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滋賀「光秀観光」分かれる明暗 催し中止の一方、休校で来場増も
滋賀とゆかりが深い戦国武将・明智光秀が主人公のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の放映に合わせ、観光客を呼び込もうと、県内各地ではイベント開催などの準備をしてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、水を差された形になっている。政府によるイベント自粛要請で催しが中止になるなどし、「好機を逃す」と憂える地域がある一方、臨時休校の影響で家族連れの来場者が増えている地域もあり、明暗が分かれている。 ◆大津
明智一族の菩提寺(ぼだいじ)である大津市坂本の西教寺などでは、八日から光秀にゆかりある四会場を巡るイベント「びわ湖大津・光秀大博覧会」が始まった。だが、政府による自粛要請を受け、八日に予定していたオープニングイベントは中止に。会場の一つの禅明坊光秀館は、開館を見合わせている。会場周辺を歩いても、観光客の姿はまばらだ。 市や商工会議所、観光協会などは二〇一八年七月に、「大河ドラマ『麒麟がくる』大津市観光振興協議会」を設立。市は一九年度に二千二百万円の資金を出し、二〇年度も約一千五百万円の予算をかける予定だ。 今年一年間で計二十六万人の来場を目指していたが、イベント開始後も、西教寺の客数は一日に百人ほど。市の担当者は「光秀館が開いていれば、もっと多くのお客さんが来ていると思う。準備してきただけに残念」と肩を落とす。 ◆多賀光秀の出生地説が残る多賀町の観光協会でも、新型コロナの感染拡大防止のため、町中心部の観光ガイドを七日から三十一日まで中止している。 光秀に関連する施設などの紹介に携わる「佐目十兵衛会」は、出生地と伝わる佐目地区で毎年三~五月に行っている春祭りを、今年は中止にするという。 昨年九月の秋祭りでは、大河ドラマ放映の直前ということもあり、例年より多い約三百人が訪れてにぎわった。戦国武将のコスプレをする人もおり、盛り上がったという。十兵衛会の関係者は「佐目に注目が集まってきた矢先(やさき)で、やむを得ないとはいえ、残念だ」と話している。 ◆安土
一方、明智光秀が仕えた織田信長が築いた安土城跡がある近江八幡市安土町。国特別史跡の城跡では、新型コロナ対策で多くの学校が臨時休校となった後、高校生以下の入山料を、通常の二百円から無料にした。そんな効果もあって、休日には五百人前後が訪れるなど、例年に比べて二割ほど多い観光客が訪れているという。 晴天に恵まれた九日には、平日にもかかわらず百七十人が来場。十二日も、駐車場には「所沢」「足立」「なにわ」「和泉」「堺」「福井」といった県外ナンバーの車が目立った。 城跡を管理する一般社団法人「安土山保勝会」の野瀬信弘専務理事(67)は「例年に比べて来場者は多いが、こんなご時世だから、手放しで喜べない。これから観光シーズン本番で、PRしたいことは山ほどあるのに…」と複雑そうだった。 (柳昂介、倉掛雅史、松瀬晴行) <びわ湖大津・光秀大博覧会> 禅明坊光秀館以外の施設は、開いている。西教寺内では、光秀が戦死した部下を弔うために直筆した供養米の寄進状や、国友村(現長浜市)で作られた火縄銃などを展示している。料金は、西教寺、滋賀院門跡、光秀館の3施設セットで高校生以上1200円。施設ごとでは各500円。市歴史博物館は大人330円、高校・大学生240円、小中学生160円。(問)振興協議会=077(528)2772 PR情報
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