最強のつまみ?! 干物を使ったポルトガル風ポテトサラダ[第22回]

毎日の暑さに加えてゲリラ豪雨まで参戦してきた日本の空模様。外出がおっくうで、しかたなしに家で晩酌している方も多いのでは? 今回ご紹介するのは、最強のつまみと名高い「干物」を使った一品です。干物はポルトガルでは立派なワインのつまみとして愛されているもので、そんな万能食材をバダさんがポテトサラダ風にアレンジ。魚のうま味と特製ソースの辛みなどが絡み合って、ビールにもワインにも合いますよ。いつものつまみに飽きてきたな~という方、ワインと干物?と怪訝に思った方、これを機に干物料理にチャレンジしてみては?

みなさんこんにちは。

毎日あっついですねー。
こうも暑いと、
お腹は空いているけど、はて自分はいま、
なにを食べたいのかよくわからない、
ということがしばしばあります。
いつも冷たい麺ばっかりだと飽きるし、
かといってドンと重いものを作る気にもなれない。
でもビールやワインは必ず飲むから、なんかつまむものは欲しい。
枝豆やとうもろこしや冷ややっこもいいけれど、
もうちょっとなんかないかなー。
スーパーマーケットをぐるぐる回りながら、
はたまた家の冷蔵庫に首を突っ込みながら、
そう考えることが多くなります。

そんなときに重宝するのが干物。
昔ながらの最強つまみです。
とくに真夏はちょっと塩気の強いものが食べたいから、ぴったり。
それに扱いがまた簡単です。
なにしろ焼くだけ。
魚焼きグリルでも、焼き網でも、のっけて焼けば完成。
そしてちゃんとおいしい。
安い干物でもそれなりにおいしい。
塩と天日(じゃないこともままありますが)だけで
魚がこんなにおいしくなるなんて、
人間の知恵と自然の力のコラボだねえ、と
食べるたびにしみじみ思います。

つい最近、伊豆で週末を過ごしたのですが、
宿で食べた地元自慢の鯵の干物は
立派な料理級のおいしさでした。
地元では金目鯛の干物も推しているようでしたが、
私はやっぱり鯵推しだなあ。

あ、でもおいしい金目鯛にも出会いましたよ。
帰りがけに伊豆高原駅で買った『とろ金目の塩焼き弁当 』 (¥1000)。
脂の乗ったいい塩梅の金目鯛の大きな切り身が
風味の良いのりを散らした白飯の上にドン、とのっていて
味もビジュアルもインパクト大でした。
金目鯛のうまみたっぷりの脂がお米にじんわりしみ出ていて、
ふたを開けたら白飯がなくなるまで、
ひたすらもくもくと食べ続けてしまいました。

話を干物に戻します。
干物は白いご飯との相性は言うまでもなく、
日本酒にも、ワインにだって合います。

えーっ、ワインと干物? とけげんな顔をされたあなた、
そんなの単なる固定観念ですって。
だってポルトガルでは、干物はりっぱなワインのつまみですよ。
大西洋に面したナザレという海岸では、
まるで熱海や伊東のように大きな網をいくつも立てかけ、
開いた魚を並べて干しているんです。
町の市場に並んでいたナザレの鯵の干物は、こんな感じ。

日本と違うのは、頭を開かずに干すってことぐらいかな。

ちなみに現地では、
干物は焼いて食べることがほとんどないと聞きました。
一般的な食べ方は、
そのままをちぎって食べたり、
サラダに加えてオイルとビネガーで和えたりするそう。
私が「焼いてもおいしいよ」と言うと、
レストランのおじさんは「へえー」と面白そうな感じでうなずいていました。
おじさん、焼いてみたかなあ。

鯵の干物をワインのつまみにするなら、
そのままではやはりちょっと食べにくい。
そこで今回は、
ポルトガルで魚のグリルを食べているときのお皿をイメージしながら、
干物を使ってポテトサラダ風に仕立てました。
名付けて「ポルトガルポテサラ」

ポルトガルには同じものはありません。
いや、もしかしたら探せば誰か作っているかもしれませんが、
その辺のポルトガル人に
「ポルトガルポテサラって知ってる?」と聞いても答えは「は?」です。

でも、ポルトガルで魚のグリルを食べると、
結局お皿の上がこんな感じになっていることが
よくあるんです。
焼き魚のつけ合わせはたいていゆでたじゃがいも。
そして、刻んだイタリアンパセリや玉ねぎが入った緑のソース(molho verde)
が添えられます。

上の写真みたいな、こんな感じ。
魚の身をほぐして、じゃがいもといっしょに緑のソースを絡めて食べれば、
お口の中でポテサラ完成、というわけ。
この緑のソースのおかげで、
焼き魚もワインによく合うんです。

では、「ポルトガルポテサラ」作っていきましょう。
材料はこちら。

材料は2人分です。

・鯵の干物 1枚
・じゃがいも 1個
緑のソース
・たまねぎ 1/4個
・にんにく(すりおろし) 1/2片
・イタリアンパセリ 4~5枝
・青唐辛子(生)2~3本
・オリーブオイル 大さじ3
・白ワインビネガー 大さじ2
・塩 適宜

鰺(1枚)は 普通に焼きます。
冷凍干物を焼くときは、表面が乾いていることがあるので
お酒少々をまぶして焼くとふっくらしますよ。

焼いている間に緑のソースを準備します。
イタリアンパセリ(4~5枝 ) 、たまねぎ(1/4個)、生の青唐辛子(2~3本)を
できるだけ細かく刻んでボウルに入れ、

すりおろしにんにく(1/2片)、ワインビネガー(大さじ2)、オリーブオイル(大さじ3)、塩(適宜)を加え、よく混ぜて完成。
辛さが足りない人は青唐辛子を増やしてみてください。
生の青唐辛子は夏になると比較的手に入りやすくなりますが、
なければハラペーニョソース(タバスコの瓶の緑の方など)でも大丈夫です。
よく混ぜて、少し置いて全体が馴染んだら完成。

じゃがいも(1個)は 皮をむいてひと口大に切り、
小鍋に入れてかぶるくらいの水と塩少々を入れて中火でゆでます。
竹串などで刺して中まで火がとおったら残りの水を捨て、
鍋で転がしながら粉吹き芋にして完成。

普通にゆでてもいいのですが、
粉吹き芋の方がソースが絡みやすいのでおすすめです。

そういえば、小学校の調理実習で
粉吹き芋作ったなあ……。

こんがり焼き上がった鯵は

骨や皮をはずし、身を取り出します。

ゆであがったじゃがいもと鯵をボウルに入れて軽く混ぜ、

そこへ緑のソースを加えてさらに混ぜます。
じゃがいもが熱いうちにソースを混ぜるのもポイント。
より味がしみ込みやすくなります。

混ぜ加減はお好みで。
しっかり混ぜるほど、
じゃがいもの表面が崩れて鯵や緑のソースが絡みます。
器に盛って、レモンを添えてできあがり。

鯵のうま味と緑のソースの酸味や辛みに、
レモンの爽やかな香りなどが重なって、
ビールにもワインにもよく合います。
鯵のうま味があるから、冷えた日本酒でもいいかも。

私が今回合わせたのは
ポルトガルの緑のワイン、ヴィーニョヴェルデの
「トーレ・デ・メナージェン」

アルバリーニョという高級品種を95%使用し、
香り、酸味、果実味がふくよかなのが最大の特徴。
ポルトガルのワイン専門誌でも評価の高いヴィーニョヴェルデで、
香りの余韻も長く楽しめます。

「ポルトガルポテサラ」はもちろん、
魚や鶏肉のグリル、カルパッチョやマリネ系の軽めの料理にもよく合います。
お値段も1000円ちょっとかなりカジュアルで買いやすい。
このワインはこちらからどうぞ。
「メルカードポルトガル」

さて、次回はどんな料理にしようかな。
ポテサラつまんで、ワイン飲みながら考えよっと。

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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