないとなかなか微妙な案件等につきましては説得が難しいということは、実際あっせんをやっている場で感じるところでございます。こういった面から、デジタル化が望ましい部分とそうではない部分というのは、やはりいろいろ切り分けながら考えていかなければいけないなということを思っています。
 
 私どもの資料の中には、テレビ会議、ウェブ会議のところで、さらなる臨場感の向上等を検討中というのが幾つか今後の対応として出てきてございます。こちらのところは、今タブレットで行っているのですけれども、それを補完するというわけではないのですが、今タブレットは、合議体でやっているときに、皆で1台の画面を見てやっているのですね。そうすると、やはり顔等もよくわからない、表情とかもよく読み取れないという部分等がございますので、今後導入しようと思っておりますのは、参加者が各人1台ずつ持って、発言者が大きく映るような形にして、表情の読み取り方ですとか説得性を増すとか、こういうようなところについて配意しながらやっていこうということを補完的な枠組みとして対応しようと考えている次第でございます。以上です。

〇神作座長
 大変ありがとうございました。ほかに何かコメントいただくことはございますでしょうか。よろしゅうございますか。あるいはまた後ほどでも結構ですので、もし何かございましたら、またご発言いただければと思います。

 それでは、影山委員、お願いいたします。

〇影山委員
 国民生活センター紛争解決委員会の影山でございます。私どももADRを実施している機関でございまして、今、多くのADR機関さんのほうから熱心な取組みのご報告いただきまして、大変勉強になりました。実は私どもも、問合せの窓口については全面的に電話になっております。また申請は書面でしなくてはいけないということになっておりますので、改めて持ち帰って検討したいと思っております。
 
 そういう中で、IT化のことについて議論が今出ておりますが、確かに私どもも取り組まなくてはいけないのですが、実際、今、坂委員からもお話があったように、金融の事案などで、特に適合性の問題などに関して言えば、たとえばタブレットで、かくかくした画面で何がわかるのだろうかと。むしろやはりADRの手続は、少なくとも電話等で事情を聴きとり、そういった形で手続、調整を図っていく、両当事者の意見を尊重してよく聞いていく、そういうほうがむしろ大切なのではないでしょうか。
 
 どこまで金融機関さんで利用できるかわかりませんが、私ども、場合によっては、申請人、消費者の自宅にまで仲介委員がお邪魔する形で聞き取りを行うこともあります。また利用時間のことに関して申し上げると、時間外期日と私ども言っていますが、個別の紛争解決手続を夕方の6時とか7時から2時間コースで始める、そういうことで、これはサラリーマンの方とか、事情がある場合に手続をやっております。ちなみに昨年ですと、年間300回ぐらいの手続をやっているのですが、時間外に開催したのが35回です。また、私どもの場合、事務所が1つしかありませんので、現地に出かけていって手続を行っているものは24回ぐらいになっております。
 
 そういうわけで、ちょっと逆行したことを言って申し訳ありませんが、ADRの場合、どうしてもやはりフェイス・トゥ・フェイスというか、少なくとも声を聞くというのが大切なことなのではないかというふうに考えております。金融機関さんの場合のように営業時間がしっかりしている事業者さんに夜の7時からやりませんかといっても、それはちょっと協力はしてもらえないとは思いますけれども、私どものほうではそういった形でやっておるところであります。

〇神作座長
 どうもありがとうございました。

 それでは、沖野委員、お願いいたします。

〇沖野委員
 いずれも貴重なお話をありがとうございました。私も感想になりますけれども、今ちょうどご指摘にありましたように、さまざまな事情を確認するためには、現在の電子メールなどは非常に情報として限られております。かえって表現を捉えて誤解が先鋭化していくといったこともありますので、利用の有用性、あるいは有用な局面というのをとりわけ考えていく必要があると思います。そういったときに、最初の入り口のアクセスといいますか、そういうものが主として電話であるというのは、これはその段階で情報をとれるという点で有用な点はありますけれども、やはりその利用が本当に全ての人に開かれているかということを考えますと、今既にウェブで障がいのある方等に向けたフォームをご用意になっているところ、あるいはより一般的にそういったフォームを利用できるようになっているところがございますので、せめて最初の入り口の多様化という点ではもう少し活用の余地があるのではないかと思ったところです。それから、例えば日程の調整などは、逐一電話など、あるいは対面してからでないと調整できないというよりは、電子メールでやりとりしたほうがより簡単だというようなこともございますので、やはり要所要所で使っていくということが大事なのではないかと感じたところです。
 
 それから、そういった使い方に関してなのですけれども、今回のご報告の中で一番よくわからないなというふうに思いましたところは、とりわけ紛争の申立については、どの機関も書面でというふうにされている点です。その理由といたしましては、損害保険協会のお話では、大量の書類になる可能性があって、それを電磁的記録にするのはかえって申立者においても負担であるというお話でした。ただ、それは常にそうなのかということもございまして、状況によってはそれほどでもないということもあれば、既に電子化されているという場合もございます。

 保険オンブズマンの小野委員のお話では、一旦内容をPDFやファクシミリで確認してから改めて郵送にしていると。なぜなんだろうかということがございまして、そのまま添付で送れば十分ではないかと思われるところをあえて郵送にされている、電磁的記録ではだめだというのがなぜなのかというのが、ちょっとその事情がわからなかったところがございます。あるいは事業者、金融機関のほうでの書類の話ですとか、あるいは事故などですと、診断書など第三者機関から提出される書類などもございますので、そういったものもあるかもしれませんが、ただ、そういうところもだんだんに電磁化されているという面もあるかと思いますので、なぜこの申立が郵送、書面のみというふうにされているのかというのは、その理由などお聞かせ願えたら、あるいは多様化の手法として考えていくきっかけがつかめるかと思うところです。

 それから、いろいろな局面で電磁化をうまく組み合わせられないかという点につきましては、おそらく紛争などは、直接ADRの機関に来ることもございますけれども、まずは事業者あるいは金融機関に来ることもあると思われ、そういったところでも既に電磁的な方法によって対応されている部分もあるのではないかというふうに考えられるところで、このADRでの取組みは、いろいろな情報を会員機関にフィードバックしていくというのが1つ役割としても期待されているところですが、逆の方向で、各事業会社あるいは金融機関において既に取り組んでおられるようなところをADRのほうにフィードバックしていくということもあり得るのではないか。あるいは協力して、一貫して、より多様なというか、電磁的な記録等を使うことによって紛争解決の全体のスピードを上げていくという点もあるかと思いますので、そういうことも、これはご勘案いただいてはというふうに思うところです。それから、将来的には、高齢者の方の対応などということで、なかなか手法に対応できない方もあるというお話があって、そういう面はあると思いますけれども、これからどんどん社会が進んでいきますと、むしろ高齢者の方がよく、電磁的な方法のほうがやりやすいというようなこともあると思いますので、少し、この層に特化せずに考えていってはどうかと。
 
 最後ですけれども、これは確かにそうだというふうに感じましたのは、自分のことを省みましても、平日昼間、9時~5時で一定の時間をとる作業をできるか、あるいは赴くというようなことがあるとできるかというのは、多分難しい人は多いのではないかと思われるところで、時間外対応というのは、一方でADR機関のほうの労務管理とかも非常に大きな問題が出てきますので、難しい面あると思うのですが、やはりちょっと検討の課題としていくべきものではないかと思ったところです。以上です。

〇神作座長
 ご指摘どうもありがとうございました。沖野委員からはご質問が出されていたかと思います。大半の機関があっせんについては書面による受付を要するということでしたけれども、それは、電子化というのは一切認めないという趣旨なのか、例えば添付のような形でも認めているのか、あるいは、どうしても紙が必要だというときには、その理由はどこにあるのでしょうかというご質問であったかと思います。これについて、どなたかご説明いただけますでしょうか。

 小野委員、お願いいたします。

〇小野委員
 ただいま保険オンブズマンと名指しでご照会なりご質問をいただきましたので、その箇所についてお答えいたします。
 
 一部誤解があったようですが、そういう意味では私の言葉足らずだったかもしれませんけれども、これは冒頭、私申し上げましたけれども、苦情であれ、あるいは紛争申立であれ、原則として、私どものウェブサイトあるいはeメールによるアクセス受付、これは今もやっておりますし、件数としてもございます。紛争解決、ADR、調停に向けての手続の面で文書というふうに申し上げましたのは、これも理由がございまして、これも先ほど強調いたしましたけれども、私どもの機関ではいわゆる苦情前置主義、つまり最初、申立人から電話なり、メールでもいいし、ほかの手段でもいいのですけれども、こういうことで相談もしくは苦情があるということをお受けします、あるいは承ります。その中で事情を把握し、事実関係を確認し、それをベースに、場合によっては事業者ともやりとりをいたします。その中でお互い、誤解があったのであれば誤解を解くような作業、もしくは和解といいましょうか、歩み寄りができるところであればその作業、これを進めていくのが私どものプロセスなのですけれども、それを前提にいたします。

 その過程があってさえも、申立者としてはやはり納得できないと、これはもう苦情の枠を超えましてADR、紛争解決という形で、そういう場できっちり主張したいと、判断してもらいたい、ということに移行する場合がございます。そういう場合には、紛争解決への移行を開始しますので、その段階では、正直言いまして、相当、事実関係、関係書類も含めまして、私どものほうでお預かりしています。事業者とも共通にそこは認識、知識・情報を共有しております。したがいまして、その段階では、お互いの主張なり付帯情報なりが共有されていますので、改めて申立者のほうから、これはあえて苦情ではなくて紛争解決に移行をお願いしたいというご要請があれば、私どもはそれをお受けするのが立場でございますし、最初からそのご案内も申立者にしていますので、そうなれば、書面といいますのは、こういう形でぜひADRに移行したい、ついては今回こういう事案で紛争解決に移行したい、ということを一応書面にしていただきます。これは、その通知はもちろんeメール、ウェブで全然構わないのですけれども、一応押印をしてもらって、その人の、つまり申立人本人の意思であるということも確認する必要がございますし、その限りでは書面ということにしておりますが、おっしゃいますように全て、入り口のところも書面に限っているわけではございません。

 繰り返しますけれども、基本的には苦情から移行したものがほとんどでございますので、中身は、事業者、あるいは私どもも当然、あるいは苦情申立者もそのやりとりはご存じでいらっしゃいますので、その限りで、あえて書面でもって。苦情申立から紛争解決に移行することをオーケーするには、その書面を一応手続としてはやっていただいているという趣旨でございますので、入り口のところもそれに限っているということではございません。最初からそのコミュニケーションが始まっているところがほとんどでございますので、そこのところを追加で申し上げます。

〇沖野委員
 詳細なご説明ありがとうございました。念のための確認ですけれども、そうしますと、資料3-1-2におきまして、1の項目の紛争におきまして、受付は郵送(書面)としていると、メール等で事前にその書面なども一旦送っていただくのだけれども、その上で郵送を要請しているとありますけれども、これは、郵送の中には電子メール添付も可能であるという、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

〇小野委員
 郵送であると、例えば、申立申請書といいましょうか、紛争解決手続移行についてのご本人の意思確認の必要がございますので、それはあらかじめ私どもから、もう既に苦情の段階でご案内しています。申立者のほうからそこで、その方のご判断として、もうこれ以上は苦情としてではなくADRに移行してもらいたいと、その場で議論したい、自分の主張を言いたいとおっしゃれば、その方の選択でございますので、もう既にお送りしてある、それも書面でお送りしておりますので、例えば、私、何の何がしさんということで、こういうことで申請しますという、そこの書面を文書でという意味でございまして、申立の中身そのものについてはウェブもあり得るし、ファクシミリもあり得るし、ほかの、また郵送手段もあり得るというプロセスを経た上での、この結果のプロセスの一手段でございます。

〇神作座長
 よろしゅうございますか。

〇沖野委員
 はい。郵送以外でも対応しているというふうに理解をいたしました。

〇神作座長
 ほかに、今の点につきまして追加のご説明いただけるところはございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 
 指定8機関以外の皆様の中から、消費者、利用者の声をくみ上げる工夫など、何かご紹介いただくことがございましたら、この機会にご発言いただければ非常にありがたいと思いますが、どなたかございますか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、貴重なご意見、大変ありがとうございました。
 
 それでは、だんだん時間も迫ってまいりましたけれども、次の議題でございます「『金融サービス利用者相談室』における相談等の受付状況等」につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室の伊佐委員からご説明をいただき、続いて「『第20回及び21回金融ADR連絡協議会』の概要」につきまして、事務局からご報告をお願いしたいと存じます。それでは、伊佐委員、よろしくお願いいたします。

〇伊佐委員
 金融サービス利用者相談室の伊佐と申します。よろしくお願いいたします。ご説明させていただきたいと思います。
 
 私ども金融サービス利用者相談室は、金融庁の所管業務につきまして一元的な相談受付窓口として位置づけられております。相談対応の中心は電話でございますけれども、障がい者の方など事情のある方については個別に対応方法を検討するなど、利用者利便に配慮しながら対応している状況でございます。どのようなボリュームで相談を受け付けているのかということにつきましては、お手元の資料の一番最後から1枚おめくりいただきまして、資料4-3という折れ線グラフの資料がございます。これをご覧いただきたいと思います。

 これは四半期ベースで相談件数の推移についてグラフ化したものでありまして、一番上のグラフが全体の相談件数ということになっております。右側のほうに4月から6月、7月から9月、四半期ごとに整理をしておりますけれども、昨年の4月から6月のベースで見ますと、件数として9,549件、7月から9月につきましては9,842件ということで、大体3カ月、四半期当たり九千数百件の相談件数ということでございます。それぞれ内訳についてどのようなことになっているのかということにつきましては、下段に内訳のグラフがございますけれども、これをご覧いただきますと、4月から6月のところで、金融行政一般・その他というところがちょっと山になっておりまして、これが増加しております。これにつきましては、昨年6月に金融庁が公表いたしました金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書、これにつきまして報道等がなされ、一般の方から照会や意見が多数寄せられたということで、こういう増加ということになっております。7月から9月でご覧いただきますと、保険商品のところが大きく増加しております。これにつきましては、昨年末に行政処分が発せられましたかんぽ生命の関係で、乗換え問題等に関する報道等を見た相談者の方から多くの相談が寄せられたということが要因になってございます。他の分野についてはおおむね横ばいで推移している状況でございます。

 少しこの中身を具体的にご説明いたしますと、折れ線グラフの資料から4ページ戻っていただきまして、4枚おめくりいただきますと分野別・要因別の相談等受付件数という資料が出てまいります。我々相談室の中では、相談受付内容につきまして、ここにあります5つ、その他を入れますと6つですけれども、こういった分類で整理をしておりまして、一番上から、預金・融資、それから保険商品、投資商品、貸金、暗号資産(仮想通貨)、このような形で分類、整理してございます。相談件数ベースで申しますと、預金・融資、保険商品、投資商品の関係につきましては相談件数が多くて、それぞれ2,000件を超えておる状況でございます。一方、貸金、暗号資産等につきましては、それぞれ数百件、1,000件未満という状況でございます。

 どういった理由、背景で相談が寄せられたかということで整理いたしますと、各分野とも個別取引・契約の結果による相談が一番多いということでございまして、これは、預金・融資で申しますと条件変更や新規の融資、保険金の支払いなどに関する金融機関とのトラブル等が主な内容になってございます。このほか、預金・融資、保険商品につきましては、金融機関の態勢・各種事務手続に関する相談といったことが増えてきてございます。近年の傾向としましては、マネーロンダリング、テロ資金供与の関係で、各金融機関の方々の独自の対応とか、いろいろ今までの事務取扱と比較すると、若干お客さんに負担を求めるといいますか、本人確認を含めて、そういうことのハードルが若干高くなってきているのかなということだと思いますけれども、こういったことで、以前は要請されなかったことが現時点でこういう要請をされていると、これはどういうことだと、そのような相談も寄せられているというのが最近の特徴であるかと思っております。
 
 そのほか投資商品、貸金、暗号資産等につきましては、商品・サービスの仕組みとか、登録の有無など一般的な照会・質問というものが多く寄せられている状況でございます。この資料には、資料4-1、4-2ということで、四半期ごとの相談の受付状況、金融庁のウェブサイトで公表しておりますけれども、これをそのまま添付させていただいておりますので、またお時間のあるときにご覧いただければと思います。簡単ですけれども、以上でございます。

〇今西室長
 では続きまして、事務局からご説明いたします。資料5をご覧ください。
 
 金融ADR連絡協議会でございますが、これは金融ADR機関間の連携を強化すべく、定期的かつ実効性のある情報交換や意見交換を行うため、金融庁を事務局として指定8機関の実務責任者が参加し、おおむね四半期ごとに開催しているものでございます。直近では第20回会合を昨年10月に開催し、金融機関ADR機関の認知度向上に向けた取組みなどについて、また、第21回会合を先月開催し、金融ADR機関への利活用・アクセス向上に向けた取組みについて、それぞれ情報交換などが行われたところでございます。簡単でございますが、私からは以上です。

〇神作座長  
 どうもありがとうございました。

 これまでのご説明につきましてご質問、ご意見等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございます。

 それでは、本日の協議会はこれで終了したいと存じますけれども、最後に発言させていただきたいと思います。私も参加させていただいた金融審議会の新しい仲介制度、これを新仲介法制と呼びますけれども、主としてインターネットによってさまざまな金融サービスを、いわゆるワンストップで仲介できるようにしようという方向で報告書がまとめられています。各委員の先生方からもご意見ございましたように、IT化、デジタライゼーションの方向というのは、これはもう逆らうことができない方向だと思いますので、今日のお話の中でも、例えば受付ですとか、あるいは日程調整だとか、このようにデジタル化したほうが効率的で合理的だという部分は当然あるかと思いますので、そのような部分をはじめとしてデジタライゼーションを進めていただくとともに、私は、電子化のときにちょっと問題が起こると思うのは、やはり対面だったら言わないようなことを書いてしまうというようなことがあるのではないかと思うのです。そのようなときに、かえって紛争の解決が妨げられる可能性というのもあるのではないかと思います。その意味では、これも多くの方がご発言されたと思いますけれども、使うべきところと、そうでないところというのは、なかなか仕分けが難しいという問題がありますが、全てデジタライゼーションすればそれでうまくいくという世界でも必ずしもないように思います。そのほか、対応する時間を拡張してほしいとか、さまざまなご意見も出されましたので、ぜひ、今日いただいたご意見、あるいはほかの各機関の取組み等をご参考にしていただいて、さらなる利活用の向上に向けた取組みを進めていただければと存じます。

 それでは、次回について、第59回の協議会になりますけれども、本年6月頃を予定しております。詳細は追って事務局から連絡していただきます。
 
 皆様、大変お忙しい中ご参加いただきまして、まことにありがとうございました。

 

 

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