みなさんこんにちは!
10月に入って気温も下がり、空気もぐっと乾いてきました。
もうすっかり秋ですね。
さーて、今日は何を飲んでつまみましょうか。
ポルトガルびいきのこの連載、
飲み物は初回、2回目ともに私の大好きなポルトガルの微発泡ワイン
「ヴィーニョヴェルデ」の白と赤を紹介してきました。
そうしたらこの連載読者の方から
「初回で書いていた、ちょいモテ気分を味わえるロゼのヴィーニョヴェルデってどんなの? 食事会の手土産ワインにしたいから詳しく教えて」という要望がありました。
はい、ちょいモテワインはこれです。
色はピンクよりも赤寄りの、かわいらしいイチゴ系。
もちろんワインはイチゴ味じゃないですよ。
でもワイン自体にほんのり甘さがあるから
ベリー系の甘酸っぱさをイメージさせる香りがします。
女の人がいる集まりの最初の乾杯なんかに、ピッタリのイメージ
(いや、男のひとり酒で飲んだって別に問題ないですよ)。
ところでロゼワインについてですが、
ヨーロッパ全体の動きを見ると生産量は年々増えているそう。
先日あるフランスのワイン生産者と話をした際も、
どっしり重い赤から、香りもコクもありつつ軽やかに楽しめるロゼ人気が
男女を問わず高まってきていると聞きました。
とくに若い世代はその傾向が強いようですね。
アルコールの嗜好がヘビー級からライト級に移っているのは、
日本のみならず世界全体の傾向なのかもしれません。
ポルトガルのヴィーニョヴェルデの場合、
基本的にアルコール度数も低めで気軽に飲める軽やかさが魅力。
ボトルの雰囲気も、おしゃれ過ぎないカジュアルな感じがいいですね。
普段飲みにぴったり。
このヴィーニョヴェルデのロゼは、
お値段もぐっとカジュアルな1000円ほど。
扱っているお店は
『播磨屋』
です。
ではこのシュワシュワロゼに合うおつまみはというと……。
ポルトガルつながりで、揚げものなんかいいですね。
ご存知の方もいると思いますが、
日本を代表する料理「天ぷら」は南蛮渡来の料理と深いつながりがあり、
語源はポルトガル語と言われています。
temperar(テンペラル・味つけをする)
tempero(テンペロ・調味料)などの言葉や、
キリスト教で肉を避け魚や野菜を食べる精進日Quatro temporas(クアトロ・テンポラシュ・四旬節)に魚の揚げものが食べられていたことが元だとするなど、諸説あります。
かつて南蛮人が住んだ長崎の郷土料理には
長崎天ぷらというものがあるのですが、
ころもに味がしっかりついて、ややぼってりした食感。
これがポルトガルでよく見る白身魚の揚げものとそっくりです。
実際、今でもポルトガルの街の食堂やレストランのメニューには
長崎天ぷらによく似た魚や野菜の揚げものがたくさんあります。
たとえばこれは、ポルトガルの定番揚げもの
「pataniscas de bacalhau(パタニシュカシュ ドゥ バカリャウ)」
干鱈のかき揚げ天ぷら。
水で戻してほぐした干しだらの身と玉ねぎやイタリアンパセリを、
塩、こしょうを加えた味つきのころもで揚げています。
なんとなーく、どことなーく、かき揚げを連想しませんか?
こっちはポルトガルのインゲンの天ぷら
「peixinhos da horlta(ペイシーニョス・ダ・オルタ)」です。
これは、ポルトガル中部に住む料理研究家のおじさま宅でいただいたもの。
名前の直訳は「農園の小魚ちゃん」といった感じで、
インゲン数本を味のついたころもで揚げた、小魚に見立てた料理。
でもこれ、結構なボリュームでちっとも小魚には見えませんねー、
もう立派に成長した魚の大きさです。
つまみと呼ぶにはあまりにビッグ、
日本なら完全におかずの域だし、ご飯が何杯でもいけそう。
ころもは味つきで厚みがあり、冷めてもおいしいのが特徴です。
16世紀当時の日本では、
こういった揚げもの文化はまだまだごく一部の僧侶や特権階級の人が口にする
特別な料理だったようです。
それが広く庶民の食べ物になったきっかけは、
魚や野菜にころもをつけ、油で揚げた南蛮渡来の料理が、
徐々に日本国内に伝わったからと推測されています。
ちなみに江戸時代に庶民が楽しんだ天ぷらは屋台が主流。
揚げた江戸前の魚を串に刺して、
立ち食い感覚でつまんでいたそうです。
ほら、こんなふうにね。
出典:「近世職人尽絵巻」より(東京国立博物館蔵)
ではポルトガルと日本をつなぐ天ぷらの歴史話はこのくらいにして、
肝心のおつまみレシピ、いきましょう。
適当につくってもおいしくできる揚げものです。
先程の「peixinhos da horta(ペイシーニョス・ダ・オルタ)」をイメージしながら、
日本人向けにアレンジしてみました。
いんげんは1本ずつカリッと揚げます。
いんげんの代わりにアスパラやオクラ、小房に分けたブロッコリーなどもいいですね。
チョリソーやサラミなどの肉系をスライスしていっしょに揚げるのもおすすめ。
ポルトガルではショリッソという腸詰のスライスに
ころもをつけて揚げるおつまみもあって、
これがまたビールにもワインにもよく合う!
ダイエット中の人には禁断のおつまみです。
あれ、揚げものってハードル高そうですか?
「適当につくってもおいしくできて片づけがラクなら、やってみてもいいけど」
そんな感じですよね、きっと。
でもそんな揚げものあるのかな~。
あるんです!
材料は、
天ぷら粉
炭酸水(発泡酒やビールでも)、
顆粒コンソメ
ドライハーブ(イタリアンパセリなど好みのもの)
塩
揚げ油
それに、揚げる野菜や肉類
以上。
この揚げものの特徴は、
1.ころもに味がついているから冷めてもおいしい
2.少ない油でカリッと揚げられる
この2点。
ポイントは下ごしらえにあります。
天ぷら粉と炭酸水を1対1(1/2カップずつが扱いやすい)でよく混ぜ、
そこに顆粒コンソメ大さじ1と塩少々、ハーブ少々を混ぜます。
このころも液はシャバシャバで結構。
そこに揚げる野菜を入れ、よくからめます。
野菜に少量のてんぷら粉をまぶしてから液に入れると、
ころもがよりはがれにくくなります。
そして揚げます、といっても油は少量で大丈夫。大さじ3~5ぐらいかな。
1本ずつ焼くようなイメージですね、
こんな感じに。
油が足りなくなったら少しフライパンに足して油を温め直し、また具を揚げる。
一度にたくさん揚げずに、
ビール片手にちまちま揚げてください。
少量ずつあげるから失敗が少ないんです。
で、ときどき揚がり具合をチェックしながら味見を。
おそらく揚げたての味見が、一番おいしいと思います。
それからこれも大事なポイントですが、
揚がったものをいきなりキッチンペーパーの上に置かないように。
揚げものからしみ出た油がペーパーを伝ってころもに吸われてベシャッとなり、
残念な揚げものになってしまいます。
揚がったらすぐに平らなざるや網などにとって
余分な油を切ってから皿に盛りましょう。
そうすれば、カリッとした衣が長持ちします。
ちなみに、もう少しお腹が満足する揚げものつまみにおすすめなのが、
かぼちゃの天ぷら。
少ない油で揚げ焼きするので、なるべく薄くひと口大ぐらいに切るのもポイント。
ころもにクミンシードを加えて揚げれば、
スパイシーなつまみ天ぷらになります。
カリカリの揚げものとお酒が合わないわけない!
ぜひつくって、つまんでみてください。