三大死因の一つに、初めて「老衰」が加わった。これは、厚生労働省が7日に発表した2018年の人口動態統計月報年計(概数)の結果だ。18年の統計では、死因の1位、2位は、これまで同様、悪性新生物(腫瘍)、心疾患(高血圧性を除く)だったが、「肺炎」の減少に伴って17年に3位となった「脳血管疾患」を抜いて、「老衰」が初めて3位となった。死因としての「老衰」は、この十数年、右肩上がりで上昇し続けている。
主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移(出典:2018年人口動態統計月報年計[概数])
死亡統計における死因の変化には、17年4月に発表された「成人肺炎診療ガイドライン2017」(日本呼吸器学会)の影響が大きそうだ。同ガイドラインは「易反復性の誤嚥性(ごえんせい)肺炎のリスクあり、または疾患終末期や老衰の状態」の場合には、「個人の意思やQOL(クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)を重視した治療・ケア」を行うこととし、患者背景を考慮した上で積極的な治療を行わないことを初めて推奨した。
■死因病名に「老衰」と記載する医師増えた?
死亡診断書の死因病名が「肺炎」「誤嚥性肺炎」とされていた症例の多くは、実際には肺炎が直接の死因ではなく、加齢性変化による衰弱などによって死亡しているといわれていたが、同ガイドラインの発行を契機に、誤嚥性肺炎で死亡した場合にも、死亡診断書の死因病名に「肺炎」ではなく「老衰」と記載する医師が増えてきていると推測される。
同統計によると、18年の死亡数は136万2482人で、悪性新生物(腫瘍)による死亡数は37万3547人、2位の心疾患(高血圧性を除く)は20万8210人、3位の老衰は10万9606人、4位は脳血管疾患で10万8165人だった。
一方、出生数は91万8397人だった。出生数と死亡数の差である自然増減数はマイナス44万4085人となり、12年連続の減少となった。
(日経メディカル 小板橋律子)
[日経 xTECH 2019年6月10日掲載]