豚コレラ ワクチン接種拡大 発生県周辺指定へ 農水省

 豚コレラ(CSF)の感染拡大を防ぐため農水省は、飼養豚に打つ予防的ワクチンの接種地域を拡大する。関東では神奈川や千葉など、近畿では京都や奈良を接種推奨地域に指定することを検討。ウイルスをまき散らす野生イノシシからの感染が広がる中、ワクチンの数を確保できる見通しが立ち、範囲を広げる。20日に専門家で会議を開き、正式に決める。

 現状のワクチン接種は、感染した野生イノシシが見つかった県を国が推奨地域に指定し、県の接種プログラムを承認してから使う流れ。18日までに群馬、埼玉、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の12県が接種している。このうち埼玉では感染イノシシが見つかるよりも先に養豚場での発生を確認。山梨では接種プログラムの承認を受けて、翌日からワクチンを打つというタイミングに農場で発生した。

 18日の同省の牛豚等疾病小委員会では、こうした背景を踏まえ、感染イノシシが見つかる前に推奨地域を広げ、予防的ワクチンを使うべきか議論した。推奨地域を広げるのは、人や物の移動などでもウイルスの拡散が進んでいる恐れがあるため。また、野生イノシシでウイルス拡大を防ぐため経口ワクチンの範囲を広げており、感染拡大防止を強化する狙いだ。

 不足が指摘されていた飼養豚に接種するワクチンは、増産で一定数が確保できる見通し。範囲を広げても対応が可能になるとみられる。同省は接種推奨地域の間に空白の県ができないよう、広域での指定を目指す。接種地域拡大では12月上旬、群馬、栃木、茨城の各県知事が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相や江藤拓農相に要請している。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索