賞味期限長期保証! おいしさ無限保証の「オイルサーディン」レシピ![第9回]

新年最初の「とりあえずビール!」は、イワシのオイル漬け缶詰・オイルサーディンを使ったレシピ。日本でもおつまみとして好まれているオイルサーディンですが、ポルトガルでは国民食として食されています。ポルトガル料理といえばバダさん。オイルサーディンを使った絶品レシピを紹介していただきました!

新年あけましておめでとうございます。
今年もますます、
食べたくなるつまみと
飲みたくなるお酒についてのお話を、
お届けしていきたいと思います。

さて、お正月ムードもすっかり落ち着いて、
いつものペースでお仕事が始まっているのに、
なかなかエンジンがかかりにくい1月前半。

この時季は、
年末年始の暴飲暴食を反省して
シンプルな食生活にしようと思ったり、
食べ過ぎで増えた体重を
なんとかもとに戻したいと思っている人も、
少なくないですよね。
そんなときのおつまみは、
凝ったものよりシンプルな方がいい。

たとえば日本酒となら、
手の甲に塩をのせてなめるだけとか、
しゃもじに味噌を塗って炙るだけとか、
炙ったのりとか、
炙ったイカとか……。

ん? 
いやいや違いますね、
気づけば昭和の演歌の世界でした。
潔さはカッコいいんですが、
ストイックすぎますね。
お腹すいちゃいます。

現実的に、
たとえばいつものビールやワインでシンプルに飲むなら、
簡単で納得のつまみって何でしょう。
たとえばチーズなんか便利ですよね。
買ってきて切るだけ。
ハム・ソーセージの類も無難です。
やっぱり買ってきて、切るだけ。
でも、カロリーがちょっと心配かも。

それに、チーズもハムも賞味期限がある。
しかも加工食品とはいえ生ものだから、
買ってきておいしく食べられるまでの猶予期間が案外短い。
とっておきのつまみのつもりで冷蔵庫にストックしたまま
うっかり寝かせちゃって、
気が付いたら無残な姿に変わり果ててしまったり。
結構良い値段だったのになあ~とがっかり、
そんな経験ありませんでしたか?
私はよくよくありました。

でも、今日のこのおつまみは
そんな賞味期限問題の心配が一切いらない素材を使います。
冷蔵庫にしまっておく必要すらないんです。
その辺にほったらかしておいても大丈夫。
普段ぞんざいに扱っていても、
必要な時にパカッと開けたらちゃんと、
しかもすぐにおいしい。
そしてヘルシー。

その正体は……
そう、オイルサーディン!
鰯のオイル漬け缶詰です。

オイルサーディンは、
その辺のスーパーやコンビニの缶詰コーナーや、
ときには酒屋のつまみ棚にも並んでいたりします。
開けてすぐに食べられるから、
酒飲みには重宝がられるつまみ缶詰なんですよね。

私の家にも、オイルサーディンがいくつか待機しています。
国産から輸入物まで種類がいろいろありますが、
最近気に入っているのは、これ。
ポルトガルのオイルサーディンです。
ほら、パッケージもかわいい。

ふたを開けるとまるまると太った鰯がゴロゴロ。
かなり気前のいい大盤振る舞いな缶詰です。

このポルトガルのオイルサーディンは、
「メルカード・ポルトガル」
で購入できます。

ポルトガルは魚介類の缶詰の種類が豊富で、
このオイルサーディンだけではありません。

ほら、いろいろあるんです。
これは私がポルトガルから買ってきた缶詰たちですが、
鰯のほかにもマグロや干しだらなど、
味つけもプレーンからトマト味、唐辛子を効かせたものなどなど。
味だけじゃなく見た目も楽しくて、
イラストをプリントしたカラフルな紙にくるんであったり、
紙箱に入っているものも多い。
この紙の質感が、ちょっとレトロな雰囲気を醸し出しています。
ポルトガルのスーパーマーケットの缶詰コーナーに行くと
こんなかわいい缶詰がずらーっと並んでいて、
結構楽しいんです。

では、つまみの話に戻りましょう。
今日はこのオイルサーディンを使った
「鰯と玉ねぎのマリネ」です。

これはポルトガルの「ザラガトーア」という地方料理がもとです。

ポルトガル人はとにかく鰯が大好き。
旬の始まる6月には、
首都のリスボンで盛大にイワシ祭りが開かれます。
みんな鰯の塩焼をパンにはさんだ鰯サンドを手に、
ワインを飲みながらあっちこっちで大騒ぎ。
ちなみにこの料理、
ポルトガルでは旬の塩焼した鰯をほぐして使います。

でも、オイルサーディンさえあれば鰯を焼かなくても近い味が簡単。
すぐできるし火も使いません、
切って混ぜるだけ。
しかも魚と野菜だけでつくるから、
体にやさしいつまみです。

では、早速つくっていきましょう。
材料はこちらです。

作りやすい量

  • オイルサーディン1缶
  • 玉ねぎ(みじん切り) 1/4個
  • 白ワインビネガー(または酢) 大さじ2~3
  • 塩、オリーブオイル 各適宜


玉ねぎは細かくみじん切りして、
ボウルに入れます。
さらにオイルサーディンを入れます。

鰯を取り出すと、浸かっていた缶のオイルが残ります。
これを加えるかどうかは、
自分でオイルを味見して判断しましょう。
なんとなく臭みが感じられるようであればオイルは捨てて、
新鮮なオリーブオイルを大さじ1ほど加えます。
でも上質の缶詰なら、オイルにうま味が混ざって臭みもほとんどないので
加えるとおいしくなります。

箸で鰯をほぐしながら(やわらかいのであっという間にほぐれます)
玉ねぎとよく混ぜたら、
ワインビネガーを加えます。
この酸味が味のポイントです。

味をみて塩やビネガーで調えたら完成、
お皿に盛って出来上がりです。

鰯の素朴なうまみとワインビネガーだけで
飽きのこない滋味あふれるつまみが完成。
見た目は渋いけど、お酒のお供としていい仕事します。

おすすめの食べ方は、
まず薄切りのパンをカリカリに焼き、
生のにんにくの切った断面をごしごしこすりつけて
ガーリックトーストを準備。

こんな風に、にんにくを半分に切って
切り口を表面にまんべんなくこすりつけます。
そして、その上にこのマリネをどっさりのせる食べ方。

そう、ちょっと火の通った洋風たたきのイメージです。
パンに塗ったにんにくの辛みがほんのり効いていますが、
さらにピリッと辛いアクセントをつけたい人は
黒こしょうを挽いてもいいですね。

そして、このマリネは残ったらそのまま冷蔵・冷凍保存して、
パスタの具にも使えます。
フライパンにオリーブオイルをひいて鰯マリネを炒めます。
ここでにんにくのみじん切りや、
赤唐辛子を加えてもいいですね。

香ばしい香りがするまで加熱したら、
ゆでたパスタを加えてよく絡め、
仕上げに千切りにした大葉をたっぷりふってざっと混ぜます。

これもまた、お酒にぴったりですよ。

それでは今年も、
力まず、楽しく、ラフな感じで、
つまみとお酒のおいしいお話をお届けして参ります!

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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