こんにちは濱谷です。
最近CAD関連の記事を検索すると『ジェネレーティブデザイン』『トポロジー最適化』といった言葉を目にする機会が増えましたね。
そこで主要なCAD、CAEが提供している『ジェネレーティブデザイン』『トポロジー最適化』についてまとめてみました。
ジェネレーティブデザイン、トポロジー最適化が使えるソフト5選比較表
Fusion 360 | Solidworks | Creo Parametric |
Altair Inspire solid Thinking |
ANSYS Mechanical |
|
---|---|---|---|---|---|
トポロジー最適化(シェイプ最適化) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ジェネレーティブデザイン | ○ | × | × (Creo 7.0に一部実装予定) |
○ | × |
ラティス(格子)構造作成 | × | ○ (3DXpert for SOLIDWORKS) |
○ | ○ | ○ (19.1ではβ版) |
CADデータエクスポート形式 ※STL以外で特徴的なもの |
スカルプトモード (Tスプラインモード) |
メッシュBREPボディ | フリースタイルモデリング環境 (B-スプライン、ポリゴン、NURBS他) |
PolyNURBS | – |
対応OS | Windows(64bit),Mac | Windows | Windows | Windows | Windows,Linux |
その他 | 商用ライセンス | 2018以降 Simulation Professional、またはPremium |
– | – | ansys spaceclaim上でリバースエンジニアリング |
『ジェネレーティブデザイン』と『トポロジー最適化』の特徴
『ジェネレーティブデザイン』は、形状をコンピュータが自動的に生成することに対し、『トポロジー最適化』はCAD上のある3Dモデルに対して、最適化計算を行います。
少し雑な言い方になるかもしれませんが、以下のように捉えることができます。
『ジェネレーティブデザイン』:未だ無いモノを作る。複数案の回答が提示される。
『トポロジー最適化』:今あるモデルを最適化・軽量化する。基本的に1対1の回答が提示される。
共通しているのは、コンピュータに3Dモデルを考えさせる、という点です。
一般的には、製造方法の検討段階や、詳細なエンジニアリング設計をする段階で「一般的なトポロジー最適化」が使用されます。
図のような完成した形状をさらに最適化していくようなイメージでしょうか。
対して、『ジェネレーティブデザイン』では、上図のようなコンピュータで計算された形状が数十個~数百個、自動的に生成されます。
コンセプトの段階でも、材質や応力、デザインの方向性を加味して利用することが可能です。
どちらもコンピュータに計算させて3Dモデルを作成するので、使いどころが違うことを理解しておきましょう。
もちろん、『ジェネレーティブデザイン』を『トポロジー最適化』の範囲で利用してもOKですよ♪
ジェネレーティブデザイン、トポロジー最適化機能取り扱いソフト
1. Fusion 360(商用ライセンス)
『ジェネレーティブデザイン』という言葉を広めたのが、Fusion 360と言っても良いと思います。
Fusion 360のジェネレーティブデザインは、自然が進化する手法をデザインで模倣するものです。
ソフトに軽量化や安全率の目標数値、材料や製造方法、を入力計算し、設計の代替案を生成します。
計算されたモデルは、スカルプトモードで編集可能なジオメトリに変換されます。
Brepモデルの為、解析計算もすぐに行うことが可能です。
<メーカー公式紹介動画はこちら>
https://www.autodesk.co.jp/solutions/generative-design
<Fusion 360 ジェネレーティブデザイン活用セミナー>
https://bizroad-svc.com/generative-design/
2. Solidworks( Simulation Professional、またはPremium)
SOLIDWORKS のトポロジー最適化機能は、応力制約、固有値制約を用いて形状生成することができます。
また、解析結果をメッシュボディーに直接出力できます。
メッシュ BREP ボディという形式で、簡単な編集も可能です。
また、3D Systemsが提供する3DXpert for SOLIDWORKSを利用することで、3Dプリントの為の内部ラティス構造を作成することが可能です。
<メーカー公式紹介動画はこちら>
https://www.youtube.com/watch?v=Ec9_s1K5JKs
3. PTC Creo Prametric
PTCのトポロジー最適化計算は、結果形状がポリゴンではなく、B-repになるため、そのままの利用が可能です。
これまで最適化形状をそのまま製品に使うことは難しく、生成された形状を参考に、新たにモデリングを行うのが主流でしたが、Creoではいち早くB-rep形状への出力と、フリースタイルモデリング環境での素早い編集を可能にしました。
<メーカー公式紹介動画はこちら>
https://learningconnector.ptc.com/content/tut-5953/topology-optimization-tutorial
4. Altair Inspire | solidThinking
Altair Inspireは、HyperWorksを演算エンジンとして利用し、ジェネレーティブデザイン / トポロジー最適化 / ラピッドシミュレーションを提供しています。
最も長い歴史を持つソフトの1つで、構造特性に優れたコンセプトを素早く簡単に生成でき、コスト、開発時間、材料消費量、製品重量の削減につながります。
最適化されたラティス構造を生成し、3Dプリンティング向けに.stl形式でエクスポートできます。
また、PolyNURBSフィットツールを使って、をジェネレティブデザイン結果にフィットするようCAD形状を作成可能です。
出典:https://www.altairjp.co.jp/news/11453/
<メーカー公式紹介動画はこちら>
https://solidthinking.jp/product/inspire/
5. Ansys Mechanical
ANSYS Mechanicalは、耐久性のある軽量なコンポーネントを設計するためのツールを提供します。
目標を容易に定め、製造要件が満たされるようにコントロールし、材料の最小厚さを設定し、削除する部分を決めることができます。
計算結果はSTLデータとして出力でき、「ANSYS SpaceClaim」を利用し、3Dプリンティングまたは製造のためのCADデータとして活用することができます。
また、複合材料部品、3Dプリンティングでしか作成できない部品、骨や生体組織をシミュレートすることが可能です。
出典:https://www.ansys.com/ja-jp/products/structures/topology-optimization
<メーカー公式紹介動画はこちら>
https://www.youtube.com/watch?v=xHN810lJs4k
まとめ
いかがだったでしょうか?
思っていたよりコンピュータによる形状最適化機能は身近になっていますね。
クラウドを利用することで、誰もが重たい計算を簡単に行うことができるようになってきていますし、ご紹介した各社も着々とクラウド化を進めているようです。
3Dプリンティングに特化した技術である「ラティス構造」も多くのシステムが取り入れていますね。
より身近になってきている『ジェネレーティブデザイン』、『トポロジー最適化』の技術を活用してみてはいかがでしょうか。
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