歌詞改変に関する僕流の理論②【音MAD講座】
前回の記事はこちら
いやいつぶりだよって感じですが。
前回替え歌には「韻」「フェードインとフェードアウト(頭韻と脚韻)」が大事だよねってことを話しましたが、具体的な作品を通じてそれを見ていきたいと思います。
脚韻
(※訂正:図中 「む」も赤字になるべきでした)
これは拙作「
ドーナツに穴があってよかったな~
」よりサビを抜粋したものです。
とりあえずこれを作るうえでどんなことを考えていたかについて解説していきます。
こうして図にするとわかりやすいですが、行の最後から2音くらいは意識的に母音を完全に合わせています。そうすることで脚韻が生まれて、「いつの間にか原曲に戻っている感」を生んで「うまい改変」と思ってくれるように仕向けています。
一方で、替え歌も歌詞であるからには意味が通っている感もまた大事です。
「忘れてしまった」と「ゴミ箱にフタがあってよかった」で2字韻が踏めることに気付いた後、それの意味を通すためにその前「貴方がくれた」もうまく変える必要がありました。母音を変えないことを意識して考えた結果、「くれた」を「群れた」にすることで意味が通ることに気付き、そうしました。
もう一個僕の事例を。
「 恋はどう?モロ◎外道KV☆ボルガ式!! 」より
これも最後の文字に関しては母音を合わせることを意識しています。昆虫学者的な意味を組み込めた割には音も崩れていなくてすごくうまくいっているとおもいます(自画自賛)。
特に三行目について見ましょう。「これってパラダイム」と「パレスアグリアス」が音的に似ていることには気付きましたが、「サンダナパレスアグリアス」で一単語なので、最初の「サンダナ」が邪魔だということになります。そこで、僕は思い切って原曲では歌われていないスペースに歌詞を無理やりぶち込むことにしました。
最近だと「オケイハンオケイハン」という作品が、このように歌詞のなかったスペースに歌詞をぶち込んで、韻とテキストにしたときの見栄え(エイリアンエイリアンMADは適当な5文字だとうれしいよね)を両立させることに成功しています。
頭韻
「原曲から替え歌に自然に移る」頭韻は、「替え歌から原曲に自然に戻る」脚韻とは少し違った働きをします。具体的には、不意打ち感がより強くなるんじゃないかと思っています。ラップにおいても頭韻主体のラッパーは「何が来るのかわからない感」があるとは言われていますが、これはMADについても言えるんじゃないかと。
「セルニモンセルニモン」より
まあこれは他人の作品なんですが、優れている例なので紹介。
まず一行目、ここの本来の歌詞は「エイリアンわたしエイリアン」なのですが、同じメロディでサビ後半に「エイリアンあなたのエイリアン」とあって、どちらかといえば後者に合っているからここがうまく聞こえるのかなということでそっちを原曲歌詞として採用しました。こんな感じで「同じメロディの別の部分を借用することで自然に見せる」という手もあると思います。
そして二行目。ここの不意打ち感すごいですよね。急にエイリアンエイリアンからセルニモンに戻される感。頭韻にはこういう作用があると思います。
もう一個他の人の作品を紹介。
「 【合作】ホアホア動画学園祭【Z会】 」より
ここの構成すごい巧みなんですよね。
最初に「増進会」と言っておいて、最後に「東進」で落とす。最初に聞いたとき、普通に歌詞が繰り返されるのかと思いきや急に違うことに気付かされる、この落差でめっちゃ笑いました。ここ、たぶん最初が「Z会」ではダメだし、最後も「駿台」「河合塾」などでもダメだったと思います。そういう意味で言葉選びが秀逸。
まとめ
まあこんな感じで脚韻頭韻は使いこなせれば歌詞改変の面白さは倍増するんじゃないかと思います。同時にそれは「発想法」でもあると思います。「自由に思いつけ」と言われても思いつかないけど、多少制限が課せられている下では思いつける。是非脚韻と頭韻を一考してみてください。
全然関係ないんですけど、昨日僕の処女作の8周年でした。あっという間だね。
ということで記念に動画を投稿しました。5時間で作りました。みてね