ビール飲み過ぎ注意! サクサク香ばしい「たらのかき揚げ」[第27回]

バダサオリさんのレシピ連載、今回はビールにぴったりの「たらのかき揚げ」です。ポルトガルではポピュラーな料理「バカリャウ」を元に、バダさんが日本人好みにアレンジしました。秘密の材料で、サクサク衣の「たらのかき揚げ」、ぜひビールと一緒にお楽しみください!

みなさんこんにちは。

すっかり秋ですね。
秋って妙にお腹が空きませんか?

夕方、黄金色に変わりつつある街路樹を見ていたら、
ふとカリッと香ばしい天ぷらが
食べたくなりました。

天ぷらは、ポルトガル人がもたらした南蛮の食文化の影響、
というお話は
第三回でもちょっと触れました。
そう、ポルトガルには魚や野菜の天ぷらがたくさんあります。

かき揚げだって、ほら。

これは「干しだらのかき揚げ」
「Pataniscas de bacalhau(パタニシュカシュ ドゥ バカリャウ)」
ポルトガルでは、とてもポピュラーな料理です。

水で戻してほぐした干しだらと玉ねぎ、イタリアンパセリのみじん切りを、
塩、こしょうで味をつけ、粉と卵で作ったころもで揚げます。
いわれてみればなんとなく
かき揚げっぽい形でしょう?

でもこのかき揚げ、
残念なことにポルトガルでは、
どこで食べてもほぼ間違いなくころもがモフッとしてる。
卵多めでふんわり気味のかき揚げが多いんです。
決しておいしくないわけではないんだけど、
でも私には、モフッとしている揚げ物の良さが
どうも分かりません。
揚げ物はカリッと揚げて欲しいんです。
なんでこんなにころもがやわらかいのだ?

ポルトガル人はモフッが好きなの?
カリッの良さを知らないだけなの?
ポルトガルを旅行中は、
モフッとしたかき揚げを食べるたびに
もっとカリッと揚げた方がおいしいのになあ、
誰かカリッと揚げてくれないかなあと
切に願っていました。

そんなある日、
ガリっと音がするくらい食感の良い
香ばしい干しだらのかき揚げを出すお店についに出会いました。
カリッとの支持者を見つけられたその嬉しさたるや!
早速お店の女性シェフに
カリッとしているかき揚げへの溢れる喜びを伝え、
なんでポルトガルの揚げ物ってころもがモフッとしているのかと聞きました。
「きっとみんな、モフッとしているのに慣れてるのよね」
「でもカリッとしている方がおいしいですよね?」
「そうよ、だから私はカリッとしたかき揚げを揚げてるの」
やっぱりポルトガルにもカリッとの良さが分かる人がいるんだ!
それだけですごく嬉しかったのです。

ま、実にたわいもない話ですよね。
ですが、ちょっと想像してみて下さい。
実際にあっちこっちでフワッとした揚げものばかりに直面すると、
日本人なら誰しも、
いつのまにか心の底からカリッとを求めるってもんです。
だって、立ち食いソバ屋さんの天ぷらですら、
ビシッとカリッと揚がってるじゃないですか!
きっと日本人のDNAに
揚げ物=カリッ
が刷りこまれているんじゃないかなあ。

というわけで今回ご紹介するのは
誰でもカリッと仕上がる「たらのかき揚げ」

日本では干しだらは滅多に見かけないので、
代わりに甘塩のたらを使います。
カリッとの秘密は、飲んでもおいしいアレを使います。
レシピをご覧くださいね。

材料はこちらです。

材料は2人分です。
・甘塩たら(生たらでも) 1切れ(100g)
・玉ねぎ 1/4個
・イタリアンパセリ10枝
・天ぷら粉 1/2カップ
・炭酸水(またはビール)80㏄
・塩、こしょう、揚げ油、レモン 各適宜

まずはたら(1切れ、100g)から。
両面に軽く塩を振って30分以上冷蔵庫に寝かせ、
余分な水気をペーパーで拭きます。
甘塩たらならある程度塩がきいているので軽くで大丈夫ですが、
生のたらは塩をしっかり振りましょう。
ペーパーでくるんだまま、ひと晩寝かせても大丈夫。
たらの身を締めるのが狙いです。

余分な水気を拭いたら
レンジ(600W)で30秒ラップをかけずに加熱し、
冷めたら皮と骨を除き身を細かくほぐして
レモン汁少々を振ります(臭み消しのため。なければ牛乳少々でもOK)。

玉ねぎ(1/4個)イタリアンパセリ(10枚)はみじん切りにします。

ここまでが下準備。

次にボウルに天ぷら粉(1/2カップ)を入れ、
炭酸水やビール(80g)を入れてよく混ぜます。
カリッとの決め手はこの炭酸水やビールの泡。
冷めても香ばしい食感が続く簡単なコツです。

ビールを使う人は、
この先残ったビール片手に料理を進めましょう。
私もここでひと口、ゴクリ。
うんまい!

そして、たらの身、玉ねぎ、イタリアンパセリを入れ、
好みでこしょうを加えて混ぜます。

いよいよ揚げていきます。
かき揚げといっても、
天ぷら屋さんのように立派な厚みを持たせる必要はありません。
むしろ薄く仕上げたい。
その方がカリッと揚がります。

フライパンに2㎝を目安に油を入れ、
170℃(箸の先を入れて細かい泡がシュワシュワ出るくらい)ぐらいに温め、
たねを落として揚げていきます。

慣れない場合はヘラなどにのせて、
滑らせるように入れるとスムーズだと思います。

一度に揚げるのは2~3個まで。
急にいくつも揚げ油に落とすと、
油の温度が一気に下がってころもがべちゃっとする原因になります。

たねを落としたら固まるまで30秒はいじらずガマン。
1~2分で色付いたらひっくり返し、
箸でつまんでジューッと中から揚がっている振動を感じたら完成です。
ざるなどにあげ、
しっかり油を切ってから器に盛りつけます。

すでにたらの塩味があるのでそのままでも十分いけますが、
イタリアンパセリの爽やかさを引き立てる
レモンを絞ってもいいですね。

ちなみに、イタリアンパセリの代わりに1㎝幅に切った長ねぎや
ざく切りの万能ねぎを使うと、
ぐっと和風のかきあげになってこれもおすすめ。
すだちを絞って、七味唐辛子や粉山椒を添えてどうぞ!

たらの身が余ったら、
じゃがいもと合わせて以前ご紹介した「タラのコロッケ」も簡単。
こちらもオススメです!

揚げたてのあつあつかき揚げにはやっぱり冷たいビールがぴったり。
揚げているうちに1本飲んじゃうから、
もう1本冷やしておくことを忘れずに!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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    saoribada “@lubudat: ”飲み過ぎちゃいますよね! 5年以上前 replyretweetfavorite