みなさんこんにちは!
東京では3月後半にもなると、
春がやってきたことを
日々実感できますね。
朝、一歩外に出ると
空気が前日より暖かくなっていたり、
桜もあちこちで咲きだして、
風も気持ちいい。
暖かいとなんだか心も軽くなってくるから、
どんどん動きたくなる。
だから……
春はお腹もすくんですよね。
こんなときは、
旬の野菜と肉をがっつりと楽しめる料理なんか、いいなあ。
できればシンプルで簡単なのがいい。
そんな方に、こちらなどいかがでしょうか。
野菜&肉を満喫できるひと皿
「豚のスパイスロースト+菜花のオイル蒸し」です。
はい、たっぷりどうぞ。
これはポルトガル北部の「Rojoes(ロジョンイシュ)」という肉料理を
簡単レシピにアレンジしたもの。
現地では、たとえばこんな感じで出てきます、
お皿一面どこをつついても豚肉ばっかり。
豚のいろんな部位をにんにくやクミン、パプリカ、
北部名産の微発泡ワイン・ヴィーニョヴェルデなどでマリネし、
アリェイラ(鶏を使った腸詰)や
ショリッソ・デ・サング(豚の血の腸詰)
などを加えてラードで揚げ炒めたもの。
地域によってバリエーションがありますが、
豚肉だらけの料理であることだけは共通します。
端の緑のつけ合わせは、
ナボーラというかぶの葉をにんにくで炒め蒸したもので、
豚肉攻めのひと皿には欠かせない、
緑のオアシスのような存在です。
では、早速作っていきましょう。
材料はこちらです。
2~3人分
・豚肩ロースブロック(またはバラブロックと半々で合わせても)400g
・にんにく(すりおろす) 1片
・菜の花 1/2束
・オリーブオイル 大さじ1
・塩、こしょう 各適宜
・パプリカパウダー、クミンパウダー 各小さじ2
・白ワイン 大さじ2
ソーセージが写っていますが、
今回は豚肉だけで仕上げています。
お好みで入れて下さい。
豚肉は塊(ブロック)で買って3㎝角のひと口大に切ります。
うま味の濃い肩ロースや
脂のおいしいバラなどの部位が向きますが、
この味わいの違う2種を混ぜると、
より深みが出るのでおすすめです。
豚肉をひと口大に切ってボウルに入れたら、
パプリカパウダー、クミンパウダー、すりおろしたにんにく、塩、こしょう、白ワイン(ポルトガルでは白ワインにヴィーニョヴェルデという微発泡のワインを使うことが多い)を加えてよく和えます。
ちなみに、パプリカパウダーは肉料理をひきたてるのに重宝するスパイス。
完熟パプリカの風味とほのかな甘さが特徴です。
この料理以外にも、
これまでにご紹介した砂肝炒めのピピッシュや
豚とあさりのアレンテージョ風などでも欠かせません。
また、クミンはカレーなどには欠かせない香辛料で、
ポルトガル風天ぷらや
バカリャウのコロッケなどのアレンジにも使えて便利。
持っていない方はぜひ常備をおすすめします。
とくにクミンパウダーは、
いつもの野菜炒めにひと振りするだけで
グッとスパイシーでおいしそうな仕上がりになりますよ。
さて、香辛料などをしっかり肉に味を絡めたら、
ビニール袋に入れて最低2時間、
できればひと晩マリネします。
時間をとればとるほど肉にうま味がしっかり入るので、
おいしさや柔らかさが違ってきます。
ここまでは前日に仕込んでおくのが理想的。
次に、つけ合わせの菜の花を炒めます。
ポルトガルではかぶの葉をよく使いますが、
これが日本産より味や香りがワイルド。
今なら旬の菜の花が、似たような味わいになります。
フライパンにオリーブオイルをひき、
スライスしたにんにくを入れて弱火であたため、
香りをたたせます。
香りが出てきたら、
水で戻して元気になった菜の花を入れ(前回記事参照)、
中火で1分そのまま焼きます。
最初は箸であれこれいじらずに、そのまま焼きつけるイメージで。
1分経ったら全体をひっくり返して塩をふり、
さらに1分焼きつけます。
そして、中火のまま水を大さじ4を加えてふたをし、2分蒸します。
ふたを開けて全体を返したら、
さらに2分蒸します。
計4分蒸すと火はほぼとおりますが、
くたっとした食感にしたいので、
さらにふたをしたまま火を止め、
2~3分蒸らしたら完成です。
このままでも、春を感じる立派な1品。
菜の花のほろ苦さやうまみがストレートに味わえます。
ちなみににんにく強めの仕上がりが好みの方は、
にんにくをみじん切りにして炒め合わせるのがおすすめ。
よりパンチのきいたつけ合わせになります。
次に、豚肉を炒めます。
フライパンにオリーブオイル小さじ1(分量外)をあたため、
マリネした豚肉を広げ入れて中火で4~5分焼きつけます。
フライパンに入れると、
つい箸で肉をちょこちょこといじりたくなりますが、そこは我慢。
最初にしっかりと香ばしく焼きつけたいので
極力触らないようにしましょう。
香ばしい香りがしてきたら様子を見て返し、
さらに3~4分焼きます。
ソーセージも入れたい場合は、ひと口大に切ってここで加えましょう。
肉にしっかり火が通ったら器に盛り、
先程の菜の花を添えて完成です。
お好みでオリーブを散らしたり、
レモンを添えてもいいですね。
ほんのりスパイシーな豚肉と
ほろ苦い菜の花ソテーのコンビには、
フルーティーな白や泡ものを合わせたくなります。
この「ロジョンイシュ」、
現地のポルトガルでは
肉をマリネするのに使ったヴィーニョヴェルデを
合わせることも多いです。
ちなみに今回合わせたワインは、
ポルトガル北部・ミーニョ地方の微発泡ワイン
ヴィーニョヴェルデの
「ポンテ・デ・リマ ローレイロ」。
ローレイロとは、
ヴィーニョヴェルデに欠かせないブドウの品種名で、
ポルトガルオリジナルの土着品種。
柑橘系の香りと穏やかな酸が特徴です。
「ロジョンイシュ」のコクのある肉の味わいや脂の甘味を、
ヴィーニョヴェルデの穏やかな泡がさっと流して
爽やかにリセットしてくれるので、
もうひと口、とついつい食べちゃう組み合わせ。
ちなみにラベルに描かれているのは、
このワインがつくられている
ポンテ・デ・リマ(リマ橋)という町のシンボルでもある橋。
古代ローマ時代に造られた石橋で、
ポルトガルのワイン同様長い歴史を持つものだそうです。
私もこの石橋を渡ってみましたが、
2000年近くも昔に、
かつてローマ人が同じ場所を行き来していたと考えるだけで、
まるで劇場に立ったかのような
不思議な気持ちになりました。
ローマ時代にはここをワインを積んだ馬車が通ったのかなあ、とか
そのとき、ワインの香りで馬は酔わなかったのかなあ、とか
そもそもラベルなどのないワインを、
人々はどうやって生産者ごとに区別したんだろう、とか。
とりとめもない疑問が次々沸いてくるのです。
さらに、この橋の下をとうとうと流れるリマ川の豊富な水量や、
周囲の緑とのコントラストの美しさも印象的でした。
豊かな川は肥沃な土地を育み、食物を実らせ、
さらに文化をも生み出すというのは
歴史的に見ても明らかですが、
ワインづくりには豊かな川が不可欠、と
あるワイン醸造家が言っていたのも、思い出されました。
こちらのワインはお値段1400円。
『ポルトガルワインの崖の上』
http://www.vinho.jp/
で購入できます。
日ごとに暖かくなるこの時季、
爽やかなワインとたっぷりの肉&野菜を楽しみながら、
心地良い春を満喫しましょう!