cakes読者のみなさま、お久しぶりです! しばしお休みしておりましたが、今回からレギュラーに戻りますので、よろしくお付き合いくださいね。
もう師走ですね。これから年末年始にかけて、誰か家に遊びに来るとか、集まりがあるから持ち寄りで何か作らなきゃとか、休みになったら家でワインでも飲みながら料理でもしよっかなとか、そんな方々に楽しんでいただきたい簡単メニューを、3回連続年末スペシャルでお届けします。
それにしても12月って、焦燥感とか、置いてけぼり感とか、なんだかいろいろな感情が自分の中を行ったり来たりして、心がちっとも落ち着かないのはなぜでしょう。私だけなのか? いやいや、そんなことはないはず。
イルミネーション眩しいクリスマスムード一色の街も、25日の真夜中から一斉にお正月仕様になって、そんな様子を横目に、今年は年賀状どうするか問題で焦り、さらに街に出るたびに妙に煽られる、得も言われぬ寂寥感。
仕事帰り、大掃除をどこまでやるか落としどころを探っているうちに仕事納め、気が付けば大晦日になり、これでもういろんなことを諦めてもいいよね、と心のどこかでほっとしているうちに、やっとお正月。正々堂々、解放感に満ちた元旦! ようやく、晴れてのんびりできる。いろんなことをリセットしてくれる。師走の慌ただしい時期、お正月が待ち遠しい今日この頃。
そんな、特別がいっぱいの年末年始におすすめのメニューはこちらです。
メイン「豚スペアリブのニンニクとワイン煮込み」
ご飯「グリーンオリーブの炊き込みご飯」
サラダ「柿とレモンのクミンマリネ」の3品。
お酒が欲しくなる簡単料理という点は、いつも通りです。
Menu do dia (本日のメニュー)
まずはメインの肉料理「豚スペアリブのニンニクとワイン煮込み」から。これはポルトガルの郷土料理「カルネ・デ・ヴィーニャ・ダ・アーリョシュ」がもと。
ワインの名産地であるドウロ地方に、ピニャオンというアズレージョ(彩色タイル)が美しい小さな駅があるのですが、そのすぐそばにある食堂で食べて以来、忘れられない肉料理。シンプルで、意外にあっさりした味わいです。難しいことは何もなく、肉を数日マリネしておくのが唯一のポイント。実際の調理は煮るだけととっても楽で、飲み残しの余ったワインがあれば、この料理を作る絶好のタイミングです。ワイン王国ポルトガルならではの、まるでワインがだし代わりのような料理です。
材料
・豚スペアリブ 500g
・みかん(あれば) 1個
・ローリエ 2枚
・ワイン(赤・白どちらでも) 1.5カップ
・にんにく 2~3片
・ワインビネガー(赤・白どちらでも)大さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・塩、こしょう 各適宜
つくり方
まずは肉をマリネします。ボウルに、塩、こしょうで下味を付けたスペアリブ、潰したにんにく、ワインビネガー、輪切りにしたみかん、ちぎったローリエを入れ、ワインを注いで軽く混ぜます。
肉がマリネ液にまんべんなく浸かるようにビニール袋に移し入れ、ひと晩から数日冷蔵庫でマリネします。ちなみにポルトガルでは、2~3日間マリネするのが普通です。保存の際、スペアリブの骨が引っ掛かってビニール袋が破けることがあるので、冷蔵庫に寝かせるときは袋を重ねたり、袋ごとふたつきの容器など入れておくと、にんにくのにおいも広がらず安心です。
マリネした肉を冷蔵庫から取り出したら、鍋にオリーブオイル大さじ1を中火で熱し、肉を入れ(漬け汁はまだ入れない)、肉の表面の色が変わるまで焼きます。色が変わったら、みかんと残りの漬け汁を加え、ふたをして中火で肉にしっかり火がとおるまで煮ます。目安は20分以上。
肉にしっかり火がとおったら完成。ふたをしてそのまま置いておけば、さらに味がしみ込んでいきます。食べる直前に温め直し、器に盛ります。
ワインとにんにくのだしでじっくり味をしみ込ませた肉は、見た目に反して意外にあっさり。ビネガーの力で肉も柔らかくなります。ピリッと辛さが欲しいときは、マリネの際にちぎって種を取った赤唐辛子を1本入れても。みかんの皮の苦みはアクセントになって私は好きですが、みかんなしでも大丈夫。肉料理にオレンジを添えて食べることが多いポルトガルからヒントを得たアレンジです。
この料理に合わせたいお手頃ワインは、ぶどうの力強さがありながらも、フェミニンな印象の滑らかポルトガルワインの赤を。
「ヴァルジア・ド・ミーニョ・レゼルヴァ」2160円(税込み)。
ポルトガル北部のミーニョ地方でつくられているワインです。ぶどうの味わいは力強いながらも、ソフトでエレガントさも感じる滑らかな赤ワイン。ぶどうはポルトガルの黒ぶどうの高貴品種トゥリガ・ナシオナル100%使用。
ちなみに、エチケットにあるのは、ポルトガル北部ミーニョ地方で作られている、フィリグラーナという伝統工芸品の金銀細工。金を薄く引き伸ばして作られる繊細なアクセサリーはとても華やかで、ワインの持つ、高貴でフェミニンなイメージに重なります。
次は、肉料理に添えたご飯「グリーンオリーブの炊き込みご飯」のご紹介です。ではまた明日!