春のお祝いごとに「カフェ・ステーキ」[第38回]

春の訪れに心躍るバダサオリさんが今回紹介するのは「カフェ・ステーキ」。リスボンのカフェで出されたのが評判だったことが名前の由来になっているこのステーキ。自宅でステーキなんてそんなのムリ!なんて決め付けないで、シンプルな手順であっという間にできるこの料理をぜひおためしください!

みなさんこんにちは。

3月も残すはあと数日、
東京はすっかり春めいてきましたね。

数日前に上野で見た桜の様子は、
どのつぼみも見るからに柔らかそうに膨らんで準備万端。
陽当たりの良い場所にあるつぼみなどはもう開く気まんまんで、
前のめりに咲こうとしている気配すら感じました。

知らない人と、知らない場所で、知らなかったことを始める春。
新しい何かがゆっくり動き出していくような、
外に向かって閉じたものが開き始める空気に満ちています。

具体的に何かがあるわけじゃなくてもいい。
まわりで起こり出す目に見えない胎動のような大きなうねりに、
自分もついでに巻きこまれていく感じで
ちょっとだけ気分を外向きにできれば、
それは自分自身の春の訪れです。

なーんて。
だって私、4月から何か具体的に新しいことが始まるわけじゃないから、
せめて春のスタート感を
自分の中にも認めたかったんです。
私にも、春が来てるぞ!って感じで。

そうそう、
自分自身のリニューアル事項はとくにないけれど、
まわりの人をお祝いする機会はあります。
友人の祝い事、
家族の祝い事。
さて、何を食べて祝おうかな。

春の祝いにふさわしく、
ここはステーキなんてどうでしょう。

ちょっと珍しい、ポルトガルのステーキをご紹介。
「カフェ・ステーキ」
「ビフ・ア・カフェBife a cafe」
という名前です。

なんでカフェ?
どこのカフェ?
ステーキでカフェ?

ポルトガル料理の文献に寄ると
昔々社交界で有名だったカフェがリスボンにあり、
そこで出されたステーキが評判だったことが名前の由縁だとか。
ポイントはソース。
もともとのソースは、生クリームやこしょう、マスタードがたっぷり使われていて
濃いめのソースだったようです。

今回は手近な材料で簡単にアレンジして
粒マスタードの酸味をきかせたものにしました。
このソース、とくに赤身肉と相性良し。
ポルトガルのレシピにも、
もものランプ肉を使うことと書いてあります。
つまり、このソースは霜振り肉よりも赤身のお肉に合うということ。
値段も控え目になるから、
親近感が湧いてきます。

サイドには、
春が旬のスナップエンドウと
フライドポテトをたっぷり。

えーっ、ステーキ焼くの!
勇気あるなあ。
料理に少しでも詳しい方なら、
きっとそう思われるかもしれません。
肉を焼くって、知れば知るほど難しいんですよね。
でも家庭料理に考え過ぎは禁物。
失敗しても食べちゃえばいいんだし、
もし心配なら肉を多めに買っておけば大丈夫。
だって今回扱う肉は、
普通のスーパーで売っている
100g280円のオージービーフ。
280円なら失敗しても軽傷ですみます。
手や膝をちょいちょい擦りむきながら、
自転車にうまく乗れるようになる感じです。

スーパーのステーキ肉はたいてい厚さが1㎝程度と薄いので
焼く前の段取りが命です。
材料は必ず事前に全部スタンバイさせて、
のせる皿も焼く前に並べておくこと。
何度か焼くときっと得意料理になりますよ。
なにしろ焼くだけですから。

それでは「カフェ・ステーキ」
作っていきましょう。

材料はこちらです。

材料(1人分)
・牛肉(ランプ) 100g
・スナップエンドウ 7~8本
・バター 大さじ1強(15g)
・粒マスタード 小さじ2
・牛乳 大さじ2
・レモン汁 大さじ1
・塩、こしょう 油、冷凍フライドポテト 各適宜

ステーキは肉選びが極めて重要。
先程も触れましたが、
このステーキソースには、
サーロインなどのさしの入ったものよりも、
赤身のもも肉、とくにランプがおすすめです。
ランプは、もものあたりではきめ細かくてやわらかく、
味が良いと言われている部位です。

ではレシピに入っていきましょう。
初めにつけ合わせのフライドポテトを準備します。
ステーキで忙しいので、
今回は冷凍のものをオーブンやトースターに入れて焼きます。
カリッと焼き上がったら塩こしょうを絡めます。
ドライのハーブミックスを振りかけると、
ちょっと香りのあるポテトになります。
もちろん、手作りしたい方はお好みで揚げて下さい。

スーパーのステーキ肉はたいてい1㎝程度と薄切りなので
室温に戻す必要はありません。
焼く直前まで冷蔵庫に入れておきます。

肉をのせるお皿は温めておきたいです。
熱湯に浸けておく(肉を焼きはじめる前には水気を拭いて必ず脇にスタンバイ)、
レンジでチンするなど、
好みの方法で準備しましょう。

スナップエンドウ(7~8本)はさやを取り、
レモンは切って果汁を大さじ1(1/4~1/2個分)絞って小皿に移しておきます。
肉を焼きだしたら、計っている暇はありません。

スナップエンドウはラップでくるみ、
電子レンジ(600W)で30秒加熱し、そのまましばらく置いて蒸らします。

その間に、
バター(大さじ1強)牛乳(大さじ2)粒マスタード(小さじ2)レモン汁(大さじ1)を準備してフライパン脇にスタンバイ。
塩こしょうも手元に用意します。

鉄のフライパンを熱したら油(サラダまたはオリーブオイル)を薄く引き、
まずスナップエンドウを炒めます。
フライパンに並べ入れ、

香ばしく色づいたら返し、
塩を振ってさっと炒め取り出します。

そしていよいよ肉の出番。
冷蔵庫から肉を出し、焼く直前に表面に塩を振ります。

強火でがっちり熱したフライパンに油を少し足し、肉を置いて焼きます。

フライパンの油が焦げないように、
肉を揺すって動かしながら香ばしい焼き色を付けます。
目安は30~40秒ぐらい。
焼き色を確認したらひっくり返して

すぐ火からはずします。

すかさず肉の脇にバターを投入し、

予熱でバターが溶け出したらフライパンを揺らしてバターを肉に絡め、

さらにフライパンを火に戻して弱火にかけ、
溶けて泡立ったバターをスプーンですくって肉にまわしかけながら、
バターの風味を肉にしっかり絡ませます
(ひとりではスプーンですくっている様子は撮れませんでした)。

最後にこしょうをたっぷりと挽いて肉を取り出し、温めた皿にのせます。
肉を火にかけてからここまでで2分ぐらいが目安。
あまり時間をかけ過ぎると、
中まで火が入ってどんどん肉が固くなってしまうので注意です。

間髪入れずにソースも作ります。

フライパンに残ったバターに
牛乳と粒マスタードを加えて弱火にかけ、

しっかり溶かしたら、
最後にレモン汁を加えてひと煮立ちさせ、
火を止めてソースも完成。
ソースに時間がかかって肉が冷めてしまったときは、
肉をソースの入ったフライパンに戻し、
揺すって肉を少し温めてから皿に盛ります。

ソースを肉にたっぷりとかけて完成!

スナップエンドウを添え、ポテトもたっぷりと。
このステーキソースは、ポテトにもよく合います。

中はレア、外は香ばしくが理想的ですが、
上手くいきましたか?
私もステーキは毎回緊張しますが、
ワインさえ飲んじゃえば、ま、関係ない!
ソースも助けてくれるから、少々の失敗なんて平気!

乾杯しながら、
上手く焼けたとか、もうちょっとこうしようとか、
そんな焼き加減の感想もおいしいおつまみにして、
仲間や家族と楽しく食べたいですね。

春の祝いのテーブルに、
「カフェ・ステーキ」をぜひどうぞ!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    agyrtria 気軽でいいね。にしても、誰か撮ってあげなよw 6年弱前 replyretweetfavorite