38、とある冬の夜に
1か月ぶりの投稿です。本当は前話の続きを書くつもりだったのに…我慢できなかった。ということでどうぞ!
トントントン
「はーい、いますよー。だーれですかー」
「すみません…私です…」
すっかり日も落ち、外は一面の銀世界。だけども決して吹雪いているわけではなくいまは月の光が雪を照らし幻想的な世界となっている。
そしてその反射された光は灯りもつけてないその部屋を薄明るく照らしていた。
その一室にノックの後入ってきたのは黒髪の少女であった。格好こそ一般的な少女だが、体は触れては折れてしまいそうなぐらい細く、その体は震えその目は怯えに染まっている。
「ありゃ?みずきちゃん、また来たのかい?廊下は寒いから早く入りなよ」
ベッドに腰掛け外を眺めていた少女がその黒髪の少女を中に入るよう促す。黒髪の少女を中に入るよう勧めた少女はその少女よりも少しばかり体が大きかった。そして月の光に照らされ普段の綺麗な金髪は銀髪に変化していた。
ーーー
私こと異世界になぜか少女の姿で来てしまった山代水樹がこの世界に来てか5か月ほどが経とうとしていた。思えばこの世界にきて沢山のことがあった。まだこの世界に慣れてない私を優しく見守ってくれたハースさんたちズマナ村の皆さん。私の兄代わりとして沢山守ってくれたアッシュさん。私を私める要因を作ったご
ー異世界には幸せだけがあるー
そう思っていた日本にいた頃の私の甘い考えはこの半年で一瞬にして砕けた。それでもこの異世界にも私を助けてくれるそんな人がいることが紅蓮の門のみなさんと過ごしたこの1か月でより深く実感できた。
『紅蓮の門』は巷では金さえ払えば誰でも暗殺を行う外道集団で通っているらしい。その通り、彼らには多大な懸賞金がかけられ、人々に忌み嫌われていたりもする。
しかし、この1か月私は彼らたちと過ごしその噂は間違いであるように感じた。ソーラさんに聞いたところ噂の通り暗殺を行う際などは多額な報酬をもらうらしい。しかし、依頼を受けたあとにしっかりとその対象者と依頼者を精査してから行うかどうかを決めるのだ。そのため彼らが主に暗殺を行うのは真っ黒なことをしている奴らばかりだったりする。
"自分たちは確かにやってることは極悪人で、これからの行く末は地獄のみの身の上だが、心まではそんな外道には落ちてないから。信用出来なくてもいい。ただ頼れ"
そんな風にアカギさんは言ってた。たぶんそのまんまの意味だろう。だからこそ私は彼らを信じ過ごしてきたのだった。
ーーーー
私はソーラさんに招かれて彼女の部屋に入る。彼らと出会う前の出来事は私に多大なる
そして、何よりも1人でいるのがとても怖い。特に夜の闇は元々ご主人様の影響で苦手になってしまったのがノイラー達のせいでさらに恐怖へと変わっていた。
それこそ目を瞑れば耳元に監視員の足音と鞭の音が聞こえ、耳を塞いでもその音は頭の中に響き渡る。そして挙げ句の果てには真っ暗な闇が自分を飲み込むそんな幻覚まで見えるのだ。
初めの頃は私はこの恐怖に縮こまりながらも1人で過ごしてきた。紅蓮の門の皆さんは使用人としておいている私にもしっかりとした部屋を用意してくれていたためである。その後何度かの出来事によって打ち解けあいはじめた(と私は思っている)私はこのように度々ソーラさんの部屋にお邪魔するようになったのである。
(だけどもこの隠れ家に来てからその頻度が増えたような気がする)
いま私たちがいるのは最初に私が目を覚ました屋敷とは違う屋敷だ。そこは昔とある金持ちが別荘として使っていたが幽霊騒ぎやらなんやらで売りに出されたのを紅蓮の門が占領したらしい。というか、紅蓮の門は他にも隠れ家を幾つか持ってるらしくその資金は暗殺の依頼料とアカギさんから出ているらしくアカギさんの正体に謎が深まったりする。
さて、私には日本にいた頃から大嫌いな物がある。それはお化けや幽霊の類である。小さい頃親が見ていた某井戸から出てくる髪の長い女の幽霊映画のせいでトラウマなのである。
そしてこの話をソーラさんから聞かされた私は本格的に1人で眠れなくなってしまったのである。
「いやー、ミズキちゃん!今日もお姉ちゃんの部屋に来てくれるなんてお姉ちゃん嬉しいよー!!さあさあ気にせずお姉ちゃんに抱きつきながら眠るといいさ!!」
月に照らされ輝く美少女は私にそう言って布団の中に引きずり込む。ほんの半年前は女の子に抱きついて眠るなんて恥ずかしくてできなかっただろうに、少女として決定づけられた私は彼女に誘われるまま布団の中に潜り込む。
そして彼女に抱きつくのだ。
「……いつも……ありがと…」
私は半分照れながらもしっかり抱きしめながら眠りにつく。
彼女の魔法なのだろうか、彼女に抱きつくととても安心するのである。そして私はどんどん夢の世界へと誘われていく。
「ん?なんか言ったかい?…って、もう眠っちゃったかな?じゃあお姉ちゃんも寝ちゃおっかな、ミズキちゃんおやすみー」
そう言うと今まで部屋全体を照らしていた月の光は弱まり部屋は薄暗さに包まれた。
「…こんな必死にしがみついて…この娘をこんなことにしやがった奴らは絶対に許さない」
闇の国の冬の夜はこうして更けていくのだった…
お読みいただきありがとうございます!
なんとか11月中に書き上げことができた作者です。
ということで久しぶりのミズキちゃんの登場と久しぶりの投稿なので、簡単なあらすじっぽい話になりました。
前書きで書いたようにガナブノさんの続きを書くつもりだったのですが、少し難しくなりそうで、久しぶりにミズキちゃんを出したくなってこうなりました。ただ、ちょっとコメディ成分が足りないな…
次は12月中を目指し頑張っていきたいと思います。
感想、批評、メッセージなど大歓迎でお待ちしております。
また、誤字脱字も多いと考えられるので指摘くださると嬉しいです。
では、