思わず立ち寄りたくなる絶品もつ焼き屋![第4回]

やって来ました金曜日! 一週間の疲れが一番溜まる日だけれど、一週間で一番テンションが上がる日。仕事が終わりに近づくと、あれ食べようこれ飲もうなんて喉がなりはじめませんか? 今日はいつもとは趣向を変えて、そんなあなたにピッタリのお店をバダさんが紹介してくれました。よだれをこぼさないようにご注意を! さあ絶品料理のお店へ、バモシュ(カモン)!!

みなさんこんにちは!
秋も本番、ますます食欲がわいてきますね。

陽気のいい過ごしやすい日が続くと、
たまにはちょっと一杯、飲んで帰りたくなりますよね。

あー、今日はよく頑張ったなあとか、
ふー、肝心のところでミスっちゃったよ……とか
もー、なんであの上司はまったく! とか、
じゃ、うまくいったから、お疲れさまの打ち上げ行くか! とか、
日々頑張るみなさんにはいろいろあると思いますが、
そんなときこそ
ちょっと一杯といわずにたっぷり飲んで食べて帰りますか!

私も今回は家呑みをお休みして、
お財布にやさしくておなかも心も満足のお店を探しに
外に出掛けちゃいます、バモシュ!

目指すは水道橋駅。
駅を降りるとサラリーマンがいっぱい。
みなさん、お疲れ様です。
夕方過ぎる頃には、仕事が終わってさー飲むぞという人があっちにもこっちにも。
早くお店に行かないと席がなくなっちゃう!

いいえ、あわてなくても大丈夫です。
今から行くお店はコノ字カウンター45席の大きなお店ですから。

はい、こちらです。

「もつ焼き でん」です。
水道橋から歩いて5分以内。
店内左わきには、ちょっとひっかけるための立ち飲みできるスペースもあって
万が一満席でもここで待てば、
間もなく席が空きますよー。

この方は店主の山田英季(やまだひですえ)さん。
気持ちいい笑顔! おじゃまします!

今日は山田さんのおすすめを中心にオーダーします。

モツ焼き屋さんに通い慣れている人は
自分の好みでパパッとオーダーできるかもしれませんが、
慣れていない人はお店の人に聞くのが手っ取り早い。
だってこれだけ種類があるんですよー
ほら。

まだまだある!

今日は私が慣れていない人の代わりに、あれこれ聞いちゃいます。

先ほどの山田さんの顔を見て
「あ、新宿の『うっちゃん』の人だ!」と思った方、鋭いです。
そう、こちらのお店は
新宿・思い出横丁の超人気モツ焼き店『うっちゃん』の主力メンバーが
独立して今年の6月に水道橋に開いたお店です。
だからあちらの人気メニューも健在。
さあ、飲むぞ食べるぞ~。

まず飲み物ですね。
迷わずビールの方は生をどうぞ!
1杯目からわりと迷っちゃうんだよねーという人は、
はい、メニューを見て思いっきり悩んで下さい。

まだまだ!

男のハイボール?
女のハイボール?
昔の女のハイボール?
横丁ハイボール?

悩みますね、楽しいですね、さてどうしましょうか。
山田さんいわく、
1杯目のおすすめは「レモンサワー」だそうです。
では、こちらをどうぞ。

ちなみに「もつ焼き でん」の飲み物に入る焼酎は、
あらかじめシャリシャリに凍らせて出てきます。
だから、だんだん氷が溶けて味が薄まる心配もナシ。
レモンサワーはグラスの縁に塩がぐるりとあしらってあって、
ソルティードッグみたいで面白い。
この適度な塩分のせいでグイグイ飲んじゃいます。

ではまずお客のほとんどが頼むという超人気メニュー、
「牛モツ煮込み」から。
はい、すぐ出てきました。

赤味噌をきかせた特製みそでじっくり煮込んでいるそうで、
ひと口かみしめると、うーむ、しみじみいいお味。
モツの種類は、ぎあら、はちのす、小腸などさまざまな部位が入っているから、
口の中でいろんな食感が楽しめます。
むっちりとか、しゃくしゃくとか、むにゅ、とか。
あー楽しい、モグモグ、モグモグ……。

次は焼きもの!
そうそう、こちらのお店でオーダーする時は、
焼き物は最初に5本まとめて頼みましょう。
そうすればお得な串盛り(5本で680円)とカウントされて、
バラで頼むより少しお値段が安くなるそうです。
ちりも積もれば山となるですから、忘れずに!

まずは「とろはつ」。心臓上質部です。

んっ、はつよりジューシー!
理由ははつ(心臓)の脂をまとった部分だからだそうです。
しかも、はつのあのコリッとした食感の良さはそのまま、
なんともいいとこどりの1本なんですねー。

次は「たんすじ」。舌筋肉です。

舌を動かしている根元の部分の肉は、意外にやわらかくてびっくり。
たんよりさらに肉の味と風味が強いです。
ちなみに、先程から皿の左端に見えているのは
〝赤いの〟と呼ばれている薬味だれで、
紅ショウガや七味などをブレンドしたもの。
これで肉の味がさらにピリッと締まります。

次は「かしら」。頭肉です。

これはですね、ちょっとクセになる不思議な1本です。
噛みしめるとなんとなく、
マグロの赤身のようなしっとりした食感があるんです。
この串にはこしょうがきかせてあるので、肉の味とのメリハリを楽しめます。
モツ焼きが好きな人にはとくに人気の部位だそう。
んー、これはおかわり候補だな。

次は「てっぽう」。直腸です。

ひとくちバリッとかむと、
腸の上下に挟まった脂部分がじんわりとろけてきて
サクサク&とろりの楽しい食感!
管になっている腸を開いて四角にカットして焼いているそうです。
しかもこちらの店では下処理のゆで時間を通常より長くとり、
表面を炭でバリッと焼いているから
より一層香ばしい仕上がりになるんだとか。
んー、納得です。
これもおかわり候補だな。

そして次は「しろ」。大腸です。

しろなのに、ぜんぜん白くないじゃん! と思った方、当たり前です。
おいしい甘辛ダレをたっぷりつけて焼いてありますから!
これはもう、香ばしいものが大好きな人にはたまりません。
脂ものって、でもしっかりゆでてあるから噛みごたえもよし。
これもおかわりしちゃおうかなあ。

焼き物5本いったところでおかわりの串を考えつつ、
箸休めを頼みましょう。

ここに来たら絶対頼んじゃう、
と常連の間でいわれている人気の箸休めがこれ!

んっ!? 紅白かまぼこ?
ブブーッ、はずれです。
正解は「酢豆腐」。

酢、といっても単なる酸っぱい酢漬けではありません。
梅酢やゆかりをいい塩梅でミックスしたところに、水切り豆腐を漬けたもの。
ひとくちつまめば思わず「へー、なるほどね」と人気のほどに納得。
ゆかりの風味がほど良くきいた優しい酸味の豆腐は、
モツ焼きの箸休めにドンピシャです。
それにしても、よくこんな面白いメニューを思いつくものですね、
「もつ焼き でん」のみなさん!

さ、焼き物をおかわり、と思ったら、
山田さんからもう1品煮込み系をおすすめされました。
しかも珍しいメニュー名。
「あぶらソース煮」……??

わお!
見るからにコッテリ!!
かしらとぴーとろ(首)部分を覆っている脂部分を、
ソースできりっと煮てあります。
これ、男子の大好物ですね、間違いない。
しかも隠し味にきかせている秘密の香辛料の効果で、
なんだろう、箸が止まりません。

これを出すと、食べているお客さんから「白いご飯ないの?」と
よく聞かれるそうですが、
残念ながら白いご飯はないそうです。
そう、ご飯が欲しくなる類の“あの”味つけなんですよ。
うーん、まだまだいろいろ食べたい!

はっ、もう飲み物がない。
おかわりします。
さっきメニューを見たときに、ハイボールの名前がいろいろ気になったんですが、
今日はお店で人気の「横丁ハイボール」をいただきます。
懐かしの場所、新宿・思い出横丁の名前からつけたそうです。

へえ、これ、不思議なハイボールですねー、
大人っぽいほろ苦さと、ほんのり甘い感じ。
シャリシャリに凍った焼酎と梅シロップに、
ウィルキンソンのビターなジンジャエールをそそぎます。
あー、どんどん飲みたくなる微妙なビター加減!

んー、いい感じにお酒がまわってきました。
そろそろ締めのボリューム系を頼もうかな。
なになに、山田さんのおすすめは「黒胡椒レモンそば」なのね。
ではそれをください!

んっ! んんっ! これは、やみつきです!
まさにおつまみ麺!!

潔くたーっぷりとかかったこしょうとレモンの酸味が
あと引くなんてもんじゃないですよ。
えんえん食べ続けてしまいそうです。
特製だし醤油の隠し味がしっかり味を支える、
まさにプロのおつまみ麺ですね。
モグモグ、モグモグ。
……結構辛いです。でも、食べちゃう。

おっと、締めのひと皿のつもりだったのに、
この麺を食べ終わる頃にはお口がヒリヒリして
もう一杯飲みたくなってしまいました。
危険な麺ですね、みなさんもご覚悟を。

すっかりお腹も満足しました。
いい気分です。
山田さん、お会計お願いします。

素晴らしい、3000円いきませんでしたよ。
なんと2920円!

最近は女の子がひとりで入ることも珍しくないそうですよ。
居心地いいお店なんですね。

あーおいしかった!


「もつ焼き でん」
東京都千代田区三崎町2-12-7静山ビル1F
☎03-6674-1321
営業時間 お昼11:30-13:00  夜 17:00-24:00(売り切れ次第閉店)
無休

ケイクス

この連載について

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ポルトガル食堂

馬田草織

ポルトガルや南蛮絡みのエピソードが大好きな編集者・ライターの馬田草織さんが、仕事現場や旅先、日常で気になった食のサムシングと、それにちなむおつまみ&ぴったりなお酒を月替わりでご紹介していく、家飲みも外飲みも楽しむ人へ捧げる至福のほろ酔...もっと読む

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