みなさんこんにちは。
毎日とんでもなく寒いですね。
さすがは2月。
先週の土曜日は、
東京も思わぬ大雪に見舞われましたが
あの日はみなさん、どう過ごしましたか?
雪のせいで一日中家にこもっていたという人も、きっと多いはず。
私はと言いますと、
家にお客さまを呼んでポルトガル料理をふるまっておりました。
雪降ってるし、みんな「雪の中出るの、面倒だなあ」と思ってるだろうし、
中止にするのが大人の賢い選択かなあと迷ったのですが、
前日からの仕込み素材もあったので、
半ば強制的に会を決行(強引ですみません)。
雪の中集まって下さった方々(ほんとうにすみません)は、
当然みんな雪まみれ(ほんとうに申し訳ない)で到着。
でも、あったかいメニュー中心で徐々に体も温まり(そのはず)、
用意したワインも思わぬ雪見酒で一層おいしくなり(なったはず)、
結果的にはめでたしめでたし! でした(だったはず!)。
雪が降っても降らなくても、
つい家にこもりがちになるこの時期、
やっぱり食べたくなるのは温かいものですよね。
家にこもっている時間を有効に使って、
驚くほどシンプルかつ簡単にできる
寒い2月におすすめのメニューがあります。
それは、私の好きなポルトガルの「鶏スープ」
「Canja(カンジャ)」です。
まるっと鶏1羽を煮込むだけという、
これ以上ないぐらい簡素なスープ。
調味料は塩だけで、香味野菜すら入れません。
あんまり簡単なので、
ポルトガルには「エ・カンジャ(カンジャぐらい簡単だ=朝飯前だ)」
という表現があるほどです。
でも、同じように鶏1羽を日本で買うとなるとこれまた高い。
ちっとも経済的なスープじゃなくなります。
日本で作るなら、
値段も手頃でコラーゲンもたっぷりの手羽先がおすすめです。
それから、ポルトガルではこの鶏スープには
必ず茹でた粒パスタを入れるのですが、
日本で作るならパスタよりも、やっぱりごはんでしょう!
それもねばりの少ない冷ごはんがいい。
麦などを入れて炊いたものだと、
パラパラ感がよりこのスープに合います。
「カンジャ」は材料も作り方も今までご紹介してきた中で最もシンプル。
そして、誰が作っても“朝飯前”級の簡単さです。
では、注目の材料はこちら。
材料は1人分です(メイン料理のサイドスープとして楽しむなら2人分)。
・鶏手羽先 5本
・水600㏄
・冷ごはん(冷凍ごはん) 1膳分
・塩 小さじ1
・こしょう 適宜
このスープは手羽先の下ごしらえが肝心です。
ざるなどに手羽先(5本)を並べ、
上からたっぷりのお湯をざっと回しかけ、冷たい水でよく洗います。
裏側もお忘れなく。
こうして熱湯で表面の汚れや余分な脂などを落とせば
煮込んだときのあくの量が減りますし、
香味野菜なしでもくさみが出ません。
この手羽先を鍋に入れ、水(600cc)を加えます。
最初はふたをして強火にかけ、
5分ほどしてお湯が煮立ったらごく弱火に落としてあくを取り、
塩(小さじ1)を加えてフタを少しずらして(吹きこぼれ予防のため)煮ます。
煮る時間は約1時間。
タイマーをセットしておけば、
あとはほったらかしで大丈夫。
ときどきあくを取って、鶏肉が顔を出したら水少々を加えてあげましょう。
煮る時間が20~30分しかない場合は、
スープの味が少しあっさりなので、
顆粒の鶏ガラスープ小さじ1~2ほど加えて濃度を調整します。
1時間煮たらスープは完成。
でも、だしを取った手羽先をふっくらおいしく食べるなら、
火を消してふたをし、さらに30分ほどほったらかします。
こうして手羽先をスープに浸しておくと、
スープに溶けだしたコラーゲンが肉に戻り
ふっくらやわらかい食感になります
(NHKの「ためしてガッテン」で学びました)。
その間に冷ごはんを準備。
冷凍ごはんなら解凍しておきます。
手羽先を取りだし、スープの味を見て塩で調え、
ごはんを加えてひと煮立ちさせます。
ごはんをほぐして温めたら器に盛り、
好みで黒胡椒をかけていただきます。
ふっくら茹でた手羽先も忘れずに添えましょう。
手羽はほろっと崩れるやわらかさ。
肉をほぐしてスープに入れて、一緒に食べてもいいですね。
レモンや刻んだ香菜もアクセントに合います。
もちろん、かぼすやすだちなどの和系柑橘類や
香菜の代わりに万能ネギなどもいいですね。
それにしてもこのスープ、和の素材を加えると
限りなく水炊きの締めの雑炊にそっくり。
こうなってくるとやはり、
博多の郷土料理・鶏の水炊きは、
南蛮の宣教師が伝えた
ポルトガルの鶏の「コジード(Frango cozido)」の名残だという説が、
揺るぎない事実に思えて仕方ありません。
おもしろすぎます、南蛮料理!
ちなみに茹でた手羽先は、
塩こしょうを軽く振って油で表面をカリッと焼くのも
香ばしくておすすめです。
手羽先のだしがたっぷりの「カンジャ」で、
ぜひ温かい週末をお過ごしください!