みんなで作るのも楽しい「ポルトガル風えびクリームコロッケ」[第30回]

ぐっと気温が低くなり、肌を刺すような北風に肩をすぼめるようになってきた今日このごろ。こんな季節だからこそ食べたくなる料理があります。そのひとつがホワイトソース料理。グラタンやクリームシチューなど、定番と呼ばれるものは数ありますが、バダサオリさんのレシピはひと味違います! 今回はこの季節にピッタリの、外はサクサク、中はホクホク「ポルトガル風えびクリームコロッケ」をご紹介します!

みなさんこんにちは。

いよいよ本格的に寒くなってきましたね。
手持ちのコートは全部出したし、
テレビを見ると北の方では雪も降ってるし、
そうか、もう冬って本格的に始まってたのか、と思って暦を調べたら、
2週間近く前にとっくに立冬を過ぎていました……。
知らなかったのって私だけ、かな。

そして今は小雪(こゆきじゃなくて、しょうせつ)だそう。
雪もちらつく寒さ、
という感じらしい。
字面からして、もうすっかり冬だったんですね。

立冬は中国で考案された二十四季節が元になっていますが、
中国と日本の気候的な違いや地理的な差もあるから、
いつも暦通りに季節を感じるわけではないけれど、
それにしても
冬を実感し始めるタイミングって、
年を追うごとに遅くなっている気がします。

暦ではなく、
肌で感じる本格的な冬が始まったとなると、
やっぱりあったかいものでぽかぽかになりたい気分。
チーズふつふつのグラタンやほかほかのクリームシチューなど、
ホワイトソースものも恋しくなってきますね。

そんな寒い冬のぽかぽかおつまみに断然おすすめなのが
ポルトガルの定番スナック「Rissois(リッソイシュ)」

肉や魚介系のホワイトソースを半月型の生地で包んで
コロッケみたいにパン粉をつけて揚げたもの。
「ポルトガル風クリームコロッケ」といった感じかな。

コロッケと大きく違うのは、
ソースがカリッと揚がった皮に包まれている点。
ポルトガルでは、カフェや軽食屋に並んでいたり、
レストランの前菜などでも見かけます。
気軽で食べやすいサイズ感の、
お惣菜のような、おつまみのような、おやつのような存在。
ポルトガルでは皮から手作りすることが多いけど、
私はもっとラクして作りたいので
日本にある便利で手軽なアレを使います。

私がポルトガルで一番食べたRissoisはえび入りが多かったので、
今回はホワイトソースにえびをイン。
「ポルトガル風えびクリームコロッケ」を作ります。
えびが苦手な人は鶏肉などでもいいですね。

では早速!
材料はこちらです。

材料(作りやすい量)約15個分

  • 殻付きえび 7~8尾
  • 玉ねぎ 1/2個
  • 小麦粉 大さじ2
  • 牛乳 1/4カップ
  • レモン汁 大さじ1
  • バター 大さじ2
  • 餃子の皮 15枚
  • 卵 1個
  • 塩、こしょう、パン粉、揚げ油 各適宜


まずはえびから。
鍋にお湯を沸かして塩を加え、えび(7~8尾)を茹でます。
水1カップ塩大さじ1程度が目安。

2~3分でお湯から上げ、粗熱を取ったら殻をむきます。
殻つきえびは殻からもだしが出るので、
茹で汁も捨てずにとっておき、ホワイトソースに使います。

えびは、殻をむいたら背から厚みを半分に切って開き、
背ワタが残っていたら取り除きます。

写真では、切り開いた右の背部分に黒いすじが見えますが、
これが背ワタ、つまりえびの内臓のゴミです。
おいしくないし見栄えも悪いので、きれいに指で取りましょう。

掃除したえびの半量をみじん切りにし、
半量は1㎝角ぐらいに切って食感を残します。

次にソースを作ります。
鍋にバター(大さじ2)を入れて中弱火で温め、
みじん切りにした玉ねぎ(1/2個)を炒めます。
玉ねぎが透き通ってきたらみじん切りのえびと小麦粉(大さじ2)を加え、
一度火を止めます。

火にかける前にこの段階でソースの素をよく混ぜ、
小麦粉が全体にまんべんなく絡むようにします。
これでソースがダマになるのを防げますよ。
火を消すのは、あせらずに作業するためです。

全体にしっとりしたら、再び中弱火にかけ、炒めます。
さらにえびの茹で汁(1/4カップ)牛乳(1/4カップ)を加えてソースにします。

弱火で焦げないようにヘラで混ぜながら5分以上火にかけ、
粘度が上がってもたっとしてきたら残りのえびとレモン汁(大さじ1)を加え、
味をみて塩とこしょうで調えます。

大きめに切ったえびは、食感や風味をなるべく残すために最後に加えます。
レモン汁も風味が飛ばないように、やはり最後に加えます。
このレモン汁の酸味と香りが、
ぼんやりしがちなホワイトソースの良いアクセントになるんです。

これでえびクリームソースが完成。

このソースだけでも普通においしいです。
茹でたマカロニやごはんにかけたりして、
グラタンやドリアに仕上げてもいい感じ。

鶏肉で作る場合は、
胸やももなど好みの部位を小さめのひと口サイズに切って塩茹でし、
えび同様に鶏肉の煮汁を加えてソースにします。

ソースの粗熱を取ったら、
次は皮で包みます。

まず餃子の皮を置き、皮の縁半分に水をつけてしめらせます。
水は皮をつなげるのりの役割をします。
次にソースを皮の半分にのせます。
縁は閉じるので空けておきます。
半分に折って縁をしっかりくっつけ、半月型に仕上げます。

閉じ方は平たくまっすぐにくっつけるだけ。
餃子じゃないのでウネウネとひだを寄せる必要はありません。
単純に閉じるだけなので簡単です。
しっかり閉じていないと、揚げているときにソースが漏れて大変ですので、
一度包み終わっても縁が開いていないか確認し、
はがれていたらしっかりくっつけましょう。

そして揚げる準備です。
広めの鍋に揚げ油を高さ4~5㎝ほど入れ、温めます。

皿に溶き卵(1個)パン粉(適宜)をそれぞれ広げ、
半月に折ったものを溶き卵、パン粉の順にくぐらせます。

パン粉は全体にしっかりまぶし、
揚げる前に余分なパン粉を軽く落とします。
油が180℃(箸の先を入れて細かい泡が勢いよく出るくらい)に温まったら、
2~3個ずつ揚げていきます。
欲張って一度にいくつも揚げると、
油の温度が急激に下がって、べチャッとした仕上がりになってしまいますから注意。
揚がったらすぐざるなどに上げて油を切り、器に盛ります。

はい、できあがり!
揚げたてのあつあつを頬張るのも楽しいし、
冷めても結構いけるんです。
たくさん作って冷凍し、
食べるときに温め直してもいいですね。

人が集まるときは、
皮で包むところからイベント的に楽しめば、
なかなかに盛り上がるはず。
この包む作業が、結構性格が出るから面白いんです。
必ずヘンな形にする人、
不器用過ぎていつまでたっても包めない人、
ものすごく丁寧に、美しく仕上げる人、
しゃべってばっかりで結局作らない人、
真剣にハマり過ぎて、つい仕事みたいに集中しちゃう人。
見ていると面白いですよ。

揚げたてのあつあつを、
冷えたビールや、
冷えたポルトガルのヴィーニョヴェルデなどで
楽しんでください。

寒い日は、揚げ物パーティで盛り上がろう!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    コメント

    yotaropg とても美味しかった。家人にも好評。少しトロミ多めの方が包みやすいと思う。 6年以上前 replyretweetfavorite

    yotaropg 今晩のおかずはこれにしてみよう。 6年以上前 replyretweetfavorite

    y_kie (´-`).。oO( みなさん、帰って作りましょう! 絶対おいしいやつですよ!! 6年以上前 replyretweetfavorite