日本の鶏めしの元祖? 手羽先ごと炊き込む「鶏ごはん」[第25回]

9月に入って暑さも一段落。となると、これからやってくるのは食欲の秋。今回はそんな季節にぴったりなレシピをご紹介します。焼いた鶏肉と一緒に炊き込む、ポルトガルでは定番の「鶏ごはん」です。実はこの料理、日本の鶏めしのルーツにもなっていたなんて説もあるとか。お酒にもぴったりな鶏ごはん、ぜひおためしください!

みなさんこんにちは。

9月に入って2週間、日々夏が去っていきますね。
素足にサンダルはそろそろおしまい、
さびしいなー。
また来年、また夏に会おうね、夏。

そしてそして、夏が去って秋が来ると楽しみなものなーんだ。
日本人ならなにはなくともの、のアレです。

そう、新米!
秋はごはんメニューが楽しい季節ですよね。

私の好きなポルトガルでも、
ごはんメニューは大得意です。
なにしろ、ヨーロッパで米の消費の1、2位を
リゾット文化のあるイタリアと争うほどです。

ポルトガルのレストランでメニューを開くと、
・肉
・魚
とあって、その次はたいてい
・米
です。

しかもまた、ごはんもののメニューバリエが豊富。
スープ多めのおじや風、しっとり炊き込み風、おこげパリッとオーブン焼きなど
仕上がりも食感もいろいろ。
「ちょっとちょっと、君達お米のこと良く分かっているじゃない!」と、
お米の国の民ならだれしも、
ポルトガルの米メニューを見ると突っ込みを入れたくなるのです。

振りかえると今までにも、
第11回で「たこごはん」を、
第13回で「菜の花とソーセージの炊き込みごはん」を、
第17回で「ぶたとあさりトマトごはん」を紹介してきましたが、
今回はポルトガルのおふくろの味、
現地お惣菜コーナーやデリショップでも超定番のメニュー
「鶏ごはん」を紹介します。

ポルトガル語で「鶏ごはん」は「Arroz de Frango(アローシュ・ドゥ・フランゴ)」
レストランでも見かけるし、家庭でも作るし、
アルミトレーに山盛り詰められてパッキングされ、
ひとり暮らしの人や忙しいお母さん達のお助けデリとしても
大活躍しています。
ぶつ切りの若鶏に、にんじんや玉ねぎ、グリーンピースなどを入れ、
思いっきり炊き込みごはん風に仕上がっています。
ちなみに、ポルトガルの人の主食はパン。
だから米は野菜寄りの存在で、
結構おかずのイメージに近いみたいです。
でもこれを食べると、
おなかいっぱいでパンはいらないんじゃないかと思うんだけど。

ちなみに、鶏ごはんって日本でもよく作られますよね。
この鶏ごはん、
実はポルトガルから伝わった可能性があるってご存知でしたか?
南蛮文化が伝わってきた16世紀の大航海時代に、
ポルトガル人がもたらした肉食習慣の形のひとつでは、
と言われているのです。

当時の文献に残るポルトガル宣教師達が作った料理を見ても、
鶏や牛などの肉とごはんを一緒に炊いて
教会で信者に振る舞ったなどの記述があり、
それまで肉食文化がほとんどなかった日本の一般庶民に
食べさせるきっかけになった模様。
そう考えると、鶏ごはんそのものの歴史もなかなか面白いですよね。
さらには博多の水炊きなども、
鶏を煮込んで食べるポルトガル料理の名残では、と読む人もいるのです。
わたしもそのひとり。

では早速作りましょう。
「鶏ごはん」の材料はこちら。

材料は2人分です。

  • 米 1と1/2カップ
  • 鶏手羽先 4~5本
  • ブロックベーコン(なければスライスでも)100g
  • 玉ねぎ 1/2個
  • にんじん1/2本
  • お湯 400㏄
  • ブイヨンキューブ 1個(4g)
  • にんにく 1片
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 白ワイン(あれば)大さじ2
  • ローレル 1枚
  • 塩、粗挽き黒こしょう 各適宜


鶏はあればぶつ切りを使いたいところですが、
日本のスーパーではそれほど見かけないので代わりに鶏手羽を使います。
胸肉などでもいいのですが、
骨付きの方がいいだしが出るのでおすすめ。

はじめに鶏の手羽先(4~5本)の両面に塩(適宜)を振り、
10分以上置いて味をなじませます。

その間にベーコン(100g)は1㎝角、玉ねぎ(1/2)とにんじん(1/2)はみじん切り、
にんにく(1片)は皮をむいて包丁の腹などでつぶします。
にんにくが大好きな方は、
みじん切りで加えてもいいと思います。

フライパンにオリーブオイル(大さじ1)とにんにくを入れて弱火で熱し、
香りが立ってきたらこしょうを振った鶏手羽を皮を下にして並べ、
火加減強めで焼きます。
焼き加減は好みですが目安は5~6分、
にんにくは焦げそうになったら取り出します。

皮目がこんがり焼けたら返して1~2分でOK。
あとでごはんと一緒に炊くので、
中までばっちり火がとおっていなくても大丈夫です。

鶏手羽とにんにくを取りだしたら、
ベーコンを1~2分ほど中火でこんがり焼き、

にんじんと玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めます。
さらに、コクと風味づけの白ワイン(大さじ2)、
洗っておいたお米(1と1/2カップ)、ローレル(1枚)を加えてさっと炒めます。

その間にお湯(400㏄)にブイヨンキューブ(1個もしくは4g)を溶かし、スープを作ります。溶け残りがあると味に偏りが出るので、キューブは細かく砕きよく溶かします。

米が透きとおってきたら、スープを加えます。

上に先ほど焼いた鶏手羽を乗せ、フタをします。
中火で5分、弱火にして8~10分煮て火を止め、5分蒸らします。
米を食べてみて、硬めであればもう少し蒸らして調整しましょう。

炊き上がりはこんな感じ。
このまま食卓に置いて、皿に取り分けてもいいですね。

ちなみに、ポルトガルの食堂などで良く見る
“どっちゃり盛り”はこちら。

皿からはみ出しそうな感じで、
モリっと山盛りにします。
美しさは必要ありませんが、迫力は欲しいですね。
もっとごはんが皿からこぼれているのが本来の正しい姿ですが、
やっぱりお米はこぼしたくないです。
私のできるぎりぎりの“どっちゃり盛り”です。

そして今回は、
歴史的なつながりのある「鶏ごはん」にあえて合わせたいワインあり。
なによりもこのワイン、ラベルがニクイ!
よく見てください。

「ヴァスコ・ダ・ガマ」です。
何した人かですって!?
大航海時代、ヨーロッパからのインド航路を発見したポルトガルの航海士です。
ほら、昔教科書で聞いた覚えがありますよね。

ワイン自体は、きりっと辛口のヴィーニョヴェルデ(緑のワイン)。

微発泡のショワショワ感やほどよい酸味が、
鶏ごはんにピッタリです。

このワインはこちらで買えます。
『播磨屋』
お値段は1000円を切るカジュアル価格。
なんか御利益がありそうに感じるのは私だけでしょうか。
歴史好きには結構受けると思います、ぜひ。

次回も、ごはんシリーズでいこうかな。
いやまてよ、
秋はおいしいものがいろいろあるからなー。
ガマ飲んで、あれこれ考えます!

そして、なんと明日ですが
ポルトガルワインのイベントを開催します!

Festival de vinhos de Portugal Vol.2 
第2回ポルトガルワインフェス

日時/2013.9.14(土) 14:00~17:00(受付終了16:30)
場所/アーツ千代田3331 1Fラウンジ http://www.3331.jp/
住所/東京都千代田区外神田6丁目11-14
銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分
入場料/予約3000円 当日4000円 ポルトガルのおつまみ+スイーツチケット500円
(購入予定の方は予約の際におつまみチケット希望とお書き添えください)
予約/ポルトガルワインフェス事務局 vinhofes@gmail.com(担当:馬田)
E_meilでの受付となります。

主催/ポルトガルワインフェス事務局
協賛(敬称略)/『木下インターナショナル株式会社』『播磨屋』『メルカード・ポルトガル』『ポルトガルワインの崖の上』『アデカ』
後援/ポルトガル大使館 ポルトガル投資貿易振興庁 社団法人日本ポルトガル協会
★ポルトガル各地のワインを試飲(約30種を予定)、購入できます(なるべく細かい現金をご用意ください)。
★ポルトガルのおつまみやお菓子もご用意があります(有料チケット制)。
★スペシャルワインのグラス有料試飲があります。
★馬場祐治氏(ソムリエ。1998年ポートワイン ソムリエコンテスト優勝)と馬田草織(編集者・ライター。『ようこそポルトガル食堂へ』著者)によるポルトガルワイントークを開催予定(14:15~と15:15~の2回、各15分程度)。

ご興味があれば、ぜひメールでお申し込み下さい!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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