みなさんこんにちは!
毎日お疲れさまです。
さ、今日は何を飲んで何をつまみましょうか。
残暑もようやくやわらいで、だんだんと秋の空気に変わってきましたね。
体感温度や湿度が下がってくると、飲みたいものも変わってきます。
うま味やコクのあるワインやぬる燗の日本酒なんかも、
おいしく感じるようになってくる。
とは言いつつも暦はまだ9月、
家に着いたら、店に入ったらまずはビールという人も多いはず。
というよりむしろ、周りに聞くと「春夏秋冬年中ビールです」という人が多数派ですね。
おお、そういえばこの連載のタイトルも「とりあえずビール!」でした。
ということで今回は、ビールによく合いワインでもいけるつまみから紹介。
秋のはじまりなので肉っぽいつまみにしようかな。
肉のつまみなら、まずは内臓系が手っ取り早いかと思います。
レバーやハツ、砂肝もいいですね。
スーパーの精肉コーナーの端っこの方に
小さめのパックで並んでいるから使いきれる量だし、
しかもかなりお買い得価格。
日本人に馴染みがある内臓つまみの代表を考えてみると、
甘辛のたれや塩で味付けした焼き鳥のレバーやハツ、砂肝、
モツのみそ煮込みあたりがパッと浮かびます。
んーおいしそう。
でもですね、私の好きなポルトガルには、
いろんな内臓をピリ辛煮にした
『pipis(ピピッシュ)』というつまみメニューがあるんですよ。
これ、ビールやワインがすすむ簡単煮込み。
冷蔵で3日ぐらいは日もちするので
(口をつけた箸でいじったりしなければ、もう少しもつかな)、
多めにつくって毎晩ちょこちょこ食べられる。
できたてのあつあつもなかなかですが、
たっぷりの煮汁と一緒に寝かせれば、
翌日以降は味が落ち着いてさらにおすすめ。
この『pipis』の味の決め手はパプリカパウダー。
パプリカパウダーは肉類や魚介類に使うと味に深みが出るし、
食欲をそそる色に仕上がります。
『pipis(ピピッシュ)』の材料とつくり方はこんな感じ。
- 1.白ワイン(酸味があれば赤でも)100㏄とパプリカパウダー大さじ1をコップに入れて混ぜる(★)。
- 2.鶏モツ(レバー、ハツ、砂肝など)300gをひと口大に切って冷水でよく洗い、血の汚れなどを掃除し水気を切る。
- 3.フライパンにオリーブオイル大さじ1とみじん切りのにんにく2かけ、みじん切りの玉ねぎ1個、種を取った赤唐辛子2本を入れて弱火で炒め、香 りが出たら2の洗った鶏モツとローリエ2枚を加えて軽く炒め、モツの表面が白くなったら塩小さじ1とこしょうを加え、1の★を入れふたをしてごく弱火で 20分以上煮る。
こんな感じで、スープがトロリとしたら完成。
ここまで読んで、
えー、煮るのとかちょっと面倒と思った人、きっといますよね。
そんな方は砂肝を炒めるだけでもおいしいつまみになります。
せっかくだから、パプリカパウダーを使った炒め物を。
材料とつくり方はさらに簡単。
薄切りした砂肝150gにパプリカパウダー大さじ1/2と塩小さじ1をまぶして手でよく和える(箸より手の方が味がなじみます)。
フライパンにオリーブオイル大さじ2と薄切りのにんにく1かけ分(にんにく好きならいくつでも!)を入れて弱火で3分ほどじっくり揚げ、にんにくを取り出したら(入れっぱなしだと焦げます)砂肝を入れ、中火で5分ほどじっくり炒める。
炒める最中はあまりいじくらず、1~2回返せば十分。
いい色に焼けたら器に盛り、揚げたにんにくをのせていっしょにどうぞ!
んっ、パプリカパウダーを買うのも面倒!?
そんな人は、ぶつ切りにした砂肝を油でじっくり揚げ、
塩をぱらりと振るだけでもいけます。
辛いのが好きな人は、ゆずこしょうや辛子を添えてどうぞ。
さて、飲み物。
今回はビールにばっちり合うつまみですから、
ビールラバーの方はビールでも発泡酒でも、
キリッと冷やしてご一緒に。
でもですね、まだまだ冷えたワインを飲みたい日もあるじゃないですか。
まあ私がそうなんですが、
そんなときに強力プッシュしたいのが
ジャン! ヴィーニョヴェルデの赤です。
そう、前回紹介したヴィーニョヴェルデには赤もあるんですよ。
白のヴィーニョヴェルデと違い、
赤はグラスに注いでも泡はそんなにはじけません。
でも、口に含むとシュワっと柔らかくプチプチ細かい泡の広がりを感じます。
これがちょっとした驚きでもあり、結構楽しい。
昔、口の中でバンバンはじけるキャンディーってありましたよね、
あれのものすごーく上品で、はるかーに繊細な感じ。
……というのもちょっと違うなあ。
でもまあ、そんな驚きの感じに近いんです。
ワイン自体にはほのかな甘味もあって
ほどよいタンニンも感じるので、
気軽に飲めるわりにはしっかりと飲みごたえもある。
でもシュワシュワがあるお陰で、タンニンはあくまで柔らか。
だから肉のつまみにぴったりだし、飲みやすい。
ちなみにポルトガルの地元では、
こんな陶器のカップで飲まれていました。
フランスのシードルの飲み方にも似ていますね。
この気楽な感じがまたいいなあ。
写真の料理はビファーナといいます。
揚げた豚肉をにんにくや唐辛子のソースにつけてパンにはさんだもので、
ポルトガルのポピュラーな軽食。
このときはビファーナを取材しにお店を訪ねたのですが、
ヴィーニョヴェルデの赤がよく合うからぜひ一緒に撮ってくれ、と、
お店のご主人が用意して下さったのでした。
赤のヴィーニョヴェルデ、
ポルトガルにはいろんな種類がありますが、
日本にはまだほんの少ししか入っていません。
現在扱っているのは
『メルカードポルトガル』
『ワインポルトガル館』
の2軒。
値段は気軽に買える1000円台です。
ちなみにワインが好きな方はご存じかと思いますが、
赤の微発泡をつくっているのはポルトガルだけではありません。
イタリアのランブルスコやフランスのペティアンなども微発泡ワイン。
むしろこの2者の方が、日本ではヴィーニョヴェルデよりも有名ですよね。
ブドウの種類は全く違うので味わいはそれぞれですが、
ポルトガルにこだわらず微発泡の赤ワインを飲みたいという方は、
この2者も選択に入れて、ウェブなどで吟味してみてください。
赤の微発泡、日本人の舌には馴染みやすいと思います!
ところで、私がなんでこんなにポルトガルに魅かれているかといいますと、
料理や食材の味もさることながら、
ポルトガルと日本の食には歴史的な深いつながりがあるからです。
たとえばワイン。
文献には、日本人が最初に飲んだ西洋のワインは
ポルトガルのものだという記述が残っています。
最初にいつどこで誰が飲んだかは
厳密には諸説あっていまも定まっていないようですが、
1536年に宣教師のルイス・フロイスが既にワインを日本人に送っていたという説や、
南蛮船で布教にやってきたフランシスコ・ザビエルが、
1550年前後に山口の大内義隆に献上したという説など。
いずれにせよ、当時の宣教師達がキリスト教の布教のために積極的にワインを使ったことが、日本でワインが飲まれるきっかけになったようです。
織田信長が好んでいたことで有名な「チンタ(珍蛇)酒」も、
ポルトガルの赤ワイン(ポルトガル語でヴィニョ・ティント。赤を指すティントがチンタに変わった)だったそう。
そんなエピソードを聞くだけで、
ワインの味にもちょっとドラマを感じるんです。
しかもワインだけじゃない、
パンやカステラ、ボーロなどの砂糖や卵をつかった西洋菓子や、
天ぷらなどの油を使った料理もフロム・ポルトガル。
つまり、戦国時代末期ににわかに起こった日本の西洋ブームの火付け役のひとつが、
南蛮渡来のポルトガルの味だったというわけです。
この事実だけで、なんか楽しいじゃないですか。
そうだ、次回は天ぷら風の揚げものつまみを紹介しようかな。
ポルトガルびいきの酒とつまみ話、次回も続きます!