みなさんこんにちは。
2012年も残すところあと数日ですね、
年内の仕事は納まりましたか?
いやいやこれからが佳境ですというお仕事の方、
ご苦労さまです。
あとちょっとだけ頑張りましょう!
もう仕事が納まった方、
本当にお疲れさまでした。
さて、お酒とおつまみの出番が多い年末年始は、
ちょっと変わったものやおもしろいものが欲しいですね。
テーブルに出したときに
「おおっ、これは!」とリアクションが多い方がきっと楽しい。
今回のおつまみは
素材の組み合わせがちょっと「!」です。
その名も
「豚とあさりのアレンテージョ風」
豚肉とあさりが主役です。
山と海の素材がひと皿になったこの組み合わせは
はじめての人も多いはず。
しかもうま味食材の代表格コンビなので、
おいしさ倍増です。
このおつまみは、
ポルトガルの南部・アレンテージョ地方の代表的な料理
「Carne de Porco a Alentejana(カルネ・ドゥ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ)」を
簡単にアレンジしたもの。
ポルトガル南部のアレンテージョという地域一帯は、
同じイベリア半島のお隣りスペインと同様、
イベリコ豚が放牧されている地域でもあります。
乾いた広い大地には所々にオリーブやコルク樫の木が生え、
その樫の実であるドングリを食べて育つのが、
有名なあのイベリコ豚です。
アレンテージョ地方はこのイベリコ豚がたくさん育つため、
おいしい豚肉料理のレシピがたくさんあるのです。
さて、前置きがちょっと長くなりましたが、
「豚とあさりのアレンテージョ風」
料理はこちらです。
下味をつけた豚肉とあさりを炒め合わせ、
そこにカリッと揚げたじゃがいもを加え、
上にコリアンダー(青菜・シャンツァイ)を散らします。
コリアンダーは東南アジアや中国のハーブという印象が強いですが、
大航海時代、ポルトガル人が東南アジアの香辛料などと一緒に持ち帰ったので
その結果、南部を中心としてポルトガル料理によく使われています。
ちなみにこのコリアンダー、
日本に最初に紹介したのは
南蛮貿易で出入りしていたポルトガル人です。
ポルトガルで「コエントロ」と発音するコリアンダーは、
今も日本の和名で「こえんどろ」という呼び名が残っています。
それでは、
「豚とあさりのアレンテージョ風」の材料とつくり方です。
材料は4人分。
・あさり(砂抜きしたもの) 300g
・豚肉(肩ロースやバラ)300g
・じゃがいも 2個
・赤パプリカ 1/2個(なければパプリカパウダー大さじ1+ワイン50㏄でも)
・にんにく 大1片
・コリアンダー(なければイタリアンパセリでも) 1~2枝
・揚げ油 大さじ4
・塩 適宜
あさりは砂抜きをします。
ボウルやバットに入れ、海のしょっぱさと同じぐらいの塩水
(水300mlに塩9g・小さじ2程度)に1~2時間ぐらい漬け、
新聞紙などをかぶせて暗い静かな環境をつくって砂を吐かせます。
こんな感じです。
その間に豚肉の下味つけを。
ボウルにひと口大に切った豚肉を入れ、にんにくをすりおろします。
さらに、赤パプリカもすりおろして加えます。
パプリカをすりおろすの?
そうなんです。
意外かもしれませんが、これがお肉をおいしくしてくれるんです。
パプリカは旨みがたっぷりある野菜なので、
ポルトガルでは塩漬けにしたペーストまで売っているんですよ。
ほら、こんな感じで。
これはMassa de Pimento(マッサ・デ・ピメント)というもので、
ポルトガルでは肉料理などの下味に大活躍します。
ちょっと待った、うちの近所の店には赤パプリカがない!
という方、大丈夫です。
パプリカパウダーを使えば、
かなり近い味になります。
その場合はうま味としてワインも加えて下さい。
あとは全体を混ぜて肉に下味をしっかり絡め、
ビニール袋に入れて最低でも1時間は冷蔵庫で寝かせます。
ちなみに私は、この肉の仕込みを料理の前日にしてしまいます。
ひと晩寝かせると味のしみ込みも違うし、
当日の料理もかなりラクになるからです。
では次に、じゃがいもを揚げます。
揚げ油にラード(豚の脂)を使うのがポイント。
コクのあるフライドポテトになるのでおすすめです。
でもラードってなかなか売っていないし、
このためだけに買うのももったいないという人も多いですよね。
そんなときは、
豚肉の脂部分だけを切って揚げ油に加えます。
これだけでもじゃがいもにラードの風味がのって、
フライドポテトに風味とコクがプラスされます。
豚の脂入りの油を温めたら、
ひと口大に切ったじゃがいもを入れます。
中火で片面がいい色になったら返し、5~6分程揚げます。
油が少なくても大丈夫、ちゃんと揚がりますよ。
いじくりまわさず中火でじっくり揚げ焼きするのがコツ。
1個食べてみて中までほくほくになったら、
網やざるなどにあげておきます。
一緒に入れた豚の脂のかけらは、焦げる前に取り出して下さい。
残った油はそのままで。
次に豚肉です。
油の入ったフライパンに下味をつけた肉を入れ、
香ばしく焼きます。
中火でじっくり、片面が色よく焼けたら返します。
7~8分焼き、中まで火が通ったらあさりを加えましょう。
あさりを加えたらふたをして中火のまま、
あさりが開くまで待ちます。
あさりが開きはじめると、
あさりから出た水分と豚の脂でひたひたになります。
ここからはスピード勝負。
揚げたじゃがいもを加えて、
じゃがいもにスープを絡める感じでざっくり混ぜます。
ここで火を入れ過ぎないように注意。
あさりの身がやわらかいうちにお皿に盛って、
刻んだコリアンダー(苦手な方はイタリアンパセリでも)をふります。
はい、できあがり。
お皿の下においしいスープがたまりますから、
具にからめながらどうぞ!
この山+海のつまみに合わせたいのは、
両者のうま味をしっかり受けとめられるまろやかボディの赤ワイン。
同じポルトガルのドウロ地方でつくられている
「カベサ・デ・ブロ」という名前のワインにしました。
ぶどうはポルトガルの土着品種トゥリガ・ナショナルなどが主体。
力強さとエレガントさのバランスが良く、
ぶどうのまろやかな甘味も感じられる、
飲みやすい赤ワインです。
ボトルにはロバの頭が描かれていて、ちょっとかわいい。
ちなみに、このロバの頭にはエピソードがあります。
ワインの名前「Cabeca de burro(カベサ・デ・ブロ)」は、
直訳すると
ロバの頭=頭が足りない=間抜け
という意味だそう。
ある日、このワインに携わった醸造家達がワインづくりの議論で白熱したとき、
間抜けな意見を言った後輩に先輩が思わず
「アホか! お前はカベサ・デ・ブロ(頭が足りない)だ!!」
と言ったそうですが、
そのときドイツから招かれていた有名醸造家が
このフレーズを聞いてひどく気に入り、
それまでみんなであれこれと決めかねていたワイン名に
使うことにしたそうです。
それにしても、
大胆な決断ですよねえ。
だってこの「カベサ・デ・ブロ」という言葉、
ドイツ人が受けたニュアンスと
ポルトガル人の感じるニュアンスではかなり違うはず。
精魂込めてつくったワインに
とんちんかん
とか
あんぽんたん
とか
そんなニュアンスと思われる名前をつけちゃうなんて、
すごい決断力です。
結局この変わった名前のワイン、
リリースするとポルトガル国内はもとより、
海外のコンテストでも高く評価され、
賞も受けるほどのワインになったそう。
ワインのおいしさはもちろんだけど、
ヘンな名前やロバのビジュアルのおかげも
影響している気がするなあ……。
このワインはこちらで購入できます。
『ポルトガルワインの崖の上』
ジューシーなあさりのうま味と豚肉のコクが合わさったソースを
カリッと香ばしいじゃがいもに絡め、
ぶどうのうま味や甘味をじんわり感じるワインと一緒に楽しめば、
組み合わせの妙で
みんなの表情もきっと「!」となるはず。
ぜひ、試してみてください。
ではでは、
来年もますます、
おいしいお酒とおつまみを
ご紹介していきたいと思います。
どうぞみなさん、よいお年を!
ポルトガルの料理とワインが大好きなバダさんがイベントをされます!
「ポルトガルのワインとおつまみ」
日時/2013年1月19日土曜日 15時から19時まで(受け付けは18時まで)
場所/イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫 2F
住所/台東区寿4-7-11 東京メトロ銀座線田原町駅より3分
☎03-5830-3863
入場料/ 予約2800円 当日3500円
ポルトガルのさまざまなワイン(ヴィーニョヴェルデを中心に)と、
ポルトガルの食材を使ったおつまみを楽しむイベントです。
お気軽にご参加ください!
ワインの準備などがございますので、なるべくお早めにご予約ください。
ご予約はこちらまで。
参加者のお名前と、お連れの方がいる場合はその方のお名前もお願いいたします。
また、イベントの詳しい内容は、
バダさんのブログでご紹介されておりますので、どうぞご覧下さい。
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dancyu (ダンチュウ) 2013年 02月号 [雑誌] プレジデント社 2013-01-05 Amazonで詳しく見る |
バダさん監修のポルトガル料理とワイン紹介記事が掲載されます。
ぜひ「とりあえずビール!」に合わせてご一読を!