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【政治】

<新型コロナ>核心あいまい 首相会見、国民の不安解消遠く

記者会見する安倍首相=14日午後、首相官邸で

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 安倍晋三首相は十四日の新型コロナウイルス感染症に関する記者会見で、唐突な小中高校などへの休校要請について陳謝し、理解を求めた。一方で、学校の再開の時期や感染症終息の見通しなどは明確に語らず。二週間ぶりの記者会見が、さまざまな疑問や不安の解消につながったとは言い難い。 (後藤孝好)

 首相は冒頭発言で、感染拡大対策の成果をアピールし、協力を訴えた。

 感染者数は依然、増加傾向にあるものの「急激なペースで感染者が増加している諸外国と比べて、増加のスピードを抑えられている」と強調。その上で警戒を緩められないとして、私権制限を伴う緊急事態宣言を行う可能性に触れた。

 緊急事態宣言を出す際には専門家の意見を聴き、慎重に行うとしたが、判断の根拠や明確な基準に言及しないままだった。

 十四日に施行された改正新型インフルエンザ等対策特別措置法は、発令要件を(1)国民の生命、健康に著しく重大な被害を与える恐れ(2)国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れ-としており、抽象的で解釈の幅が広いと指摘されている。

 子どもや親が最も知りたい疑問が晴れたともいえない。

 首相は「大切な時期に、学校を休みとしたことは大変申し訳なく思っている」と語った。密集状態を避けるなど安全対策を取った上で、学校側に卒業式を開催したり、子どもたちに野外で遊んだりするよう促した。法的根拠がなく、専門家の意見も聴かずに行った休校要請に対する大きな批判を意識した。

 だが、肝心のイベント自粛や休校要請がいつまで続くかについて首相は明言せず、感染の「爆発的」な広がりを防ぐ努力を強調するにとどめた。

 子どもの世話や業務縮小などで、仕事を休むフリーランスの個人事業主や自営業者は、厳しい経済環境に置かれている。記者会見ではフリーランスを巡る補償が、企業に勤める保護者と比べて半額程度の日額四千百円となった理由が問われた。

 首相は「働き方や報酬の定め方が多種多様で、実際に支払われる予定であった金額を把握することが容易でない中、迅速な支払いをすることを第一に考えた」と釈明したものの、四千百円の積算根拠は説明しなかった。

<新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言> 改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の成立により出すことが可能となった。感染が全国的かつ急速にまん延し、生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある時、首相が区域と期間を定めて判断する。都道府県知事は(1)外出の自粛要請(2)興行施設の利用制限の要請・指示(3)臨時医療施設の開設に必要な土地使用-など私権制限を伴う措置が可能となる。基準が曖昧との懸念がある。付帯決議で原則として国会へ事前報告すると規定している。

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